本報告は, 収穫後14日間13℃と25℃で貯蔵されたナス果実の糖含量と関連するインベルターゼとショ糖合成酵素 (SS), ショ糖リン酸合成酵素 (SPS) 活性の変化について検討した。硬度と色の変化は, 貯蔵産物の品質指標として使用した。
貯蔵された果実の可溶性インベルターゼ活性は, 貯蔵4日から14日まで25℃のものは13℃で貯蔵されたものよりも有意に高く, 一方, 細胞壁結合性の場合は, 貯蔵期間を通して25℃のものは13℃のものよりも高かった。ナスの細胞壁結合性の酸性インベルターゼ活性は, 25℃貯蔵開始8日でSS活性の22-25倍高かった。25℃貯蔵されたナス果実のSSとSPSは, 14日の活性が最も高かった。
以上の結果より, ナス果実における13℃の低温貯蔵が, 可溶性及び細胞壁結合性の両画分のインベルターゼ活性を高温貯蔵と比較して抑制するため, ショ糖の分解を抑制するのに効果的であることが示唆された。13℃での低温貯蔵は, 果実に対して低温障害を起こさず, 果実のショ糖含量及び色や硬度の保持に効果的であることが認められた。
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