Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
12 巻, 4 号
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Editoral
原著
  • 佐竹 宏太郎, 金村 徳相, 伊藤 研悠, 田中 智史, 中島 宏彰, 大内田 隼, 今釜 史郎
    2021 年 12 巻 4 号 p. 657-662
    発行日: 2021/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:頚椎人工椎間板置換術(C-TDR)症例の頚椎アライメントの変化を検討する.

    対象と方法:C-TDRを施行した10例を対象にJOAスコア,EQ5D,EQ-VAS,椎間可動域(ROM),局所前弯角,C2-C7 angleを術前と術後6ヶ月で比較した.

    結果:各臨床評価項目,ROM,局所前弯角は有意に改善・増大したが,C2-C7 angleは有意な変化がなかった.

    結語:C-TDRにより局所前弯角は増大したがC2-C7 angleは有意な変化がなかった.

  • 近藤 章, 水谷 潤, 鈴木 伸幸, 加藤 賢治, 八木 清, 後藤 祐太, 村上 英樹
    2021 年 12 巻 4 号 p. 663-667
    発行日: 2021/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形手術の広まりと同時にその合併症として,PJK,PJFが問題となっている.今回,我々は成人脊柱変形手術における固定上位端前傾角の術後変化に着目し,この変化量と術前後の各種脊椎パラメータとの関連を検討した.

    対象と方法:当院にて骨盤から胸椎までの範囲で矯正固定術を行った24例を対象とした.術前,術直後,術後1年の立位全脊柱単純X線像から頚椎も含む各種パラメータ(PI,PT,SS,LL,SVA,TK,T1slope,C2-7角,C2-7SVA,PJA,固定上位端前傾角)を計測して,術直後から術後1年で固定上位端前傾角が5度以上増加した症例としなかった症例の2群に分けて比較検討した.

    結果:2群間に有意差を認めたのは,術前の固定上位端前傾角であった.術直後の固定上位端前傾角や術後PT,SSの変化量には有意差は認めなかった.また,頚椎のパラメータにも有意差を認めなかった.

    結語:術前の固定上位端前傾角が大きな症例は,術直後には矯正されて前傾が小さくなっても術後経過にて固定上位端前傾角が術前の状態に戻るように徐々に大きくなっていく.

症例報告
  • 今西 隆夫, 近藤 哲士, 淺沼 由美子, 宮崎 晋一, 須藤 隆夫, 塩川 靖夫
    2021 年 12 巻 4 号 p. 668-671
    発行日: 2021/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    有症状性の仙骨神経根囊腫に対し,囊腫くも膜下腔シャント術を施行した1例を経験した.

    症例:44歳女性.主訴は立位,座位で増強する左臀部,下肢痛であり,S2以下の痛覚鈍麻,排尿遅延を認めた.左S3神経根糸を含む囊胞を認め,脊髄空洞症用シャントチューブを用いた囊腫くも膜下腔シャント術を行い,下肢の神経症状は改善した.

    結語:有症状性の仙骨神経根囊腫に対して囊腫くも膜下腔シャント術を施行し,短期成績は良好な結果であった.

  • 四谷 久美子, 長谷川 智彦, 大和 雄, 吉田 剛, 安田 達也, 坂野 友啓, 有馬 秀幸, 大江 慎, 松山 幸弘
    2021 年 12 巻 4 号 p. 672-677
    発行日: 2021/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:非常に稀な髄内発生の孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)を経験したので報告する.

    症例:47歳女性.4年前より歩行障害,右下腿の痺れ自覚し,当科受診.MRIにてTh2高位にT1WIで等信号,T2WIで低信号,均一な造影効果を示す髄内腫瘍を認めた.腫瘍摘出術を施行し,病理所見にてSFTと診断.術後3ヶ月で歩行が安定した.

    結語:SFTは,他の髄内腫瘍と異なるMRI所見と病理所見により診断され,治療は外科的全摘出が重要である.

  • 馬場 聡史, 川上 紀明, 小原 徹哉, 齊藤 敏樹, 田内 亮吏, 森下 和明, 山内 一平
    2021 年 12 巻 4 号 p. 678-684
    発行日: 2021/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:点状軟骨異形成症(chondrodysplasia punctata)は幼少期に骨端核周囲に点状石灰化を有する特徴がある稀な骨系統疾患であり,合併する脊柱変形の自然経過や治療についての報告は極めて少ない.今回我々は長期に経過を追えた点状軟骨異形成症に合併した側弯症2例の報告をする.

    症例:症例1:Conradi-Hünermann型点状軟骨異形成症の女児.4歳時初診,胸椎(T2-11)に62°の側弯があり,ギプスや装具による保存治療を行い,10歳時に前後方矯正固定術を施行.胸椎の主弯曲(T6-11)は術前70°から術後23°に矯正され,術後8年経過時にも矯正損失なく経過した.症例2:Conradi-Hünermann型点状軟骨異形成症の女児.8歳時初診,胸腰椎(T11-L2)に79°の後側弯があり,8歳からVEPTRやGrowing-rodによる成長温存手術を行い,14歳時に後方矯正固定術を施行.胸腰椎の主弯曲(T11-L3)は術前61°から術後25°に矯正された.

    結語:点状軟骨異形成症に合併した側弯症の2症例は,ともに早期発症で進行性の脊柱変形を来したが,矯正ギプスや装具を用いた保存治療や成長温存手術を行うことで,幼少期の脊柱固定を避けるとともに,最終矯正固定術まで成長を維持することができた.

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