日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
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30 巻, 7 号
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症例
  • 石川 友規, 福島 臣啓, 赤澤 杏奈, 石井 瑞恵, 岩崎 衣津, 小林 浩之
    原稿種別: 症例
    2023 年 30 巻 7 号 p. 169-173
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/07/25
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    29歳男性.採石器に左手を挟まれて当院に搬送された.第1指は末節骨骨折,第2指~第5指は高度に挫滅していた.中手指節関節を断端として切除し,大腿遊離皮弁にて被覆した.術後内服で疼痛コントロールが不良であり当科紹介となった.内服調節,星状神経節ブロックを行ったが疼痛コントロールは不良であった.正中神経ブロックを施行し,第2指~第4指の皮弁接合部の痛みが改善したため正中神経パルス高周波法を行い第2指~第4指の皮弁接合部の痛みは軽快したが第1指の痛みは残存した.橈骨神経の関与を考えて橈骨神経ブロックを行い疼痛範囲は縮小したが,第1指尺側に強い痛みが残存した.尺骨神経の関与を考えて尺骨神経ブロックを行ったところ有効であったため,尺骨神経パルス高周波法を追加で施行し疼痛コントロールが得られた.断端形成後の残存する痛みに対しては神経の分布や多様性も考慮してテストブロックを行い評価していくことが重要と考えられた.

  • 中村 好美, 田辺 久美子, 金 優, 吉村 文貴, 山口 忍, 紙谷 義孝
    原稿種別: 症例
    2023 年 30 巻 7 号 p. 174-177
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/07/25
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    機能性身体症状は「症状の訴えや,苦痛,障害が,確認できる組織障害の程度に比して大きい」と定義される疼痛症候群である.今回,COVID-19ワクチン接種を契機に機能性身体症状が出現した2症例を経験した.1症例は複合性局所疼痛症候群の判定基準を満たしていた.ワクチン接種による機能性身体症状の発症メカニズムは未だ十分に解明されていないが,今回の2症例は,COVID-19ワクチンによる経験したことのない発熱や痛み,副反応による不動化,不安やうつ状態などの心理的因子が合わさり,機能性身体症状を発症したものと考えた.それぞれの病態にあわせた集学的治療や社会復帰への支援を行い,患者の回復へつなげることができた.

  • 藤田 建, 伊藤 浩明, 長谷部 千夏
    原稿種別: 症例
    2023 年 30 巻 7 号 p. 178-181
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/07/25
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    76歳男性が歩行に伴う両足底痛のため間欠性跛行となった.両足底痛はオピオイドの開始後に軽減したが経時的に増悪した.末梢動脈疾患や腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行は否定的であり,足根管部のチネル徴候が陽性であったことから足根管症候群と臨床診断した.オピオイドとデュロキセチンを併用したが間欠性跛行は改善せず,オピオイドから四環系抗うつ薬であるミアンセリンに変更し間欠性跛行が改善した.オピオイドからミアンセリンへの変更によって改善する間欠性跛行があることが示唆された.

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