Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
1 巻, 2 号
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症例報告
  • 新城 拓也, 岡田 雅邦
    2006 年 1 巻 2 号 p. 317-320
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/01
    ジャーナル フリー
    【目的】悪性腫瘍に合併する掻痒感は頻度が低く, 機序の解明や治療についての知見はまだ不十分である. 近年, 全身疾患に伴う掻痒感に対する, パロキセチンの有効性が報告されており我々も同様の症例を経験したため報告する. 【症例】72歳, 男性. 肝細胞がんの患者が黄疸のために入院した. 経過中掻痒感が出現し, 抗ヒスタミン剤とステロイド外用剤を投与したが, 全く掻痒感の改善がみられなかった. そこで, パロキセチン10mgを経口投与したところ, 翌朝には掻痒感が完全に消失し, その効果は死亡までの2週間持続した. 【結論】パロキセチンが抗掻痒作用を発揮する機序として, 末梢神経から中枢神経に掻痒感を伝達するセロトニン作動性の神経伝達を変化させることと, 掻痒感の発生物質である内因性のオピオイドを活性化する酵素(CYP2D6)を阻害する働きの関与が推測されている. 悪性腫瘍による黄疸にパロキセチンが有効であった1例を報告した.
  • 福重 哲志, 梅野 博仁, 山田 信一, 津田 勝哉, 加納 龍彦
    2006 年 1 巻 2 号 p. 321-324
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/08
    ジャーナル フリー
    反回神経麻痺は末期がん患者にしばしば認められる症状である. 反回神経麻痺に伴う嗄声は患者のコミュニケーション能力を低下させる. 誤嚥は患者から食事の楽しみを奪うとともに, 有効な咳ができなくなることとあわせて, 肺炎の原因ともなる. 反回神経麻痺による症状コントールの必要性は明らかであるが, 末期がん患者における有用な治療法はほとんどないと思われる. 今回, 緩和ケア病棟入院中の末期がん患者3例の反回神経麻痺に対して, 局所麻酔下に経皮的声帯内シリコン注入療法を行う機会を得た. シリコン注入は声帯をファイバースコープで観察しながら, 経輪状甲状間膜法で行った. シリコン注入量はファイバースコープの所見から決定し, 0.4から2.0mlのシリコンを注入した. その結果, 3例とも嗄声, 嚥下機能の改善を認め, 生活の質の改善が得られた. 術中術後ともに, この方法による合併症は認めなかった. 経皮的声帯内シリコン注入療法は末期がん患者の反回神経麻痺の治療法として有用である.
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