Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
2 巻, 1 号
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Original Research
  • 佐藤 一樹, 宮下 光令, 森田 達也, 鈴木 雅夫
    2007 年 2 巻 1 号 p. 101-111
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/17
    ジャーナル フリー
    一般集団における終末期在宅療養の実現可能性の認識の関連要因を質問紙により調査した. F県において2006年1月に行われた在宅緩和ケア講演会の参加者を対象とし, 全員から回答を得た(n=61). 終末期在宅療養を実現可能と16%が回答した. 終末期在宅療養の障害は, 家族の負担(80%), 急変時の対応の不安(59%), 急変時の入院の不安(52%)の順であった. ロジスティック回帰分析による多変量解析の結果, 「痛みを和らげるために薬を使うと中毒になる」(OR, 95%CI: 0.29, 0.09-0.99), 「最低限の治療として, 水分や栄養を補給する点滴は最期まで続けるべき」(OR, 95%CI: 0.39, 0.16-0.95)と考えるほど, 有意に終末期在宅療養を実現可能と認識しなかった. 一般集団に対して, 緩和ケアの正しい知識, 積極的治療の利益と不利益, 在宅医療の正しい知識を啓発することが, 終末期在宅療養の実現に必要な取り組みである示唆を得た.
  • 齋藤 信也, 加藤 恒夫, 横山 幸生
    2007 年 2 巻 1 号 p. 112-116
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/17
    ジャーナル フリー
    【目的】がんの在宅緩和ケアを支える手段として既存の日本のデイケア施設がいわゆる英国的デイホスピスとして機能しうるかどうかを知るために, デイケア施設におけるがん患者に対する医療サービスの実態について調査したので報告する. 【対象と方法】2004年11月岡山県のデイケア108事業所に対してアンケートを行った. 【結果】現在がん患者の利用がある事業所は56%, がん患者のための特別なプログラムを有している事業所は8%あった. デイケア施設が在宅緩和ケアを支える場合に備えるべき機能として, 1)がんの緩和医療に必要な医療サービス2)医療監視下における入浴等のデイケアサービス3)がん患者のニーズにあわせた休息を取り入れたサービス4)ストマケア, IVH管理, 輸液等のがん支持療法としての医療機能5)患者・家族に対する精神的ケア等が考えられた. 【結論】日本のデイケア施設において英国的緩和デイケアサービスを提供することは可能と思われた.
Case Reports
  • 蛯名 清華, 木澤 義之, 本間 真人, 和田 哲郎, 百 賢二, 細野 浩之, 幸田 幸直
    2007 年 2 巻 1 号 p. 301-305
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/17
    ジャーナル フリー
    上顎洞癌に対する放射線療法で誘発された口腔粘膜炎にインドメタシンスプレーが奏効した症例を経験したので報告する. 症例は, 53歳の男性. 化学療法と放射線療法により疼痛を伴う口腔粘膜炎が誘発され, ジクロフェナクナトリウム, オキシコドン, 硫酸モルヒネ, フェンタニル, アズレン, リドカインビスカスを使用したが, いずれも効果は不十分であった. インドメタシンスプレーを開始(2-10噴霧/回, 1-11回/日, 9.6±5.2mg/日)したところ, 痛みのスコアは低下し(使用前vs. 後: 2.4±0.4 vs. 1.0±0.1), 痛みは良好にコントロールされた. インドメタシンスプレーの作用発現時間は, 8.7±2.2分であった. 本症例を含む5名の癌患者にインドメタシンスプレーを適用したが, いずれも有害事象はみられず, 良好な鎮痛効果を認めた. 放射線療法による口腔粘膜炎に対してもインドメタシンスプレーは有効と考えられた.
  • 新城 拓也, 岡田 雅邦
    2007 年 2 巻 1 号 p. 306-309
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/17
    ジャーナル フリー
    【目的】フェンタニル貼付剤(TF)はモルヒネよりも副作用が軽度であることから, がん性疼痛患者に頻用されている. しかしTFを増量しても, 鎮痛効果が得られない症例もあり, その対応方法は明らかとなっていない. 本報告の目的は, 1)TFで鎮痛が困難となる症例の背景因子と, 2)そのような症例に対する治療について検討した. 【症例】TFを増量しても鎮痛できず, モルヒネへオピオイドローテーション(OR)を行った6症例について後向きに調査した. OR前のTFの投与量は, 平均204μg/hrで, OR後は全例で良好な鎮痛効果が得られ,5症例はTFと経口モルヒネの併用, 1症例は経口モルヒネのみが投与されていた. 【結論】高用量のTFが投与されている症例で, 鎮痛効果が不十分となる傾向があること, またこのような症例に対しては, ORが鎮痛効果の回復には有用である可能性が示唆された. この臨床的な現象にはオピオイド耐性の関与が推測された.
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