日本食品保蔵科学会誌
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28 巻, 5 号
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  • 辰巳 保夫, 羽立 智美, 松尾 聡子, 津野 和宣
    2002 年28 巻5 号 p. 227-234
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ショ糖, グルセリンおよびポリグリセリンの脂肪酸エステルの抗菌作用を検討するため, 灰色かび (Botrytis cinerea PEAS.) を各種エステル溶液を含んだ培地で培養し, その生育変化を検討した。
    1%濃度のエステルを含んだジャガイモ煎汁液培地で25℃で96時間培養した結果, カプリル酸 (C8), カプリン酸 (C10) のショ糖脂肪酸エステル (SE) では培養中ほぼ完全に菌の生育を抑制した。ラウリン酸 (C12), ミリスチン酸 (C14), パルミチン酸 (C16), ステアリン酸 (C18), オレイン酸 (C16 : 1) とエステル結合した脂肪酸の炭素数が増加するほどSEの抗菌活性は小さくなった。しかし, いずれのSEも対照区に比べ菌の生育を抑制した。モノカプリル酸グリセリドでは完全な発育抑制が見られたが, ポリグリセリン脂肪酸エステル (PGE) ではラウリン酸PGEが約40%菌の生育を抑制したが, ステアリン酸PGEでは抑制効果はなかった。また, PEGでは抑制効果はグリセリンの重合度とは関係なかった。
    培地へ添加量を0.5, 0.3%と低下させるとエステルの抗菌活性も低下したが, MCは0.3%でも完全に菌の発育を抑えた。
    抗菌活性が強かったエステル類の溶液にブドウを浸せき処理したところ, 抗菌作用の強かったカプリル酸SEで脱粒が抑制され, 腐敗も少なった。しかし, MCではかえって品質が悪くなった。
    以上の結果からショ糖脂肪酸エステル (SE) は灰色かび病菌に対して抗菌作用を持つことがわかり, 収穫後の抗菌剤として期待できると考えた。
  • 塩見 慎次郎, 丁野 久美, 西川 美穂, 岡部 真美, 中村 怜之輔
    2002 年28 巻5 号 p. 235-241
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    パイナップル果実の収穫後のガス代謝および果皮色の変化に対するエチレンの関与について, エチレンの作用阻害剤である1-メチルシクロプロペン (1-MCP) を用いて調べた。緑熟段階で収穫した果実の炭酸ガス排出量およびエチレン生成量は貯蔵中に上昇し, 末期上昇型パターンを示したが, エチレン生成量は最大でも1nl g-1 h-1に達しなかった。1-MCP処理によって呼吸量は減少し, エチレン生成量は一時的に上昇した。プロピレン処理は呼吸を一時的に増加させたが, エチレン生成を促進しなかった。果実をクラウンと果実部に分けてガス代謝を調べたところ, 末期上昇パターンはクラウンではなく, 果実部に依存していた。未熟果・緑熟果・適熟果に1-MCP処理を複数回行うと, いずれの熟度においても処理直後にエチレン生成が一時的に促進された。呼吸およびエチレン生成は樹上で発育に伴って増加し, 収穫後も増加し続けた。果皮の着色は収穫熟度に関係なく進行したが, 未熟果になるほど1-MCP処理によってその進行が遅延した。以上より, パイナップル果実のエチレン生成はエチレンによるネガティブフィードバック調節 (自動抑制作用) を受けること, 果皮色の変化にエチレンが関与しているごとが示され, 収穫後のガス代謝や果皮色の変化が樹上での変化と同様であることからパイナップルは少なくとも一部追熟性をもつことが明らかになった。
  • 中村 健人
    2002 年28 巻5 号 p. 243-246
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    60℃, 相対湿度78.9%の状態で2週間保持するメーラード反応により糖複合体化ラクトフェリン (gLf) を作成した。ラクトフェリンのほとんどすべてが糖と反応し, 未反応のラクトフェリンは糖複合体化作業の後には検出できなかった。gLfは鉄結合能を維持し, 優れた乳化特性をもっており, 強力な抗菌活性を示した。50℃の加熱処理をあわせることでgLfの存在下ではEcoliは生存できなかった。カッテージチーズ内での大腸菌の増殖に対する阻害効果も認められた。これらの結果は将来の食品保蔵の研究に役立つと考えられる。
  • 鈴木 敏郎, 多田 耕太郎
    2002 年28 巻5 号 p. 247-252
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    加圧処理を利用した低塩濃度のソーセージの開発を目指し, 加圧量, 塩濃度, pH等を変えてポークソーセージの製造試験車を行った。食塩濃度1%の低塩濃度区において200MPaで加圧処理を行うと, 保水率, 復元率, ゲル強度およびワークダン値は著しく改善され, ほぼ通常の食塩濃度 (2.5%) のソーセージと同じ値が得られた。しかし, 200MPa以上の圧力処理では, 低塩濃度区および高塩濃度区ともに, 加圧量が増加するに伴い, 形成されるゲルは脆弱になった。低塩濃度区で200MPaで加圧処理を行う場合, pH 5.5~6.0で良好なソーセージが得られ, それ以上pHが高くなるとソーセージは柔らかくなった。また, 官能評価によっても低塩濃度で加圧処理を行ったソーセージの評価は高塩濃度のものと遜色のないことが明らかになった。以上の結果より, 200MPaで加圧処理を行うことにより, 食塩濃度を従来の半分程度 (約1%) にしても, リン酸塩などの食品添加物を使わずに, 通常の塩濃度のものに匹敵する品質のソーセージを製造できることが明らかになった。
  • 雲南中部のカテージチーズ
    小崎 道雄, 岡田 早苗, 小原 直弘, 汪 立君
    2002 年28 巻5 号 p. 253-260
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 大和 弥寿
    2002 年28 巻5 号 p. 261-262
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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