糖尿病地域連携パス(以下、糖尿病パス)の成果を明らかにすることを目標に、糖尿病による血糖コントロール低下・維持に関連する要因を解析した。2004年から2016年までに国立病院機構横浜医療センター(以下、当院)の糖尿病地域連携パス外来(以下、糖尿病パス外来)を受診した患者のうち、解析対象は74名であった。調査項目は、性別、糖尿病パス開始時の年齢、HbA1c、糖尿病用薬、薬剤師の指導内容、糖尿病パスの受診年数、糖尿病の分類とした。インスリン単独例、およびインスリンと経口血糖降下薬の併用例を合わせたインスリンを使用している患者をインスリン群(以下、INS群)、経口血糖降下薬のみを使用している患者を経口血糖降下薬群(以下、oral hypoglycemic agent[OHA]群)とした。主要評価項目は、糖尿病パス導入からHbA1c 7%未満を2回連続達成までの期間とし、各因子の関連性について生存時間分析により解析を行った。達成割合に影響する因子は治療薬剤のみであった。達成率のハザード比はOHA群に対しINS群は0.47(95%信頼区間:0.23〜0.97)であった。インスリン使用患者のほうが経口血糖降下薬のみを使用している患者よりもHbA1cの低下・維持達成割合が低く、また達成までの期間も長くなる傾向が明らかとなった。インスリン使用患者に対して積極的に介入をすることが改善可能な因子として考えられる。当院の薬剤師が糖尿病パスで指導した内容や問題点を共有し、基幹病院と診療所の連携のみでなく、保険薬局を含めた新たな糖尿病パスの構築が今後の課題である。
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