日本ペインクリニック学会誌
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13 巻, 4 号
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  • 大松 裕明, 齊藤 理, 安部 洋一郎, 大瀬戸 清茂
    2006 年 13 巻 4 号 p. 409-413
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    硬膜外脊髄刺激療法 (ESCS) の治療効果は, 疼痛の心因要素の程度に関係するといわれているが, その心因要素の評価に自己評価式抑うつ尺度 (SDS) を用いた報告はない. 目的: 術前SDSスコアがESCSの試験刺激後に永久埋込み術を施行したか否かに関係するかを検討する. 方法: 2004年8月から2005年12月の期間に当院でESCSの試験刺激を行った25症例を対象として, 診療録に基づき後ろ向きに調査した. 試験刺激後, 永久埋込み術に至った Success 群 (S群) と, 試験刺激のみで永久埋込み術を希望しなかった Failure 群 (F群) とに分け, 年齢・性別・疼痛罹患期間・疼痛部位・原疾患・術前 face scale (FS)・術前使用鎮痛薬・術前SDSスコアの項目を比較検討した. 結果: S群5例, F群20例であった, 男女比はS群2:3, F群12:8であった. 年齢はS群F群各66.2±4.7歳, 59.1±14.9歳で, 疼痛罹患期間は各7.8±4.4カ月, 4.4±3.7カ月, 術前FSは2.6±0.9, 3.1±0.8であり, すべて両群で有意差を認めなかった. 疼痛部位・原疾患・術前使用鎮痛薬でも両群に有意差はなかった, SDSスコアはS群31.4±3.1, F群44.0±11.5 (p=0.0003) でF群の方が有意に高かった. 結論: ESCSの試験刺激の結果, 永久埋込み術を施行しなかった患者は, 埋込み術を施行した患者と比較して術前SDSスコアが高かった. SDSスコアが高値である症例はESCS永久埋込み術に至らない可能性が示唆された.
  • 下地 恒毅, 高橋 則夫, 岩田 芳子
    2006 年 13 巻 4 号 p. 414-418
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: 在宅診療に神経ブロックを応用した報告は国内外とも見当たらない. 2003年1月以降のほぼ2年間, 在宅診療に主として硬膜外ブロックを応用したのでその結果を報告する. 方法: 在宅診療を行った11症例に合計215回, 1症例当たり18.0±27.8 (平均±標準偏差) 回, 硬膜外ブロックを応用した. 痛みの程度は numerical rating scale (NRS) にて判定した. 結果: ブロックを行った患者ではすべてNRSの低下がみられ, 満足すべき結果が得られた. 1例に施行後一過性下肢不全麻痺を認めた以外, 特記すべき合併症はみられなかった. 結論: これらの結果から, 在宅診療に神経ブロックを応用する意義は大きいと考えられる.
  • 幻肢痛2例
    住谷 昌彦, 林 行雄, 上林 卓彦, 井上 隆弥, 阪上 学, 松田 陽一, 金村 誠哲, 柴田 政彦, 眞下 節
    2006 年 13 巻 4 号 p. 419-422
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    患肢が鏡の中に存在するかのように見えるように, 健肢を鏡に映し出すことによって幻肢の随意運動を行うことができるようになり, 幻肢痛の緩和が得られるといわれている. 今回われわれは, 薬剤治療に抵抗性の下肢切断後幻肢痛患者2例に対して鏡療法を行った. 両症例ともに, 1日1回10分の鏡療法施行直後にはなんら変化がみられなかったが, 2~3週間継続後に幻肢を随意に運動することができるようになり, それとほぼ同時期に幻肢痛の緩和が得られた. これらの症例から, 鏡療法の疼痛緩和メカニズムは, 視覚入力を介した身体表象 (患肢の運動表象) の再形成による知覚運動協応の再統合 (正常化) が示唆された. 鏡療法は簡便・安全・安価な治療法であり, なおかつ患者が主体的に疼痛治療に参加することを促せることから, 幻肢痛治療の一選択肢となりうると考えられる.
  • 腕神経叢引き抜き損傷後疼痛2例
    住谷 昌彦, 上林 卓彦, 林 行雄, 井上 隆弥, 阪上 学, 松田 陽一, 金村 誠哲, 柴田 政彦, 眞下 節
    2006 年 13 巻 4 号 p. 423-426
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    腕神経叢引き抜き損傷 [brachial plexus injury (BPI)] 患者は麻痺肢に強い痛みをしばしば訴え難治である. 幻肢痛の治療として報告された mirror visual feedback therapy (以下, 鏡療法) は, 難治性疼痛全般に対する臨床応用の可能性が示されていることから, 幻肢を伴わないが麻痺肢に痛みをもつBPI患者2例 (有効1例, 無効1例) に対して鏡療法を行った. 有効例: 麻痺肢第1指と手背を押しつぶされるような間歇的な痛みがあったが, 鏡療法施行直後から麻痺肢第1指の運動をイメージすると疼痛が緩和した. 鏡がなくとも麻痺肢の運動がイメージできるようになり疼痛は緩和した. 無効例: 麻痺肢に発作性の電撃痛があった. 鏡療法を約8週間継続したが, 麻痺肢の運動がイメージできず疼痛もほぼ不変であった, 運動感覚の出現の有無が疼痛緩和と密接に関係していることから, 鏡療法は視覚を介して身体および運動感覚のイメージを作り上げることによって, 脳内の体性感覚中枢と運動中枢のネットワークの再統合を図る方法であると考えられる. さらなる検討が必要ではあるが, 難治性疼痛に対する治療手段の一つとなりうると考えられる.
  • 正司 喜信
    2006 年 13 巻 4 号 p. 427-429
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    群発頭痛は眼窩部および, こめかみの片側性の激しい疼痛を特徴とするが, 歯牙を含む同側口腔顔面に痛みを引き起こすことは珍しくない. 今回, 歯科に来院した群発頭痛の1症例を経験したので報告する. 症例は48歳の男性で, 近医歯科で右上臼歯部の治療のため口腔内に局所麻酔を受けたとほぼ同時に同側顔面に疼痛発作を起こし, 直後に紹介され来院した. 疼痛部位は右こめかみ・眼窩部から上顎で, 随伴症状として眼瞼の浮腫および流涙などが認められた. そこで同側翼口蓋神経節に診断的麻酔を行ったところ, 疼痛は軽減した. 群発頭痛と診断され, 紹介先の内科医より処方されたエレトリプタンにより症状は3日後には軽快した. この結果, 群発頭痛の激しい疼痛症状の急性期の治療法として経鼻法による翼口蓋神経節への麻酔が有効な手段の一つであることが示唆された.
  • 真弓 雅子, 佐藤 重仁
    2006 年 13 巻 4 号 p. 430-433
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    レセルピンによる静脈内局所交感神経ブロック (IRSB) は complex regional pain syndrome に対する治療方法の一つとして行われることがある. この治療は通常外来で安全に行われており, 特に合併症の報告はないのが現状である. しかしながら本症例においては入院治療を要するほどの著しい起立性低血圧と頭痛の副作用を伴った. 自律神経失調症を合併している患者では普段よりカテコラミンやセロトニンが減少していることが報告されている. 本症例での副作用はこのような病態が関連した可能性が推測され, 自律神経失調症を伴う患者においてIRSBを行う際には注意が必要である可能性が考えられた.
  • 森田 正人, 杉浦 健之, 津田 喬子, 祖父江 和哉, 原 眞咲, 間瀬 光人, 勝屋 弘忠
    2006 年 13 巻 4 号 p. 434-438
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    頸動脈海綿静脈洞瘻 (CCF) は痛みよりも眼症状や脳神経麻痺症状で発症することが多いため, ペインクリニック領域ではまれな疾患である. 片側の持続性の頭痛を主訴とし, 耳鳴, 複視, 差明などを合併した70歳代女性患者が, 他科では確定診断に至らず当科を紹介された. 初診時の所見よりトロサ・ハント症候群を疑い, 計3回の眼窩上神経ブロックとステロイドを投与したところ, 耐え難い頭痛は visual analogue scale 80mmから1mmまで劇的に改善した. 同時に耳鳴も軽快したが複視や羞明は変化しなかった. 後日, CCFと確定診断し, 血管内コイル塞栓術によって, 複視, 眼球突出, 結膜充血も改善した. 頭痛に加え, 同側の脳神経麻痺症状や耳鳴が存在し, 海綿静脈洞領域の病変が疑われる場合はCCFも考慮して鑑別診断のために速やかな画像診断が必要である.
  • 2006 年 13 巻 4 号 p. 439-440
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 13 巻 4 号 p. 441-445
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 13 巻 4 号 p. 446-448
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 13 巻 4 号 p. 449-451
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 13 巻 4 号 p. 452-455
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
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