目的:当院では、2020年度よりがん手術に関する80のクリニカルパス(以下、パス)にリハビリテーション(以下、リハビリ)を組み込み、周術期のリハビリを実施している。今回は、その効果について検証することを目的とした。
方法:対象は、当院外科でがんの手術を受けた患者でリハビリ(理学療法、作業療法)を実施した2群とした。A群は2020年4月から同年11月までに入院、パスにリハビリを組み込んだ97例、B群は2017年4月から2020年3月までに入院、パスにリハビリを組み込む前の90例とした。項目については、①リハビリに関する期間、②functional independence measure(以下、FIM)運動項目スコア、③自宅退院率とし統計学的に比較した。また、リハビリを組み込む前後でのがん手術パスに関するリハビリ関連の収益比較を行った。
結果:術後リハビリ開始までの日数とリハビリ実施期間、入院期間についてはA群の方が有意に短い状況にあった(p<0.001)。FIM運動項目については、開始時のスコアは両群で有意差はみられず、リハビリ終了時のスコアとFIM利得はA群の方が有意に増加していた(p<0.001、p<0.05)。自宅退院率についてはB群が85.6%であったのに対し、A群は93.8%と高い傾向にあった(p = 0.06)。収益については、リハビリを組み込んだ2020年度は前年度比で2.3倍と増加した。
結論:がん手術パスへのリハビリの組み込みは、術後早期の日常生活動作回復、入院期間の短縮、自宅退院率の向上、増収の面で有用と考えられた。
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