Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
14 巻, 1 号
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原著
  • 森 貴子, 川俣 節子, 高橋 聡, 小川 一成, 若月 優
    2019 年 14 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/01
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    電子付録

    【背景】放射線治療初診患者を対象に「生活のしやすさに関する質問票」の院内版を用いて苦痛スクリーニングを開始した.【目的】放射線治療を受ける患者を治療目的ごとに群別し,回答の群間差を検証する.【方法】放射線治療初診成人がん患者全員に質問票を配布回収し,診療記録から抽出した患者背景と合わせて解析した.【結果】総数543名の内訳は,緩和/根治/術前/術後各群で,177/189/19/158であり,患者の性,年齢,対象疾患すべてに統計学的差異が認められた.心身のつらさは,緩和群が他の3群より強かった.心理社会的ニードは症状や治療/日常生活の項目に高いが,チェック欄単独の感度はそれぞれ0.29-0.65/0.08-0.38にとどまった.症状や治療/経済や社会保障/就労のニードに群間差がみられた.【結論】患者ニードの把握には,治療目的別の背景差を踏まえ,自由記載内容を十分に考慮した対応が必要と考えられた.

  • 二宮 一美, 大谷 哲也, 田中 裕子, 工藤 満美子, 三富 弘子, 佐藤 大輔, 野本 優二, 伊藤 和彦, 片柳 憲雄
    2019 年 14 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/01
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    がんの苦痛スクリーニングで対応に必要なリソースを求め,円滑な緩和ケア提供の条件を求めることを目的とした.2017年3月までの2年間の外来がん化学療法1479例を対象としSTAS-J症状版でスコア2以上を有症状とした.有症状は181例(12.2%),リソースは12職種,延べリソース数は288件だった.対応は認定看護師・薬剤師による「直接介入」153件,「主治医対応」98件,「その他リソースの対応」37件だった.不安等の精神症状は「直接介入」(61件,39.9%)が「主治医対応」(10件,10.2%)より有意に高頻度だった(p<0.0001).身体症状への対応は「主治医対応」(88件,89.8%)が「直接介入」(92件,60.1%)より有意に高頻度であった(p<0.0001).がんの苦痛対応には多くのリソースが必要で,認定看護師・薬剤師の直接介入と患者振り分けが緩和ケアデリバリーに有用である.

  • 川上 嘉明, 浜野 淳, 小谷 みどり, 桑田 美代子, 山本 亮, 木澤 義之, 志真 泰夫
    2019 年 14 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/29
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    【目的】高齢者施設における介護職員の看取りに対する認識とその認識に影響する要因を明らかにすること.【方法】全国の高齢者施設に勤務する介護職員500人に対しインターネットによるアンケート調査(質問調査)を行い,その中から10人の介護職員にインタビュー調査を行った.【結果】質問調査では,看取りをするために重要と考える施設・制度について,施設の方針(41%),医療職との連携(38%)などが選択され,心配なこととして利用者の容態が急に変化し亡くなること(53%)などが選択された.インタビュー調査では看取り経験にかかわらず,看取りの経過がわからず不安があり,看取りに関する体系的な学習および経験をすることで変化する看取りへの思いが述べられた.【結論】看取りに対する体系的な学習および実際に看取りを経験することが,高齢者施設で看取りを進める際に介護職員の認識に影響する重要な要因であることが示唆された.

症例報告
総説
  • 石田 洋子, 眞茅 みゆき
    2019 年 14 巻 1 号 p. 23-38
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/22
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    【目的】ナラティブレビューにより心不全患者のfatigue(倦怠感)に関する研究の現状と課題を明らかにする.【方法】 2018年3月までに発表された医学中央雑誌Web版,PubMed,CINAHL,PsycINFOから119文献を抽出した.【結果】対象は和文献2件,英文献117件であった.心不全患者のfatigueの疾患特異的な定義は存在しなかった.Fatigueの有症率は50〜94%であり,fatigueを測定する尺度,Quality of Lifeなどの下位尺度を用いて評価がされていた.関連要因には心不全の重症度,低い運動耐容能,抑うつ症状,高齢,女性などが挙げられた.Fatigueの重症度は生命予後へ影響することが報告されていた.【結論】Fatigueの疾患特異的な定義と評価方法が欠如しており,今後は心不全患者のfatigueを適切に評価する方法を確立することが求められる.

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