はじめに:成人脊柱変形手術の広まりと同時にその合併症として,PJK,PJFが問題となっている.今回,我々は成人脊柱変形手術における固定上位端前傾角の術後変化に着目し,この変化量と術前後の各種脊椎パラメータとの関連を検討した.
対象と方法:当院にて骨盤から胸椎までの範囲で矯正固定術を行った24例を対象とした.術前,術直後,術後1年の立位全脊柱単純X線像から頚椎も含む各種パラメータ(PI,PT,SS,LL,SVA,TK,T1slope,C2-7角,C2-7SVA,PJA,固定上位端前傾角)を計測して,術直後から術後1年で固定上位端前傾角が5度以上増加した症例としなかった症例の2群に分けて比較検討した.
結果:2群間に有意差を認めたのは,術前の固定上位端前傾角であった.術直後の固定上位端前傾角や術後PT,SSの変化量には有意差は認めなかった.また,頚椎のパラメータにも有意差を認めなかった.
結語:術前の固定上位端前傾角が大きな症例は,術直後には矯正されて前傾が小さくなっても術後経過にて固定上位端前傾角が術前の状態に戻るように徐々に大きくなっていく.
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