日本ペインクリニック学会誌
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29 巻, 3 号
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症例
  • 石本 大輔, 高雄 由美子, 緒方 洪貴, 橋本 和磨, 永井 貴子, 廣瀬 宗孝
    原稿種別: 症例
    2022 年 29 巻 3 号 p. 23-26
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2022/03/25
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    脊髄刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)は中枢性脳卒中後疼痛(central post-stroke pain:CPSP)に対してpoor indicationとされているが,CPSPに対してBurstDRTM刺激が有効で,かつ経時的に刺激間隔(刺激オフ時間)を延長できた症例を経験したので報告する.【症例】60歳女性,右脳梗塞後に出現した左半身の疼痛に対して,投薬およびブロック療法は効果がなかったため,脊髄刺激療法目的で当科に紹介受診となった.SCSトライアルを施行したところ,BurstDRTMモードが有効であったため植え込み術を施行した.刺激オフ時間の延長は,SCSの問題点となっている慣れや耐性の解決策の一つであることから,経時的に刺激間隔を30秒オン,90秒オフから360秒オフまで延長したが,刺激開始時と同等の効果が得られている.【結語】BurstDRTMモードが有効であったCPSPを経験した.効果を減じることなく,経時的に刺激オフ時間を90秒から360秒まで延長することができた.

  • 松岡 豊, 天谷 文昌
    原稿種別: 症例
    2022 年 29 巻 3 号 p. 27-30
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2022/03/25
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    三環系抗うつ薬やモノアミンオキシダーゼ阻害剤は血中のカテコラミン上昇に伴う薬剤誘発性高血圧症を発症しうる.セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤であるデュロキセチン内服中に高血圧症を呈し,褐色細胞腫との鑑別が必要となった症例を経験したので報告する.【症例】57歳男性.右上肢CRPSに対し6年前よりデュロキセチンを内服していた.高血圧が指摘され近医で降圧薬が開始された.24時間蓄尿カテコラミン値が高値を示し,CT検査では左副腎に1 cm大の腫瘤が指摘され,褐色細胞腫が疑われた.一方,MIBGシンチグラフィ検査で有意な集積を認めず,MRI検査で非機能性副腎腺腫と診断された.腫瘤サイズが小さく褐色細胞腫の可能性も否定しきれず,経過観察となった.頭痛・顔面蒼白・冷汗などの発作症状を以前より認めており,デュロキセチンのノルアドレナリン再取り込み抑制作用による血中・尿中カテコラミン値上昇の可能性が考えられた.【結語】本症例では副腎に小腫瘤が指摘され,高血圧の原因として褐色細胞腫との鑑別を必要とした.

  • 岩崎 洋平, 恒遠 剛示, 岡田 文明, 森山 萬秀
    原稿種別: 症例
    2022 年 29 巻 3 号 p. 31-35
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2022/03/25
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    患者は70歳代男性.上肢帯状疱疹痛を発症後に複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)症候,筋力低下を認め,紹介受診となった.持続硬膜外ブロックは効果不十分で,発症40日目から一時的脊髄刺激療法(temporary spinal cord stimulation:t-SCS)を13日間施行した.リード抜去後早期に疼痛再燃したため,発症60日目で脊髄刺激装置植込み術を施行した.その後は疼痛増悪なくリハビリテーションを継続できた.t-SCS後の電気生理検査では尺骨神経のF波は消失していたが,植込み術後8カ月目にはF波の出現を認めた.早急に植込み術まで施行しリハビリテーションを継続したことで機能予後が改善したと考えられた.CRPS症候や運動神経麻痺を合併する重症例で,t-SCSが著効するもののリード抜去後早期に疼痛再燃する場合には,積極的に脊髄刺激装置植込み術を検討すべきと考える.

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