日本食品保蔵科学会誌
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33 巻, 5 号
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  • 平 智, 今井 絵里子
    2007 年 33 巻 5 号 p. 255-259
    発行日: 2007/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    プラスチックフィルムで個別包装 (個装) した渋ガキ'平核無'樹上脱渋 (固形アルコール処理) 果を1℃または5℃で冷蔵し, それらの長期貯蔵性を炭酸ガス脱渋 (高濃度二酸化炭素短期間処理) 果と比較した。
    その結果, 1℃で貯蔵した果実の貯蔵性は5℃で貯蔵したものより優れ, 軟化して商品性を消失した果実が半数に達するまでの日数は, 樹上脱渋果が約140日, 炭酸ガス脱渋果は約170日であった。しかしながら, 貯蔵中の果実の果肉硬度の低下の程度はむしろ炭酸ガス脱渋果のほうが大きく, 樹上脱渋果の果肉硬度は貯蔵開始後約3か月はさほど低下しなかった。貯蔵中の果皮色と果汁の可溶性固形物含量は, 樹上脱渋果, 炭酸ガス脱渋果ともいずれの貯蔵温度でもほとんど変化しなかった。さらに, 1℃または5℃に65日間貯蔵した果実を20℃に移したところ, 包装を外した果実では包装したままの果実より軟化がかなり早く進行した。また, 5℃貯蔵果のほうが1℃貯蔵果より軟化が早い傾向が認められた。20℃に移してからも包装を継続した場合, 樹上脱渋果の日持ちは5日前後, 炭酸ガス脱渋果は10日程度であった。
    以上の実験結果から, '平核無'樹上脱渋果の貯蔵性は炭酸ガス脱渋果には及ばないものの, プラスチックフィルムで個装した後に1℃で冷蔵することによって約3か月間の長期貯蔵が可能であることが明らかになった。
  • 妙田 貴生, 塚本 篤, 野田 高弘, 永井 毅, 永島 俊夫
    2007 年 33 巻 5 号 p. 261-265
    発行日: 2007/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    有色馬鈴薯を副原料とした発泡酒を開発した。はじめに, 糖化に用いる麦芽と馬鈴薯の比率を1 : 1とすることで, 全糖量および色調の優れた麦汁を得ることができた。次に, この麦汁を用いて発酵試験を行ったところ, 常法では馬鈴薯由来の色調 (紫色) は著しく退色した。一方, あらかじめ馬鈴薯から色素を抽出し, 麦汁の煮沸工程後に添加して発酵した場合, 各成分ならびに色調とも良好な製品を得ることができた。本研究の結果は, 有色馬鈴薯の発泡酒醸造の基礎知見となるもので, 有色馬鈴薯の特徴を活かした新規な発泡酒を醸造できる可能性を示唆するものである。
  • 鶴永 陽子, 田中 大介, 松本 敏一, 鈴木 芳孝, 板村 裕之
    2007 年 33 巻 5 号 p. 267-271
    発行日: 2007/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    柿葉茶原料として用いることの多い, 6月採取のカキ'西条'の厚さの異なる葉を用いて, AsA含量の低下を抑制する最適蒸熱処理時間を検討し, その判断指標に新梢長を用いることを試みた。その結果, 未展開葉では3分間, 新梢長25-44cmでは5分間, 45cm以上では10分間の蒸熱処理がAsA含量の低下抑制に有効であることが明らかとなった。品種, 採取時期など個別に検討することで, 蒸熱処理時間の判断指標に新梢長を用いることが可能であることが示唆された。
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