目的:一般に乳癌術前化学療法(neoadjuvant chemotherapy: NAC)の臨床的効果判定は病変の最大径の変化によってなされるが,内部の壊死や瘢痕組織の残存により正確にとらえられない症例もある.そこで我々は,Sonazoid
®造影超音波(以下,CEUS)を加えることでより正確な効果判定が可能であるか,またどのようなCEUS所見に注目するべきか検討した.
対象と方法:対象は2007年7月‐2010年7月に当院でNAC後に手術を施行した乳癌患者のうち,NAC前後にCEUSを行った20症例22結節.Sonazoid
®懸濁液0.0075 ml/kgを静脈内投与.投与後1分間の動画とMicro Flow Imagingをもとに,腫瘤内部の染影を染影なし/非腫瘤部と同程度の染影/非腫瘤部よりやや強い染影/非腫瘤部より明らかに強い染影/評価不能の5段階に,腫瘤周囲の染影および腫瘤内部の不染域を無/有/評価不能の3段階に分類し,NACの組織学的効果判定と比較検討した.
結果と考察:NAC前にみられた腫瘤内部および周囲の染影がNAC後に低下する傾向がみられ,組織学的効果判定の高い群でその傾向はより強くみられた.腫瘤内部の不染域に関しては組織学的効果判定と一定の傾向はみられず,単に不染域の有無だけでなく,腫瘤サイズの変化や染影部分の状態なども加味しながら評価する必要があると考えられた.
結論:CEUSにより腫瘤内部と周囲の染影を評価することで,NACの効果を評価できる可能性が示唆された.
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