Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
14 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
Editorial
原著
  • 勢理客 久, 比嘉 勝一郎, 屋良 哲也
    2023 年 14 巻 12 号 p. 1416-1422
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:今回,当院で腰椎単椎体間固定術のみを施行した60歳以上の症例を80歳以上群と60~79歳群に分け,腰椎単椎間椎体間固定術の侵襲と周術期腎機能が関連するかについて検討した.

    対象と方法:当院にて腰痛,下肢痛・しびれによりL4/5またはL5/S高位の単椎間後方椎体間固定術腰椎椎間のみを施行した77例を80歳以上と60~79歳の2群に分け,ヘモグロビン(Hb)血清総タンパク量(TP),クレアチニンフォスフォキナーゼ(CPK),クレアチニン(CRE),推算糸球体濾過率(eGFR)の術前,術翌日および術7日後の値および変化率を調べ,手術侵襲に伴う横紋筋融解症の有無,AKIの有無について2群間の比較を行った.

    結果:横紋筋融解症を60~79歳群に2例に認めたが,80歳以上群には認めなった.術7日後において80歳以上群に腎機能悪化例は認めなかったが,60~79歳群に3例に悪化を認めた.急性腎障害の発症を両群に認めなかった.

    結語:腰椎単椎間椎体間固定術は80歳以上でも腎機能に関しては比較的安全に行えると考えられた.

  • 村田 英明
    2023 年 14 巻 12 号 p. 1423-1432
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:腰部脊柱管狭窄症や変性辷り症に対して除圧術施行後,再狭窄や辷りの増大などで再手術が必要な症例に対してoblique lateral interbody fusion(OLIF;側方進入椎体間固定術)を行った.OLIFの利点は,癒着瘢痕化した術野を触ることなく,間接的除圧が期待されることである.しかしmulti operated back(MOB;腰椎多数回手術)症例では著しい瘢痕性癒着が想像される.MOB症例に対して,OLIFで間接除圧は果たされているのか,否か,再手術としてのOLIFの術後成績を調査したので報告する.

    対象と方法:16例.再手術時平均年齢は71歳,前回までの手術回数は平均1.5回(1~7回).

    結果:OLIFの椎間数は1椎間3例,2椎間8例,3椎間5例.術直後より腰下肢痛は消失していた.手術前後の硬膜管面積は,術前平均101 mm2,術後平均155 mm2.術前後でのJOA(15点法)は術前平均5.5点,術後平均10.3点と有意に改善していた(t検定;<0.05).

    結語:腰椎除圧術後MOBに対するOLIFの術後成績は良好で,OLIF手術による間接的除圧の有用性が示された.

  • 西田 幸司, 松尾 俊宏, 中村 光宏, 松下 亮介, 加藤 慶, 平田 裕己, 望月 由
    2023 年 14 巻 12 号 p. 1433-1438
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー

    社会の高齢化により後期高齢者の腰椎圧迫骨折は増加している.圧迫骨折に伴う狭窄により手術を要することがあるが,多くは固定術の報告で除圧術の報告は少ない.我々は後期高齢者の圧迫骨折に伴う腰部脊柱管狭窄症除圧術症例の特徴について調査した.

    圧迫骨折を伴った腰部脊柱管狭窄症,腰椎変性すべり症に対し,顕微鏡視下後方除圧術のみを施行した8例(男性2,女性6),平均年齢82歳を対象とした.圧迫骨折はL2 3例,L3 2例,L4 3例,L5 2例,骨密度大腿骨頚部若年成人平均値(YAM)は平均65.4%であった.骨折に伴う最狭窄高位はL2/3 5例,L3/4 2例,L4/5 1例で,可動域は術前平均7.1°から術後4.7°に減少.腰痛治療成績判定基準(旧JOAスコア)は術前平均15.9から術後25.6(改善率76.6%)に改善していた.圧迫骨折高位は分散していたがL2/3,3/4での除圧症例が多く,圧迫骨折のため狭窄高位が上位に多く発生していた.

    術後明らかな不安定性の増悪がなく,比較的良好な治療成績が得られていた.低侵襲であり,骨粗鬆症や多くの既往症を抱えることの多い後期高齢者に対して,考慮して良い方法であると考える.

  • 月坂 純也, 濱﨑 貴彦, 田中 碩, 松原 佑貴, 石橋 沙織, 中邑 祥博, 中﨑 蔵人, 堀 淳司, 益田 泰次, 笹重 善朗, 中前 ...
    2023 年 14 巻 12 号 p. 1439-1442
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:骨粗鬆症性椎体骨折保存加療の問題点に日常生活動作(以下ADL)低下が挙げられるが,当院では体幹ギプス固定し入院,床上安静とし,NRS 3以下で離床開始する保存加療を行いその治療成績を報告する.

    対象と方法:2020年6月から当科,救急外来を受診し新規骨粗鬆症性椎体骨折で緊急入院となった42例(男性18例,女性24例,平均83.0歳)を対象とした.画像所見,骨密度,総椎体骨折数,臥床期間,受傷前および最終調査時のADLを評価,骨癒合不全リスク・重症骨粗鬆症の有無で検討した.

    結果:びまん性特発性骨増殖症8例,後壁・椎弓根損傷4例,MRI T2高信号限局型11例,T2低信号広範型17例,YAM値70%未満は腰椎15例,大腿骨21例,総椎体骨折数平均2.0椎体,臥床日数平均9.0日だった.骨癒合不全リスクの有無では,座位Xpの圧壊率やMRI信号変化で,重症骨粗鬆症の有無では骨密度および総椎体骨折数で有意差を認めた.調査時のADLが非自立へ低下したものに有意差を認めなかった.

    結語:約9日の臥床期間で最終調査時にADLが非自立へ低下することが少ないため本治療法はADL保持の観点からも良好と考える.

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