日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
24 巻, 2 号
日本クリニカルパス学会誌 第24巻 第2号 (Aug.31.2022)
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
実践報告
  • 舩田 千秋
    原稿種別: 実践報告
    2022 年 24 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2022/08/31
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     本研究では、同じベンダーの電子カルテシステム(以下、電子カルテ)を運用する2つの病院間でのクリニカルパス(以下、パス)の移行と、旧電子カルテで運用していたパスを新電子カルテで利用するための更新時の移行という2つのパターンでCSVやエクセルを用いたクリニカルパスの機械的な移行を試み、その課題を整理した。

     2つの病院間でのパスの移行では、A病院で作成したパスをCSVに取り出し、B病院の各種マスタのコードと合致するコードをSQL検索クエリを用いて抽出した結果、パスの基本構造やマスタコードが合致した内容の66~100%が移行できた。

     一つの病院の電子カルテ更新時に移行を試みたC病院では、新電子カルテでのパスの基本構造をもつMicrosoft Excel®で作成したフォーマットを用い、電子カルテ外からのパスの移行を試みた。移行用パスの内容は全て機械的に移行できたが、移行用パスを臨床現場で利用可能にするためには、各タスク、すなわち業務内容を詳細に設定する作業と不足するタスクを新電子カルテで直接マスタから選択し入力する必要があった。詳細設定・直接入力の追加作業後、臨床で利用可能となったパスのうち、最も利用されていた2種類のパスで検証したところ、詳細設定と直接入力した項目は約4割となっていた。なお、直接入力を必要とした項目は、検査・治療/処置・投薬の項目であった。これらのことから、機械的なパスの移行にはパスの基本構造やマスタの共通化などが重要であることが示唆された。

  • 田中 結貴, 大和 吉郎, 坂元 大輔, 佐藤 みち子, 小原 幸也, 山火 翔太, 佐々木 和也, 大槻 かおり, 阿部 隆之, 佐藤 耕 ...
    原稿種別: 実践報告
    2022 年 24 巻 2 号 p. 116-122
    発行日: 2022/08/31
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

    目的:当院では、2020年度よりがん手術に関する80のクリニカルパス(以下、パス)にリハビリテーション(以下、リハビリ)を組み込み、周術期のリハビリを実施している。今回は、その効果について検証することを目的とした。

    方法:対象は、当院外科でがんの手術を受けた患者でリハビリ(理学療法、作業療法)を実施した2群とした。A群は2020年4月から同年11月までに入院、パスにリハビリを組み込んだ97例、B群は2017年4月から2020年3月までに入院、パスにリハビリを組み込む前の90例とした。項目については、①リハビリに関する期間、②functional independence measure(以下、FIM)運動項目スコア、③自宅退院率とし統計学的に比較した。また、リハビリを組み込む前後でのがん手術パスに関するリハビリ関連の収益比較を行った。

    結果:術後リハビリ開始までの日数とリハビリ実施期間、入院期間についてはA群の方が有意に短い状況にあった(p<0.001)。FIM運動項目については、開始時のスコアは両群で有意差はみられず、リハビリ終了時のスコアとFIM利得はA群の方が有意に増加していた(p<0.001、p<0.05)。自宅退院率についてはB群が85.6%であったのに対し、A群は93.8%と高い傾向にあった(p = 0.06)。収益については、リハビリを組み込んだ2020年度は前年度比で2.3倍と増加した。

    結論:がん手術パスへのリハビリの組み込みは、術後早期の日常生活動作回復、入院期間の短縮、自宅退院率の向上、増収の面で有用と考えられた。

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