本研究の目的は,ヘルスプロモーションを推進する住民組織への保健師の支援過程の特徴を明らかにすることである.調査方法は,12名の熟練保健師を対象に,半構造化面接を実施した.分析は,帰納的記述的研究方法を用いた.保健師の支援内容は,過程I〜VIIに分類され,そのうち21のカテゴリー,50のサブカテゴリーが抽出された.保健師の支援過程は,過程I:「住民組織の発足,活動の支援により,個々・地域の健康問題の解決を目指す」,過程II:「個々の健康問題の解決を起点に,住民組織を発足する合意形成にメンバーを導く」,過程III:「漸次的にリーダーシップをメンバーに委譲し,住民組織を発足させる」,過程IV:「住民組織が地域の健康問題に視野を広げ,行動できる土壌をつくる」,過程V:「地域の健康問題に取り組む必要性をメンバー間で共有化することを促す」,過程VI:「地域の健康問題の解決を目指し,住民組織が行動できるように導く」,過程VII:「住民組織とともに地域の健康問題の解決を目指し,行動する」であった.保健師の支援過程の特徴は,メンバー自身がニーズを明らかにする支援,住民組織活動に意義を見出すことを促す支援,住民組織の発足・運営に関する支援,地域ケアシステムの構築を促進する支援を行っていることであった.住民組織は,保健師による人脈や資源の活用に伴い,より活動を拡大させていたことから,それへの支援は,保健師の機能を活かした活動方法であることが示唆された.本研究において明らかにした,ヘルスプロモーションを推進する住民組織への支援過程の特徴は,保健師の住民組織支援の方法論にひとつの枠組みを与えると考えられた.
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