目的:医療内容の向上を図り、クリニカルパス(以下、パス)使用率上昇を目的として、小児急性疾患に対する入院パスを改定した。
方法:消化管感染症、下気道感染症、インフルエンザ、気管支喘息発作の4疾患分野を対象として2008年より2年間をかけパス改定を行った。パスはすべて紙カルテ上で運用した。改定作業の効果はパス使用率、スタッフ意識調査を用いて評価した。
結果:改定作業を経て、①パス形式の共通化、②予定経過を限定しないパス形式、③適応基準・除外基準・バリアンスの明確化、④患者観察項目の適正化、⑤保護者向け説明用紙の作成、⑥患者本人向けパス用紙の導入、の各点が盛り込まれた新しい小児急性疾患パスが整備された。4疾患分野全体では、改定開始後3年間のパス使用率は78.6%(1,133例/1,442例)と改定前3年間の使用率23.7%(347例/1,465例)と比して著しい上昇が得られた(P<0.001)。また各分野別にも改定後にパス使用率の向上を認めた。スタッフの意識調査では、改定後パスに対する肯定的評価が多数を占めた。
結語:一連のパス改定作業は小児急性疾患パス使用率の大幅な向上を達成した。パス改定にあたっては現行パスの問題点、対象疾患と医療機関の特性を考慮し、パスに求める効果を十分に検討することが重要である。
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