当院では2002年8月の電子カルテ全面稼動を機に、脳神経疾患とくに脳血管障害急性期クリニカルパス(以下CP)を作成・運用してきた。当院の電子カルテCPの特徴は、①脳血管障害急性期の各CPの基本メニューは過去の経験症例の最大公約数的な内容、②バリアンスにはこだわらない(院内では「バリアンス・フリーパス」と呼んでいる)、③電子カルテ機能により症例毎の個別性に対応していることである。
現在20種類のCPを運用し、病院全体のCP利用率は90%前後を維持している。過去1年間の全CP使用件数は1078件であり、脳血管障害急性期各疾患別のCP適用率は、脳梗塞94%、心原性脳塞栓症90%、脳出血(保存的治療)96%、脳出血術後90%、くも膜下出血術後60%であった。
電子カルテCP運用開始後、これまでバリアンス分析は行っていないが問題は生じていない。CPの利用率・適用率の増加により院内における医療の標準化、効率化が進み、チーム医療推進の原動力となってきている。
電子カルテ機能を活かし、バリアンスにこだわらないCPの運用は、CPの適応疾患を拡大し、医療の標準化を進めていくには有用であろうと思われる。
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