【目的】透析現場では患者の高齢化や種々の合併症の増加などにより、より確実で安全な医療が求められている。そこで一回ごとの透析ケアを標準化し、安全に予定通りに実施していくための「透析一回パス」を開発し、その効果を検討した。
【対象と方法】04年12月から06年9月に、北野病院で維持透析を行っていた患者のうち、パス試験導入した患者13名のパス導入初期:05年5月と本格導入後:06年9月の維持透析管理状況をバリアンス発生件数で比較した。さらにパスに携わった看護師に対し、パスに対する認識や導入の効果について、パス本格導入後にアンケート調査を行った。
【結果】バリアンスの発生については、透析前の体重管理に関するバリアンスおよび透析中の機器操作に関するバリアンスが導入初期に対して本格導入後では有意に低下していた(p<0.01)。その他のバリアンスとして、導入初期に見られていたチャンパーコアグラなどのインシデントが減少していた。看護師のアンケート結果では、「患者の健康状態の把握がしやすくなった」、「他の看護師のケア状況が把握しやすくなった」の2項目で8割以上のスタッフから「大変そう思う・そう思う」との回答が得られた。
【結論】「透析一回パス」の導入により、透析中の機器操作などのスタッフのケア内容が標準化することが示唆された。同様に、透析中のインシデントが減少することが確認された。看護師には、患者健康状態の把握や、他の看護師との情報共有などの効果が考えられた。
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