農作業研究
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44 巻, 2 号
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研究論文
  • 藤田 博之, 福井 俊男, 國本 佳範
    2009 年 44 巻 2 号 p. 65-72
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2009/12/20
    ジャーナル フリー
    簡易猿害防止柵の設置圃場における問題点について改良を実施し,圃場への侵入および農作物被害防止効果について検討した.サルの出没・被害状況はカメラ撮影,圃場調査および聞き取り等により確認した.
    ネット資材を劣化が早かったナイロン製からポリエチレン製に変更することでネットの耐久性が向上した.また,柵内が見通せる状態であった柵下部に被覆を行うことで高い侵入および農作物被害防止効果が得られた.
    馴れの進んだサルへの対策として簡易柵を複雑化した二重展張型簡易柵を設置したが,その被害防止効果は低かった.しかし,簡易柵に電牧器を組み合わせた電気型簡易猿害防止柵は完全に侵入を阻止し,農作物被害は認められなかった.
    また,住民による追い払い等の心理的障壁は,防止柵の効果を持続させるために必要と考えられた.
  • 深見 公一郎, 杉本 光穂, 新里 良章, 赤地 徹
    2009 年 44 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2009/12/20
    ジャーナル フリー
    ジャーガル圃場において排土型心土破砕と明渠等を組み合わせた簡易な圃場排水性改善技術を開発し,その効果について検討した.以下に主な結果を示す.
    1) 本排水技術では,春・夏植時には排土型を格子状,株出時には条間に沿って施工し,排水路付近に排水ピットを造成する.
    2) 心土破砕および耕耘並びに植付作業等は土壌含水比が30%d.b.以上になると安定した連続作業が困難になる.
    3) 排水ピット方式では,降雨後速やかに排水され,降雨量100mm程度までの時,慣行区より4日早く圃場作業が行える.
    4) 排水ピット方式を導入すると,夏植えではプランタ作業,春・株出では培土作業の作業負担面積が最も増大し,それぞれ4haおよび5ha程度作業負担面積が増える.
    5) 排水ピット作成に要する費用は,1箇所あたり37,000円であり,4年に1回更新した場合,年間9,000円程度のコストになる.
研究報文
  • 深山 大介, 吉田 克志, 佐藤 安志, 角川 修, 荒木 琢也, 宮崎 昌宏
    2009 年 44 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2009/12/20
    ジャーナル フリー
    ミスト風により物理的に害虫を除去・捕獲する送風式捕虫機による処理の有無と処理頻度が,害虫発生消長や二番茶収量,品質に与える影響を明らかにするため,二番茶生育期に週1回または週2回処理を継続し,以下の結果を得た.
    1)チャノミドリヒメヨコバイに対しては,週2回処理区では虫数を抑える効果が確認できたが,週1回処理区では,無処理区と同等であり,捕虫処理の効果は低かった.
    2) 週1回処理区の収量は,週2回処理区や慣行防除区に対して少なくなった.週1回処理区は無処理区と同様に茶芽が小さく,生育が不良になることがわかった.
    3) 荒茶の遊離アミノ酸,テアニン各含量は,週2回処理区が週1回処理区より高く,特に品質の指標となるテアニンについては,週2回処理区は慣行防除区と同等であった.
    4) 以上,ヨコバイ消長を抑える効果や,ヨコバイを原因とする収量減,および品質低下に対しては,週2回の処理頻度が必要であったが,アザミウマに対しては週2回処理でも効果は低く注意が必要である.
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