日本ペインクリニック学会誌
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症例
  • 村木 真美, 御村 光子, 萩原 綾希子, 合田 由紀子, 高田 幸昌, 山蔭 道明
    原稿種別: 症例
    2024 年 31 巻 4 号 p. 69-72
    発行日: 2024/04/25
    公開日: 2024/04/25
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    回腸ストマは消化酵素を含む強アルカリ性の排液により周囲皮膚が障害されやすく,治療に難渋する痛みを伴うことがある.神経ブロックを契機に痛みが改善した症例を経験したため報告する.症例は60歳,女性.20歳代に卵巣嚢腫手術後イレウスを繰り返し40歳代に回腸ストマ造設に至った.血液透析施行,モルヒネ依存の既往がある.右下腹部の回腸ストマ下縁にびらん形成を生じて以来,同部に火傷様の強い痛みが生じていた.ジクロフェナク坐剤の使用により胃潰瘍をきたし,坐剤中止後に前医において持続硬膜外ブロックを開始し当科紹介となった.硬膜外カテーテル抜去後にパルス高周波による右Th10神経根ブロックを行った.痛みは軽減し,その後3度の硬膜外ブロックとミロガバリン等神経障害性痛治療薬によりnumerical rating scale(NRS)4/10以下となった.回腸ストマ辺縁の痛みは当初侵害受容性の痛みであるが,強い痛みが持続するうち中枢性感作による神経障害性痛を生じうると推測される.このような痛みには,パルス高周波法を併用した神経ブロックおよび神経障害性痛治療薬が有用と考えられた.

  • 西田 遼子, 片山 勝之
    原稿種別: 症例
    2024 年 31 巻 4 号 p. 73-76
    発行日: 2024/04/25
    公開日: 2024/04/25
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    非がん性上腹部内臓痛に対し,神経破壊薬を用いたコーンビームCT補助下透視下内臓神経ブロックを施行した2症例を経験した.症例1,46歳男性.アルコール性膵炎に起因する心窩部・側腹部痛(NRS 7/10)を自覚.経口鎮痛薬での疼痛制御が困難な上,鎮痛薬に起因する日中の眠気が強く就業困難であったため,神経破壊薬を使用した内臓神経ブロックを施行した.施行直後より疼痛は消失し,経口鎮痛薬を減量し,復職を果たした.ブロック施行後4年2カ月経過した現在も疼痛の増悪を認めていない.症例2,57歳男性.反復性胆管炎に起因する間欠痛(NRS 7~8/10)を自覚.疼痛により就業困難(バスの運転業務)であり,傾眠作用を持つ鎮痛薬を使用せず鎮痛する必要があった.症例1と同様に神経破壊薬を用いて内臓神経ブロックを施行した直後より疼痛は消失し,胆管炎再燃時もアセトアミノフェン頓用内服での鎮痛が可能となった.ブロック施行後3年経過した現在も疼痛の増悪を認めていない.神経破壊薬を用いた内臓神経ブロックは,慎重な適応の判断を必要とするが,非がん性上腹部痛患者に対しても治療法の選択肢になる可能性がある.

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