近年, 無色透明のペットボトル入りの茶飲料の消費量が増大しているが, 光による緑茶の緑色色素 (クロロフィル) の退色が問題となってきている。そこで, 本研究ではクロロフィルa (Chl-a) の光照射に伴う退色反応に対する (-) -エピガロカテキンガレート (EGCG) の影響について調べた。Chl-aの光退色反応は, EGCGの添加によって抑制されることが明らかになった。これは, EGCGの濃度がChl-aの約10倍以上のときにみられ, アスコルビン酸との同時添加により, 相乗効果も認められた。緑茶溶液中のChl-aは, 光照射4時間後にはほとんどすべてが分解されたが, さらなるEGCGの添加により, この反応が幾分抑えられた。しかしながら, 本研究で予想していたものほど高い抑制作用を示さなかった。また, 緑茶溶液中のカテキン類の濃度は, 光照射時間に伴って緩やかに減少した。以上のことから, クロロフィルの緑色の保持にカテキンが寄与することが示唆されたが, 緑茶溶液の長時間の保持には期待できないことが明らかになった。
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