日本ペインクリニック学会誌
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症例
  • 山田 千晶, 前田 愛子, 江里 朋香, 亀山 希, 浅田 雅子, 山浦 健
    原稿種別: 症例
    2024 年 31 巻 5 号 p. 85-88
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/25
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    【症例】55歳の男性.現病歴:X−7年にHIV感染症と診断され,多剤併用療法を開始された.診断時より両足底部の痛みがあり,徐々に日常生活に支障が生じたことからX年当科紹介受診となった.初診時現症:常に両足底部に剣山で刺されるような痛みとしびれがあり,歩行時の数値評価スケール(numerical rating scale:NRS,0~10)は10であった.四肢末梢の温度覚と振動覚の低下がみられた.治療経過:HIV関連末梢神経障害と診断し,薬物療法を開始したが改善に乏しい状態であった.仙骨硬膜外ブロック(0.5%メピバカイン10 ml)を施行したところ最大のNRS(歩行時)は7まで低下し,その状態が数週間持続した.その後も仙骨硬膜外ブロックを1回/月で継続し,X+5年のNRSは0~2となり長距離歩行も可能となった.【まとめ】HIV関連末梢神経障害はHIVウイルスによる慢性的な末梢神経炎および薬剤性末梢神経障害が原因と考えられている.本症例では仙骨硬膜外ブロックによる末梢血流改善や抗炎症作用が痛みを改善したと推測し,本ブロックは簡便で有用な治療である可能性が示唆された.

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