日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
8 巻, 2 号
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  • 新納 美美, 錦戸 典子
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 5-13
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    ポジティブな心情を引き出す職員間コミュニケーション(positive communication:PCom)の要素とそのメンタルヘルスプロモーション上の意義を明らかにすることを目的に,現役勤労者35人を対象に半構造化面接を行った.内容分析の結果,PComとして相手が示した行動は「職場での行動を肯定的に評価する態度を示してくれた」「仲間として対等で開放的に接してくれた」「職務遂行のために協力してくれた」「辛い立場や弱い気持ちを思いやり情緒的に支えてくれた」「立場や心情に配慮した言葉かけをしてくれた」「自分の働きかけに率直に応じてくれた」の6要素が抽出された.PCom体験の結果生じた感じ方としては「職場の人たちとのつながりを実感できた」「自分の行動が職場の動きや要求に沿っていると感じられた」「職場で気になっていたことが解け穏やかになれた」「今後に向けた職務に対する意欲をもてた」の4要素が抽出された.PComで相手が示した行動とその結果生じた感じ方との関連も検討された.結果から,PComはソーシャルサポートの実践様式の一つであり,メンタルヘルスプロモーションへの寄与が期待される職場体験と考えられた.PComが自然に体験できる組織風土を育成することがメンタルヘルスプロモーション活動として重要と考えられた.さらにPComには職務意欲や職務動機に関連する要素も含まれており,PComは健康職場モデルの実践的な資源となりうると考えられた.
  • 工藤 禎子, 三国 久美, 桑原 ゆみ, 森田 智子, 保田 玲子
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 14-20
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:転居高齢者の適応の状況と,適応の関連要因を明らかにすることを目的とした.方法:一都市部の1年間の転入者全731人に質問紙を郵送し,回収した310通中299通を分析対象とした.分析は,適応群と非適応群に分け,生活変化・健康状態・ソーシャルサポート等の変数との関連についてχ2検定,t検定,多重ロジスティック回帰分析を行った.結果:1)適応群は230人(76.9%),非適応群は69人(23.1%)であった.2)非適応群は,年齢が高く(p<0.05),要介護認定を受け,転居の意志決定は非自発的,また転居先について「知らない場所だった」者が多かった(p<0.01).非適応群は,困ったこととして,経済的負担感,外出困難,家族への気兼ねをあげた者が多く,健康度自己評価,生活機能が低い者が多かった(p<0.01).3)適応群は,高齢者向けマンションへの転居者,住環境がよくなったと感じている者が多く,同居家族以外からのソーシャルサポートをもち,友人等との交流頻度が高い者が多かった(p<0.01).4)多重ロジスティック回帰分析により,転居先を知っていた者,同居家族以外のソーシャルサポートがある者,転居を自発的に決めた者,経済的負担感が少ない者,高齢者向けマンションへ転居した者ほど,適応が良好であることが明らかとなった.考察:高齢者の転居においては,転居先の情報を得たり,心理的な準備が重要であることが示唆された.
  • 滝澤 寛子
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 21-27
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    対象者のセルフケア能力獲得過程の到達段階を把握して学習援助に役立てることを目的とするセルフケア能力獲得過程段階評価の質問紙を作成した.質問紙の作成では,地域住民が糖尿病予防を入り口にヘルスプロモーションのためのセルフケア能力を獲得していく過程に着目した.本研究では,作成した質問紙を洗練していくことを目的に,その信頼性と妥当性について検討した.健診結果で糖尿病あるいはその疑いがあると判定された206名を対象に,質問紙を用いて,構成概念妥当性,基準関連妥当性,内的整合性を調べた.因子分析を用いて,質問紙を,〈食事・運動の改善点と解決策〉〈実行と効果の確認・修正〉〈周囲への働きかけ〉〈関心〉〈休養の状況〉〈病態理解〉の6下位尺度33項目に洗練した.洗練した質問紙全体のCronbach係数(α)は,0.94で,内的整合性は保たれていた.洗練した質問紙によるセルフケア能力得点は,HbA_<1c>値との間には有意な正の弱い相関(r=0.18, p<0.05)を認め,血糖値,BMI値との間には相関が認められず(血糖値:r=-0.02, BMI値:r=-0.01),基準関連妥当性には不十分な点があったが,セルフケア能力獲得過程を捉えるものとしては活用できるのではないかと考える.今後は,縦断的調査を用いて,信頼性,妥当性の検証を行うと同時に,受講者の介入前後での変化を捉え,評価結果を学習援助につなげていく方法論を検討していくことが必要である.
  • 長沼 理恵, 城戸 照彦, 佐伯 和子
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 28-35
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:日本に在住する日系ブラジル人労働者(以下日系人)の保健指導に生かすため,日系人の食生活と食生活行動に結びつく彼らの文化と考え方を明らかにすることとした.方法:エスノグラフィーを用い,日系人14人への面接調査,参加観察,既存の資料の収集を行った.データ分析により食生活についてのテーマを抽出した.結果:テーマ(1)ブラジルにおける日系人の食事はブラジル食と日本食が混じり合った「日系人食」である.テーマ(2)日本における日系人の食事は「日系人食」の形態を保ちながら,自分達の労働条件や味覚に合った食料品や調味料を取り込んでいる.ブラジルにおける日系人の食事は,父母,祖父母から受け継いだ習慣や周囲の環境などによって個人差がみられた.日系人が食べる日本食の特徴は,「ご飯と味噌汁を基本とする」「ブラジル食と日本食が同時に食卓に出る」「日本の調味料を使用する」であった.日本における日系人の食事に影響を与える要因として,「ブラジルで食べていた日本食の頻度」「現在の生活と労働環境」「居住地域で購入可能なブラジル食料品の状況」「来日の目的」があげられた.考察:ブラジルにおける「日系人食」はブラジルに渡った日本人移民の日本食文化が基盤にあった.日本で働く日系人はその日本食文化を受け継いでいるが,現在の日本における日本食文化が変化しているため,現在の日本食文化に適応する必要があった.
  • 中山 貴美子, 岡本 玲子, 塩見 美抄
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 36-42
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,コミュニティ・エンパワメントの構成概念を明確化することである.本研究では,コミュニティ・エンパワメントの望ましい状態に焦点を当てた.対象と方法:研究デザインは,帰納的アプローチによる質的記述的研究を用いた.調査方法は,フォーカスグループ・ディスカッションを用いた.研究協力者は,ヘルスプロモーションの学識経験者3名と熟練保健師1名であった.結果および考察:分析の結果,127小カテゴリー,36中カテゴリーが抽出され,11の大カテゴリーにまとめられた.構成概念は,個人と組織,地域の3領域に大別された.個人領域では,【住民の健康に関する認識および保健行動の変容】が,組織領域では,【組織化と組織としての成長】【共通の課題の気づきと地域への働きかけ】【意思決定への参加と影響】【パートナーシップの形成】が抽出された.地域領域では,【多様性を認める地域文化】【相互作用による成長と相互扶助の醸成】【人々の地域への参加と働きかけ】【地域の支援ネットワークの向上】【地域の社会資源と施策の向上】【行政と専門家の変容】が見出された.望ましい状態には,人と人とのつながりが動的に形成され,相互作用しながら,住民自らが社会資源となり,地域社会への働きかけまでを行っているという特徴がみられた.これらは,コミュニティ・エンパワメントのめざす方向性や評価の視点として用いることができる.
  • 上羽 累理, 岡本 玲子, 塩見 美抄, 中山 貴美子, 岩本 里織
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 43-50
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,虐待の早期発見とその後の支援を円滑に行えることを目指し,高齢者に関わる関係者が初回訪問の際に虐待の可能性を評価するためのリスクアセスメント表(以下アセスメント表)を作成することである.研究方法は,まず包括的項目収集を目的として既存文献事例(106例)から虐待発生に関連するリスク要因と考えられる項目の抽出と精選を行った.その項目についてA保健所管内の高齢者に関わる関係機関職員に各項目の虐待発生に関連するリスクの程度を問う調査(有効回答数77)を行った.その結果をもとにアセスメント表試案を作成し,その後,「高齢者虐待事例」と「対照事例」にそれを使用し,事例ごとにチェック項目数とチェックされた項目の内容を比較して判断基準を検討した.その結果,最終的に,(1)被介護者,(2)介護者,(3)家族全体,(4)環境・その他の4カテゴリー55項目からなる「高齢者虐待予防のためのリスクアセスメント表」が作成された.今後,判断基準の精錬と,ケア提供者と連携した適正使用への取り組みが必要である.
  • 堀 みゆき, 小西 美智子, 小野 ミツ
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 51-57
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:ケアハウス入居者に対し,介護予防・生活自立支援を目的とした教室による介入を実施し,効果を検証する.対象と方法:対象者はケアハウスの入居者17名である.身体的・精神的・社会的機能に関する調査を行った後,調査結果に基づき立案したプログラムを1回2時間,2週間に1回,連続4カ月間実施した.結果:教室参加前後の変化をみると,教室参加前に比べ教室参加後に,ADLでは,女性でADL-20合計と下位領域のIADLで有意な向上が認められた.また,得点の前後差を比較すると,年齢と下位領域のBADLに有意な正の相関がみられ,要介護認定を受けている者に比べ受けていない者がADL-20合計と下位領域のBADLで有意に高かった.ソーシャルサポートでは,女性で下位領域の受動的(手段的)サポートに有意な向上が認められた.主観的幸福感(PGCモラール・スケール)では,全体で下位領域の老いに対する態度と孤独感・不満足感において有意な向上が認められた.結論:ケアハウス入居者に対する介護予防・生活自立支援を目的とした教室は効果がみられた.また,入居者同士の交流の機会の増加,意欲の向上,個別対応のきっかけづくりとなった.今後,看護職が地域高齢者と同様,ケアハウス入居者にも介護予防活動を展開することの必要性が示唆された.
  • 渡部 月子, 小林 隆司, 片平 伸子, 別所 遊子
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 58-64
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:認知症高齢者に自力での食事行動を促す食事援助の手がかりを明らかにすること.方法:対象は介護老人保健施設認知症棟に入所し,食事に介助が必要な高齢者20名である.認知症高齢者の食事行動の問題点,援助方法を文献から抽出し,これを枠組みとして援助内容を参加観察した.同一の対象者に観察者(研究者)を変えて2回観察を行った.結果:対象属性は女性17名,男性3名,平均年齢86.4±5.8(S.D.)歳.アルツハイマー型認知症が35%,日常生活自立度はIIIa・IIIbを合わせて70%を占めていた.食事行動のプロセスは「開始」「食物および道具の操作」「咀嚼・嚥下」「食事行為の持続」「終了」の5つの段階に分類し,小項目として11項目を抽出した.食事援助は「環境整備」「言語による手がかり」「視覚による手がかり」「触覚による手がかり」の4段階に分類した.介護者は言葉により食事行動の継続を促し,食物の提示や咀嚼,嚥下モデルを示すことで,自力での食事行動の促進を図っていた.援助の必要な対象者には初動援助など行動の誘発や反射・反応を促す身体ガイドを実施していた.環境整備では食物の単純化,道具の配置などが行われていた.考察:認知症高齢者の残存している食事行動能力を引き出すための言語による手がかりや視覚による手がかりが段階的・複合的に行われていた.環境整備を行いながら,自力での食事行動の維持が困難になるタイミングを見極めた援助レベルの移行の判断が重要であることが示唆された.
  • 尾﨑 伊都子, 白井 みどり, 門間 晶子, 柳堀 朗子, 山口 洋子
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 65-72
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,老人クラブのアセスメント指標作成に向けて,老人クラブの活動性に必要な要素を明らかにすることである.対象者は,愛知県内の3地域(都市部1区,山間部1町,海辺部1町)の老人クラブの会長計24人とした.データは半構成的な個別面接法により収集し,面接内容は帰納的アプローチによる質的記述研究方法により分析した.老人クラブの活動性に必要な要素として,2つの大カテゴリー【メンバーの意識・行動】【組織の機能】が抽出された。さらに,その下位カテゴリーとして5つの中カテゴリー,15のカテゴリー,66のサブカテゴリーが抽出された.【メンバーの意識・行動】の中カテゴリーとして《会員の積極性》《役員の協力》《会長のリーダーシップ》が抽出され,これら3つのカテゴリーは相互に影響し合うと考えられた.【組織の機能】の中カテゴリーとしては《活動・運営方法》《他の組織との関わり》が抽出された.【メンバーの意識・行動】は老人クラブの活動性にとって基本的要素であり,【組織の機能】に影響力をもつと考えられた.すなわち,会員・役員・会長の3者のメンバーが積極的に活動・運営に参加することにより,老人クラブは組織として効果的に機能するようになる.本研究では,地域や活動・運営状況が異なる老人クラブから,活動性に必要な共通の要素が抽出された.この結果は,老人クラブのアセスメント指標の作成に資すると考える.
  • 頭川 典子
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 73-78
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:本研究では,市町村保健師による子ども虐待発生予防の取り組みの実態を明らかにし,今後の保健師活動に関する課題について検討することを目的とする.方法:対象はA県内120市町村とし,調査は自記式質問紙法により実施し,郵送にて配布・回収を行った.調査票の回答にあたっては,各市町村の係長・主任クラスの保健師1人(合計120人)に依頼した.結果:71市町村から回答が得られた.保健師は気になる家族を発見する際に,「母子の情緒と状態」「母子の家族内や周囲との人間関係」「家族の生活状況」「母子の健康と生活歴」「関係機関・住民からの情報」に着目していた.保健師が関わった虐待事例・虐待疑い事例の件数は平成12年度〜平成14年度にかけて年々増加しており,そのうち状況が改善したのは35.0%〜51.5%であった.結論:保健師はさまざまな情報から気になる家族を発見していた.保健師が関わった虐待事例・虐待疑い事例のうち,一定割合の事例に状況改善が認められることから,保健師の虐待発生予防の効果を評価する重要な点であると考えられた.今後の課題としては,保健師が住民と相談しやすい関係を築くこと,気になる家族を早期に発見できるよう学習を積み重ねること,小規模町村における援助経験不足を補うための実践的な研修が必要であること,保健師数の充足などの体制強化が必要であることが示唆された.
  • 村松 照美, 流石 ゆり子, 若林 澄江
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 79-86
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:農山村における高齢婦人の膝関節痛と生活状況を明らかにし,高齢婦人の膝関節痛の発生および悪化を予防するための保健師の地区活動を検討する.研究方法:データ収集は構成的・半構成的面接,高齢者の生活および保健師の地区活動における参加観察,町に関する資料および保健活動報告であった.構成的・半構成的面接はM町I地区に在住する慢性関節リウマチ等の慢性疾患・骨折の既往がなく老化と生活によって膝関節痛の生じている65歳以上80歳前半の高齢婦人6名を対象に,疼痛の程度,生活,保健行動について面接した.参加観察は,地域での農作業状況の観察や高齢者活動に参加し地域での暮らし,農作業の様子,近所づきあいについて観察した.資料・報告書については町の要覧,人口動態,国民健康保険診療明細書報告書,介護保険報告書等であった.結果:膝関節痛発生時は,<貧しい生活>とその中で<女性も主要な労働力>として生活するために<生きるための術>を駆使して生活し,その生活が膝関節痛の<痛みを悪化させる生活行動>に繋がっていた.また膝関節痛が慢性化し,膝関節痛とともに生活する現在においては<過重労働からの脱却>という生活状況の中で,<疼痛との折り合い>や<老後に適応した生活の調整>によって過ごしていた.この結果から,保健師は,早期からの膝関節痛発生と悪化予防の保健行動を獲得できる支援が求められていた.また膝関節痛が慢性化した場合には,その痛みの中に閉じ込もらないような生き方や高齢者同士が交流し痛みを分かち合えるような場づくり等の,地区活動の展開が必要であることが考えられた.
  • 上村 奈美
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 87-92
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:家族介護者の介護負担感および満足感と訪問看護師が認識する家族介護者の介護負担感および満足感を比較する.方法:訪問看護ステーションを利用する在宅療養者の家族介護者と訪問看護師79組を対象とし,Zarit介護負担尺度日本語版,介護評価尺度日本語版の満足感サブスケールを用い,家族介護者には面接にて,訪問看護師には自記式質問紙でデータ収集した.結果:介護負担感および満足感に関する両者の認識の一致度は全体的に低かった.認識の相違では,介護負担感22項目中「…必要以上に世話を求めてくると思いますか」を含む10項目で,満足感9項目中「…と一緒にいるのが楽しい」を含む2項目で訪問看護師の認識が強かった.反対に,家族介護者の認識が有意に強かった項目は,介護負担感22項目中「…あなたに頼りきっていると思いますか」を含む2項目,介護満足感9項目中1項目「…の関係で,やってあげたいことができているわけではないが,やらなくてはならないことはできている」であった.結論:本結果からは,訪問看護師が家族介護者の介護負担感および満足感を過大に認識している傾向が伺えた.訪問看護師が負担感や満足感を的確に把握するには,制限された訪問時間内に,家族介護者の思いを表出できる機会を随時つくり,それを受け止めるなどの方策が課題と思われる.
  • 吉岡 京子, 村嶋 幸代
    原稿種別: 本文
    2006 年8 巻2 号 p. 93-98
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    わが国の地域アセスメントの現状を明らかにすることを目的とし,1998年1月から2005年1月までに発表された文献を,(1)教育方法,(2)地域アセスメントを実践するための具体的方法,(3)地域アセスメントの困難さの側面から分析し,以下の知見を得た.1.地域アセスメントを必修科目としているか否かには違いがみられ,保健師に特化した教育を行っていることが影響している可能性が示唆された.2.情報収集方法として,既存資料の分析,インタビュー,アンケート調査が用いられ,その整理・分析方法として,記述疫学が最も多用されており,地域の健康問題が数値として把握されていた.3.情報収集・分析を行う体制として,さまざまな職種の行政職員や住民を含むワーキングチームが結成されていた.この方法は,多くの情報収集を可能とし,問題の共有や事業の実施が円滑に行えるという良さがあった.4.保健師は,「地域アセスメントの仕方がわからない」ことに難しさを感じており,日常業務と連動した地域アセスメントの方法を明確化する必要性が示された.
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