日本ペインクリニック学会誌
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29 巻, 12 号
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日本ペインクリニック学会安全委員会報告
  • 日本ペインクリニック学会安全委員会, 白井 達, 山田 信一, 前田 愛子, 安部 洋一郎, 中塚 秀輝
    原稿種別: 日本ペインクリニック学会安全委員会報告
    2022 年29 巻12 号 p. 233-240
    発行日: 2022/12/25
    公開日: 2022/12/25
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    日本ペインクリニック学会安全委員会では,2009年より毎年ペインクリニック専門医指定研修施設を対象に有害事象調査を行っている.本稿では,2019年および2020年の2年間にわたる有害事象および施設情報報告をもとに調査,分析を行った結果を報告する.【方法】国立大学病院長会議医療安全管理協議会の定めた「インシデント影響度分類」のレベル3a以上および学会の定めた項目としてその他(社会的問題や部位の間違い)を報告対象とし,レベル3b以上は詳細な報告を依頼した.【結果】2年連続98%の施設から回答が得られた.鎮痛薬・鎮痛補助薬に関するレベル3b以上の重大な有害事象として2019年が8件,2020年が7件,神経ブロック・インターベンショナル治療に関する重大な有害事象として2019年が64件,2020年が52件報告された.【まとめ】重大な有害事象は毎年減少することなく一定の件数が報告されており,今後も有害事象の発症要因や状況の究明と把握を行い,学会内での情報共有の強化と再発防止に向けた対策の提言を行っていく方針である.

症例
  • 寺尾 基, 原田 修人, 岡田 華子, 赤間 保之, 的場 光昭
    原稿種別: 症例
    2022 年29 巻12 号 p. 241-244
    発行日: 2022/12/25
    公開日: 2022/12/25
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    目的:薬物療法,他の神経ブロック治療が困難な三叉神経痛症例に大口蓋神経ブロックを施行したところ,有用な結果が得られたので報告する.方法:症例は三叉神経第2枝の三叉神経痛の患者5名で,全員が薬物治療では効果が不十分であった.4名の患者はガッセル神経節ブロック(GGB)が施行困難,または施行可能でも痛みが残存した.1名の患者は,当初より大口蓋神経ブロックを選択した.全症例で,眼窩下神経ブロック(infraorbital nerve block:INB)を併用した.結果:大口蓋神経ブロックはGGB等の透視下神経ブロックと比較して,手技が簡便で患者の侵襲度が低く痛みも軽度であった.全症例で,痛みの改善が得られた.結論:GGBの効果が不十分な場合,大口蓋神経ブロックの追加で痛みのコントロールが可能になった.また,大口蓋神経ブロックにINBを併用することで,GGB施行の必要性がなくなる症例も認められた.

  • 武田 昌子, 小柳 哲男, 藤原 治子
    原稿種別: 症例
    2022 年29 巻12 号 p. 245-248
    発行日: 2022/12/25
    公開日: 2022/12/25
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    腹痛の原因疾患の一つとして前皮神経絞扼症候群(ACNES)がある.私たちはACNESが腹腔鏡下手術直後に発症した症例と開腹手術後6年経過して発症した症例についてエコーガイド下神経ブロック治療が有効であったことを報告する.2症例ともに血液検査,画像検査で異常はなくCarnett徴候は陽性であった.1例目は胃がんに対して腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行された81歳女性である.術後10日目より左右の腹直筋鞘外縁のドレーン抜去後の縫合部位に圧痛を認め腹壁に力がかかると痛みが増強した.エコーガイド下腹直筋鞘ブロックを3回施行して治癒した.2例目は穿孔性虫垂炎に対して開腹虫垂切除術を施行された53歳男性である.術後6年経過して腹圧がかかると右腹直筋鞘外縁の開腹創部に圧痛が出現し,審査腹腔鏡手術を施行したが痛みを生じるような所見はなくACNESが考えられた.繰り返しエコーガイド下腹直筋鞘ブロックを行い,さらに腹直筋近傍での腹横筋膜面ブロックを併用して治癒した.

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