日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
22 巻, 2 号
日本クリニカルパス学会誌 第22巻 第2号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
研究報告
  • 竹澤 豊, 澤田 逹宏, 藤塚 雄司, 牧野 武朗, 悦永 徹, 齋藤 佳隆, 小林 幹男
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 22 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     地域連携パスを作成し、地域の医療機関と前立腺がん根治治療後の経過観察を行ってきた。患者と連携医の地域連携パスへの評価を明らかにして、地域連携パスシステムを改善するためアンケート調査を行った。連携パスによる経過観察を開始し1年以上経過した患者378名と連携医184施設を対象とした。患者322例、連携医108施設より回答を得た。患者の連携パス評価は、満足(61%)、どちらともいえない(34%)、不満(5%)であった。患者の63%が併存疾患を有していたが、連携医で治療を受けているのはその48%であった。地域連携の利点として、通院時間の減少、外来待ち時間の減少、他の疾患の治療可能などがあげられた。経過観察も当院で行うべき、非専門医は不安などが問題点として指摘された。連携医の86%が非泌尿器科専門医だったが、91%が連携は問題ないと回答した。がん治療連携指導料の算定は58%の施設にとどまった。患者と連携医の大半が1年サイクルの循環型地域連携を支持した。先行研究に比べ、患者の満足度がやや低かった。併存疾患を連携医以外で治療している患者が多いこと、拠点病院へのこだわりと非専門医に対する不安、パスの対象が根治治療後の経過観察に限られていることに起因すると考えた。連携医選択法の再考、患者の不安を軽減できる診療、内分泌治療を含めたパス対象の拡大と、連携医におけるがん治療連携指導料算定の向上が今後の課題である。

  • 池滝 晶子, 赤木 祐貴, 小井土 啓一, 濃沼 政美, 宇治原 誠
    専門分野: 研究報告
    2020 年 22 巻 2 号 p. 85-92
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     糖尿病地域連携パス(以下、糖尿病パス)の成果を明らかにすることを目標に、糖尿病による血糖コントロール低下・維持に関連する要因を解析した。2004年から2016年までに国立病院機構横浜医療センター(以下、当院)の糖尿病地域連携パス外来(以下、糖尿病パス外来)を受診した患者のうち、解析対象は74名であった。調査項目は、性別、糖尿病パス開始時の年齢、HbA1c、糖尿病用薬、薬剤師の指導内容、糖尿病パスの受診年数、糖尿病の分類とした。インスリン単独例、およびインスリンと経口血糖降下薬の併用例を合わせたインスリンを使用している患者をインスリン群(以下、INS群)、経口血糖降下薬のみを使用している患者を経口血糖降下薬群(以下、oral hypoglycemic agent[OHA]群)とした。主要評価項目は、糖尿病パス導入からHbA1c 7%未満を2回連続達成までの期間とし、各因子の関連性について生存時間分析により解析を行った。達成割合に影響する因子は治療薬剤のみであった。達成率のハザード比はOHA群に対しINS群は0.47(95%信頼区間:0.23〜0.97)であった。インスリン使用患者のほうが経口血糖降下薬のみを使用している患者よりもHbA1cの低下・維持達成割合が低く、また達成までの期間も長くなる傾向が明らかとなった。インスリン使用患者に対して積極的に介入をすることが改善可能な因子として考えられる。当院の薬剤師が糖尿病パスで指導した内容や問題点を共有し、基幹病院と診療所の連携のみでなく、保険薬局を含めた新たな糖尿病パスの構築が今後の課題である。

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