超音波医学
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51 巻, 1 号
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特集
  • 丸山 紀史, 南 康範, 杉本 勝俊, 舩岡 昭宏, 沼田 和司
    2024 年 51 巻 1 号 p. 3-27
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/12
    [早期公開] 公開日: 2023/12/12
    ジャーナル 認証あり

    近年のエネルギーデバイス技術の進歩により,アブレーションは飛躍的に普及した.本治療は外科手術に比べて侵襲性が抑えられ術後回復が早いことから,肝,肺,腎,甲状腺,骨軟部腫瘍など幅広い臓器に対して適応されるようになった.病変部に対して治療針を適切に誘導するためには画像による支援が必要であり,高分解能かつリアルタイム性を利点とする超音波は最も頻用されている映像技術である.すなわちアブレーションは,超音波の長所を最大限に生かした治療法と言える.本企画は,肝癌に対するアブレーションにおける超音波の役割と具体的使用法について概説する.

総説
  • 瀬尾 由広
    2024 年 51 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/12
    [早期公開] 公開日: 2023/11/14
    ジャーナル 認証あり

    日本は超高齢社会を迎え,心不全(heart failure: HF)患者数は大幅に増加している.特に,高齢者に広く見られる駆出率が保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction: HFpEF)の増加は,過去10年に顕著なものとなっている.従来HFpEFは拡張不全心とも呼ばれていたように,心エコー図検査による左室拡張機能の評価が重要視されてきた.このため米国心エコー図学会(American Society of Echocardiography: ASE)および欧州心血管画像学会(European Association of Cardiovascular Imaging: EACVI)の左室拡張機能を評価するためのドプラ心エコー図検査アルゴリズムが,HFpEF診断に広く使用されている.一方,本総説は欧州心不全学会が2018年に提案したHFpEF診断アルゴリズム(HFA-PEFFスコア)に焦点を当てる.我々の行なった研究結果から,HFpEF患者,健常高齢者およびHF歴のない高血圧患者とを比較することでHFA-PEFFスコアの有用性と課題について解説する.また,HFA-PEFFスコアとASE/EACVIアルゴリズムとの差異についても言及する.最後に高齢者における心不全の発症と心不全の進行防止に対する心エコー診断システムの将来展望について述べ,「早期HFpEF」という概念を提案したい.

  • 加藤 寿光, 原田 智成, 鏡 和樹, 小保方 優
    2024 年 51 巻 1 号 p. 37-48
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/12
    [早期公開] 公開日: 2023/11/14
    ジャーナル 認証あり

    心筋ストレインイメージングは,通常の心エコー検査で測定でき,心血管疾患の治療において重要な役割を果たす.病気の診断を助け,疾患進行の予測や早期の薬物治療介入が可能になり,潜在的な心筋障害を検知する点で臨床的価値がある.ストレインイメージングは,腫瘍循環器分野でもっとも盛んに研究が行われ,臨床でも使用されている.左室(left ventricular: LV)の長軸方向ストレインのベースラインから> 15%の相対的な低下は,早期無症候性LV機能障害のマーカーと考えられ,心保護薬の早期開始につながる可能性をもっている.ストレインイメージングの役割は,心アミロイドーシス,他の心筋症,心臓弁膜症,肺高血圧症,および左室駆出率の保たれた心不全など他の分野にも拡大している.さらに,右室や心房の評価にも応用される.本総説は,臨床において,ストレインイメージングが心血管疾患患者の評価と疾病管理で現在果たしている役割について解説する.

  • 板橋 裕史, 小林 さゆき, 水谷 有克子, 鳥飼 慶, 田口 功
    2024 年 51 巻 1 号 p. 49-62
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/12
    [早期公開] 公開日: 2023/12/11
    ジャーナル 認証あり

    二次性MRの中でも心室性機能性MRにおいては,MitraClipによる治療が標準的な治療となりつつある.心室性機能性MRをMitraClipによって制御するためには,逆流の発症機序と重症度を的確に判定する必要がある.しかし二次性MRの重症度は一次性MRに比べて過小評価されやすく,また経時的に変動するという問題があるため正確に重症度を判定するためには重症度判定アルゴリズムを正しく活用し,負荷心エコーを積極的に活用することが重要である.またMitraClipによる治療を行うためには事前に留置手技に関する難易度を判定しなければならない.まず弁尖のクレフト,僧帽弁狭窄症や弁尖穿孔などのMitraClipによる治療が適さない形態的特徴がないことを確認する.さらに僧帽弁口面積,経僧帽弁圧較差,coaptation depth,coaptation lengthと後尖長を計測しEVEREST IIの患者判定基準やGerman consensusの基準に基づき手技難易度を判定する.MitraClip留置後は医原性MS,残存MRの程度を評価することに加え,肺静脈血流波形や一回心拍出量などを計測し,最終的に血行動態の改善が得られたかを総合的に判断することが重要である.二次性MRのうち心房性機能性MRに対してもMitraClipによる治療がなされており,有効性を示唆するいくつかの報告が見受けられるが,現状ではエビデンスを蓄積している段階である.

  • 橋本 千樹, 中岡 和徳, 田中 浩敬, 葛谷 貞二, 川部 直人, 長坂 光夫, 中川 義仁, 宮原 良二, 柴田 知行, 廣岡 芳樹
    2024 年 51 巻 1 号 p. 63-74
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/12
    [早期公開] 公開日: 2023/11/29
    ジャーナル 認証あり

    膵腫瘍には様々な種類が存在し,予後と治療法は異なる.そのため,最善の治療計画を決定するには正確な診断が重要である.経腹的超音波検査は,膵腫瘍の画像診断のためのスクリーニング検査としてよく用いられる.本論説では,比較的稀な膵腫瘍の超音波所見の特徴に焦点を当てて解説する.

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