日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
21 巻, 2 号
日本クリニカルパス学会誌 第21巻 第2号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
原著
  • 須藤 隆之, 沢内 節子
    2019 年 21 巻 2 号 p. 63-70
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     Enhanced recovery after surgery(ERAS)を用いた周術期管理が注目されており、大腸切除術後早期経口摂取開始の効果、患者満足度を前向きに比較検討した。2013年から2017年までに、大腸切除症例に対し5病日から経口摂取を開始する群(従来群)100例と2病日からERAS食を開始する群(ERAS群)100例に単純ランダム割り付けを行い、クリニカルパスを用いた周術期管理を行った。さらに、早期経口摂取開始に苦痛を感じていないかを患者アンケート調査から評価した。ERAS群の術後在院日数(7.2±2.0日)、術後初回排ガス(1.7±0.6日)・排便の時期(3.2±1.2日)、空腹を自覚した時期は、従来群の術後在院日数(9.3±1.8日)、術後初回排ガス(2.1 ±1.0日)・排便の時期(4.1±1.6日)、空腹を自覚した時期に比べ有意に早かった。サブグループ解析において開腹下手術と腹腔鏡補助下手術の比較では、従来群の術後在院日数のみ腹腔鏡補助下手術が有意に短かった。 アンケート調査結果より、早期経口摂取開始に対する苦痛は少なかった。術後早期の経口摂取開始は、術後早期回復に寄与し患者満足度も高い周術期管理であると思われた。

実践報告
  • 住谷 充弘, 西村 美沙子, 杉山 由香里, 三木 雄三, 少路 誠一, 西山 由佳里
    2019 年 21 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     肺炎は日本人の死因の第3位を占める疾患であり、人口の高齢化とともに入院患者、死亡数が増加することが予想されている。大阪市立総合医療センターでは肺炎の診療において誤嚥性肺炎を除いた肺炎に対するクリニカルパス(以下、肺炎CP)を作成するも適応率は高くなく、適応率改善を目的に現在の使用状況を検討した。 2014年1月から2018年1月までに当院呼吸器内科に入院し、入院時に肺炎と診断した後に肺炎CPを使用した34例を評価対象とした。肺炎による平均入院日数は院内全体では12.8日、呼吸器内科では22.0日であったが肺炎CPを使用した82.6%の症例がDPCⅡ期内に退院していた。しかし、肺炎CPの適応を行うも入院時の主病名として肺炎以外も多く認められ、肺化膿症6例、間質性肺炎の増悪5例, 誤嚥性肺炎2例, 膿胸1例を認めた。肺炎CPの想定入院日数として13日以内を設定していたが、11例が達成できず、7例がCPを中止し、4例は抗生剤加療期間延長で対応し終了していた。呼吸器内科に入院している肺炎患者には他の合併症も多く、肺炎CP使用について一定数の中止は避けられないと考えられる。

特集(第19回学術集会)
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