日本ペインクリニック学会誌
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30 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
症例
  • 大石 まゆ, 松橋 麻里, 渡邉 逸平
    原稿種別: 症例
    2023 年 30 巻 2 号 p. 11-14
    発行日: 2023/02/25
    公開日: 2023/02/25
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    難治性の頭痛および顔面痛を初発として,精査で浸潤型副鼻腔真菌症と診断された.疼痛管理に極めて難渋した症例を経験したので報告する.症例は73歳,男性.2カ月前から後頭部痛,右頬部から側頭部にかけた痛みを自覚した.改善が認められず,非定型三叉神経痛および緊張型頭痛が疑われ当科へ紹介された.受診時,後頭部のしびれと痛み,右頬部から側頭部にかけて持続する疼痛を認めた.CTで浸潤型副鼻腔真菌症が判明した.耳鼻咽喉科にて手術が行われ,その後も抗真菌薬で加療されたが疼痛は持続し,オピオイドを使用するも効果は限定的だった.再度当科も介入し,NSAIDs,アセトアミノフェン,プレガバリンを主体に加療するも病勢の進行とともに効果も限定的となり,最終的にフェンタニル貼付剤を使用し,相応の疼痛緩和を得られた.副鼻腔炎の中でも蝶形骨洞病変では鼻症状は少ないものの視力障害や頭痛が生じやすく,診断の遅れにつながることが多い.早期診断が難しく抗菌薬の遅れやステロイド投与で病変増悪につながる可能性もある.長期持続する頭痛,顔面痛では定期的な画像評価が重要である.

  • 和智 純子, 久米田 幸弘
    原稿種別: 症例
    2023 年 30 巻 2 号 p. 15-19
    発行日: 2023/02/25
    公開日: 2023/02/25
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    メサドンから他の強オピオイドへスイッチし,職場復帰が可能となった症例を経験した.症例は後縦隔原発悪性軟部肉腫の56歳女性で,第3・4胸椎椎体,左側腋窩・胸部・肩甲骨転移と神経浸潤による難治性の神経障害性疼痛が認められた.疼痛緩和のため,メサドンが投与され30 mg/日まで増量したが,十分な痛みの軽減が得られず,眠気・倦怠感の増強と抑うつ傾向を認めた.胸椎椎体病変部へ,薬物療法以外の疼痛治療法である放射線療法を行うことになったため,メサドンを他のオピオイドにスイッチすることを考えた.緩和ケアチームの薬剤師が電話で状態を確認しながら,段階的にオキシコドン徐放錠90 mg/日に置き換えることができた.メサドンは,他の強オピオイド鎮痛剤では十分な鎮痛効果が得られない難治性疼痛に使用されるが,有害事象のために,オピオイドスイッチが必要となることがある.メサドンの薬物動態は個人差が大きく,他のオピオイドへスイッチする際には,個別に注意深く行う必要があり,電話での状態確認は有効であった.また,放射線治療など薬物療法以外の除痛方法の併用も有効であると考えられた.

  • 上田 夏子, 渡部 達範, 田中 萌生, 清水 大喜, 生駒 美穂, 馬場 洋
    原稿種別: 症例
    2023 年 30 巻 2 号 p. 20-24
    発行日: 2023/02/25
    公開日: 2023/02/25
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    上肢痛を訴えるパンコースト腫瘍と診断された患者の上肢痛に対して,頚部神経根パルス高周波法を施行し長期的な鎮痛が得られた症例を経験したので報告する.症例1では肩から肩甲骨周囲の痛みを訴えており,パンコースト症候群が原因と考えられたが,その部位への直接的なインターベンションは困難と思われた.そこで肩周囲の鎮痛を得るためにC5,6神経根ブロックを行ったところ鎮痛が得られた.症例2では左上腕の痛みを訴えていた.画像上,右パンコースト腫瘍の浸潤によるC6~T2の椎体圧迫骨折を認め,それによる左神経根障害が原因と考えた.しかし痛みの部位・所見から,何らかの絞扼によるC5の神経根障害が考えられ,診断的に同部位の神経根ブロックを行ったところ鎮痛が得られた.2症例ともパルス高周波法を施行し,長期にわたる鎮痛が得られた.いずれの症例もブロック施行前はパフォーマンスステータス(PS)が悪く積極的治療の継続が困難と思われたが,鎮痛を行うことでPSが改善し治療を継続できた.画像所見にとらわれず,丁寧な身体診察,診断的な神経ブロックなどを行い,疼痛緩和法を模索することが重要である.

  • 野口 洋, 原野 りか絵, 平川 奈緒美
    原稿種別: 症例
    2023 年 30 巻 2 号 p. 25-28
    発行日: 2023/02/25
    公開日: 2023/02/25
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    症例1:卵巣がんで化学療法中の69歳女性.左第8胸神経領域を中心とした帯状疱疹にて入院加療となった.入院後に頭痛・悪心嘔吐・発熱が出現し,精査の結果VZV髄膜炎と診断された.症例2:非ホジキンリンパ腫にて化学療法中の69歳男性.右第2,3,4腰神経領域の帯状疱疹にて入院加療となった.入院後より右下肢の脱力あり,精査の結果VZV髄膜炎と診断された.免疫不全患者では髄膜炎への移行のリスクが高く,VZV髄膜炎の可能性を念頭に置き腰椎穿刺の施行を考慮するべきである.

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