心不全患者において、リハビリテーション(以下、リハビリ)を早期に開始することで、心不全の予後を改善する。我々は平均111日のfollow up期間で心不全増悪での再入院や死亡に関連する因子を、リハビリ進捗におけるセンチネル方式のバリアンス分析を用いて後ろ向きに解析した。心不全治療クリニカルパスを適応した103 例を対象とし、退院後の心不全再入院ないしは死亡したイベント発生群22例と、イベント非発生群81例を2 群に分け比較検討した。入院5日目に「50 m歩行ができる」をアウトカムに設定した。栄養評価は、Controlling Nutritional Status(以下、CONUT値)、 Geriatric Nutritional Risk Index(以下、GNRI)、採血検査項目などを用いた。
イベント発生群では入院5日目に「50 m歩行ができる」のアウトカム達成率が非発生群より低く、Brain Natriuretic Peptide(以下、BNP)とCONUT値が高かった。多変量解析にて、入院5日目の50 m歩行未達成はイベント発生の危険因子であった(p=0.027, OR 6.02, 95%CI 1.22〜29.66)。入院5日目の50 m歩行未達成は達成群と比較し、イベント発生が多いことをKaplan-Meier曲線で描出し、ログランク検定で示した(p=0.001)。多変量解析にて、入院5日目の50 m歩行未達成は入院時GNRIとBarthel Indexの低値と関連していた。
クリニカルパスにおけるリハビリテーション進捗のバリアンス分析で心不全患者の予後不良因子を推定した。早期の離床を目指し、多職種チームによる入院時からの介入が必要である。
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