はじめに:近年,新たな腰椎固定術として側方から椎間板にアプローチするXLIF(eXtreme Lateral Interbody Fusion)およびDLIF(Direct Lateral Interbody Fusion)と,前側方から椎間板にアプローチするOLIF(Oblique Lateral Interbody Fusion)が本邦に導入され普及している1)~3).これらの術式では側方あるいは前側方からのアプローチに伴う様々な合併症が報告されており,より安全な術式として普及していくためには継続的な全国調査が必要である.
対象と方法:2017年に本邦で施行された側方進入腰椎椎体間固定術に関して日本脊椎脊髄病学会新技術評価検証委員会が行った合併症の全国調査結果を解析した.
結果:対象2,311例(XLIF:906例[39.2%],DLIF:50例[2.2%],OLIF:1,355例[58.6%])の中で合併症は72例(3.1%)に発生した.調査期間中に合併症に起因する再手術を要した症例は10例(14.1%)で全症例の0.4%であった.大血管損傷は0.09%,神経損傷は0.22%,尿管損傷は0.04%,深部感染は0.30%に発生していた.術式間の比較では合併症の頻度に統計学的有意差はなかった(XLIF:3.8% vs OLIF:3.0%,p=0.34).
考察:本調査ではLIFに伴う合併症の発生率は低かった.正確な合併症頻度と転機の把握のためにはアンケート回収率の向上が必要であると考えられた.
抄録全体を表示