当院は、緊急を含めた年間分娩数、平成11年460件(平成12年456件)の約4割が帝王切開術での分娩である。経膣分娩経過中に緊急帝王切開術になることも多く、経膣分娩パスから帝王切開パスに移行できるのではないかと考えパスの移行を考えた。そこで経膣分娩パスからバリアンスとしてドロップアウトした症例を対象群、経膣分娩パスから帝王切開パスへと移行を試みた症例を移行群として比較検討した。
その結果、対象群では、患者からの質問にはその都度スタッフが対応できており不安は感じられていなかった。反対に、経膣分娩には患者用パスがあるのに帝王切開には無いことが不満として聞かれた。移行群では、術後に再度説明を受けることで術後経過について理解しやすく、患者用パスの予定を確認しながらその日の目標を具体的に設定し、自主的な行動をとることができた。入院中に指導をいつ受けるかなど計画が立てやすくなったことで患者教育にもつながつた。
通常バリアンスが生じた時点でパスは使用できなくなるが、今回の研究結果から経膣分娩パスから帝王切開パスへのパス間移行は可能であり且つ有用であることが分かった。
今後の予定を患者に掲示することで、インフォームド・コンセントの充実につながりまた、術後経過について帝王切開パスを用いることで患者の行動に目標が設定でき、患者教育の効果があると考えられた。
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