日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
20 巻, 4 号
日本クリニカルパス学会誌 第20巻 第4号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
実践報告
  • 仲田 紀彦, 侭田 敏且, 早坂 豪
    2018 年 20 巻 4 号 p. 525-530
    発行日: 2018/12/10
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     患者と医療者のナラティブを統一するツールとして、患者用パスの果たす役割は大きい。患者の疾患や治療内容への理解を深め、周術期医療への不安を軽減することを目的として頸椎椎弓形成術にビデオ型患者用パスを2017年5月より実臨床に導入した。作製したビデオ型患者用パスでは、①病態と手術の解説、②入院中の治療行程、③周術期に起こりうる合併症、④退院時の身体状況と退院後の生活の注意点の4項目について音声動画を用いて解説した。術前から退院までの期間に患者に渡し、ベッドサイドで好きな時間に好きなコンテンツを選んで見てもらう形で運用している。ビデオ型患者用パスの有用性について、導入から2017年12 月までに本手術を施行した16名を対象に患者アンケートを実施したところ全例で理解促進が高く評価され、周術期の不安軽減に有効であった。患者用パスは紙媒体で視認性重視の構成では、情報の掲載量に限界がある。 電子媒体の普及した現代では、患者も紙媒体よりも電子媒体に慣れており、患者説明ツールも変化を遂げていく必要がある。口頭および紙媒体での術前説明に加え、音声動画で事前に疑似体験もしくは術後に自身の体験を再確認することで医療への理解が進み、また繰り返し音声動画でスケジュールや日常生活の注意点を明示することで安心して入院生活を送ることができていると考えられた。ビデオ型患者用パスは周術期医療への患者の不安軽減に有用であった。

  • 高橋 順子, 本多 寛之, 浜原 潤, 寺見 隆宏, 安藤 晋一郎, 赤沢 友里恵, 安永 沙織, 杉山 直也, 黒住 友郁, 石井 和史
    2018 年 20 巻 4 号 p. 531-536
    発行日: 2018/12/10
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     糖尿病教育入院クリニカルパスを作成し(以下、パス)、Basic Outcome Master(BOM)Version 2.0(以下、BOM)に準拠し改訂した。BOMに基づき、知識を中心としたアウトカムを16項目設定し、インスリン導入を要する2週間パスを適用した47例を対象とし、バリアンスの集計・分析を行った。上位のバリアンスについて改善の取り組みについて報告する。

     バリアンスは総数214件で、「糖尿病治療薬について指示通り内服できる」、「シックデイについて理解できる」、「今後の療養について必要なことを考えることができる」の順に多かった。人数で順位付けすると、「シックデイについて理解できる」、「フットケアについて理解できる」、「糖尿病治療薬について指示通り内服できる」、「低血糖について知っている」、「合併症について理解できる」の順に多かった。

     患者の知識不足だけでなく、医療者側の指導方法や評価方法の違いでバリアンスが発生した例も多かった。

     次期システムでは、アセスメントの表記を修正し、評価基準を明確にし、一定の評価ができるようにスタッフへの教育を行う。教育を中心とした当パスの評価には、退院後の患者の血糖コントロールや教育効果の追跡が必要である。

特集(第18回学術集会)
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