【背景】悪性腫瘍に伴う直腸の刺激症状は多彩で,患者のQuality of Life(QOL)に大きく影響する一方で確立した治療法はない.傍直腸再発腫瘍による掻痒感を伴う直腸刺激症状に対して抑肝散が奏功した小児症例を経験したので報告する.【症例】9歳男児.傍直腸に横紋筋肉腫の再発巣が出現し,徐々に肛門の奥に身の置き所のない不快を感じるようになった.患児は「肛門の奥のかゆみ」と表現し,画像所見と経過から腫瘍による直腸刺激症状と判断した.小児夜泣きに古くから使用されてきた漢方薬で,近年神経障害性疼痛の鎮痛薬としての報告がされている抑肝散を投与したところ,症状緩和が得られた.【結論】傍直腸再発腫瘍による直腸刺激症状に対して抑肝散が有効な可能性がある.
【目的】ナラティブレビューにより心不全患者のfatigue(倦怠感)に関する研究の現状と課題を明らかにする.【方法】 2018年3月までに発表された医学中央雑誌Web版,PubMed,CINAHL,PsycINFOから119文献を抽出した.【結果】対象は和文献2件,英文献117件であった.心不全患者のfatigueの疾患特異的な定義は存在しなかった.Fatigueの有症率は50〜94%であり,fatigueを測定する尺度,Quality of Lifeなどの下位尺度を用いて評価がされていた.関連要因には心不全の重症度,低い運動耐容能,抑うつ症状,高齢,女性などが挙げられた.Fatigueの重症度は生命予後へ影響することが報告されていた.【結論】Fatigueの疾患特異的な定義と評価方法が欠如しており,今後は心不全患者のfatigueを適切に評価する方法を確立することが求められる.