日本食品保蔵科学会誌
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34 巻, 5 号
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  • 村松 良樹, 坂口 栄一郎, 永島 俊夫, 田川 彰男
    2008 年 34 巻 5 号 p. 255-260
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    非定常プローブ法により3-26%の脂肪率に調製した豚挽肉の3種類の熱物性値 (熱伝導率, 熱拡散率, 比熱) を20-50℃の温度範囲で測定した。その結果, 以下の知見を得た。
    (1) 試料の熱伝導率は, 並列モデルにより試料の熱伝導率を推算できることがわかった。
    (2) 試料の熱拡散率は, 直列モデルによる熱拡散率の推算値と測定データはよく一致した。
    (3) 試料比熱と成分組成の間には加成性が成り立つことが確認できた。
  • 安藤 寛子, 渡辺 学, 大下 誠一, 鈴木 徹
    2008 年 34 巻 5 号 p. 261-266
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ニンジン・タマネギ組織に対する浸透圧脱水凍結法の効果を, NMRを用いた細胞膜の水透過性測定とレオメータを用いたテクスチャーの測定より検討した。
    その結果, 破断強度, すなわち, 細胞壁に関するテクスチャーの変化が抑制されることが示された。しかし, 細胞膜に関係する初期弾性値や水透過性の変化は著しく, 浸透圧脱水凍結法に細胞膜の変化を防ぐ効果はほとんどないと考えられた。さらに, 従来行われている浸透圧脱水凍結条件では, 浸透圧脱水のみによって, 細胞膜の水透過性が増大してしまうことが観測された。これらの結果より, 浸透圧脱水凍結法は, 凍結・解凍後の軟化を完全に防ぐ方法ではないと考えられた。しかし, 浸透圧脱水凍結法において, 解凍後のテクスチャーの変化をある程度防止することは可能であるため, 今後, さらに詳細な脱水条件を検討することで, 凍結・解凍後の軟化を防ぐ凍結法が見いだされると考えられた。
  • 広瀬 直人, 澤岻 哲也, 照屋 亮, 吉武 均, 秋永 孝義
    2008 年 34 巻 5 号 p. 267-273
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    'アーウィン'マンゴーの炭疽病防除方法として温和な条件の蒸熱処理 (温熱処理, MVHT) による防除効果と果実品質に与える影響を検討した。
    Colletotrichum gloeosporioidesおよびC. acutatum (いずれもマンゴー炭疽病菌) は50℃・10分間の温熱処理で菌叢生育は認められなかった。C. gloeosporioidesを接種した果実に温熱処理を行うと防除価は95, 接種翌日の処理でも76になり, 炭疽病は効果的に抑制された。また, 炭疽病菌を接種しない出荷果実を用いた試験においても炭疽病の抑制効果が認められた。温熱処理によって果皮の黄色が増加し, 光沢はわずかに低下したが, 常温で4日間置いた果実では無処理の果実に対して果皮の黄化と光沢の発生は抑制された。また, 重量減少率は無処理果実に比較してわずかに低下し, 呼吸速度も低くなった。温熱処理果実の糖および有機酸組成には無処理果実と大きな差異は見いだされなかった。温熱処理を行った果実を追熟させると, 果皮の色合いと光沢が無処理果に対してやや劣るが, 食味は良好であった。
  • 村松 良樹, 坂口 栄一郎, 永島 俊夫, 田川 彰男
    2008 年 34 巻 5 号 p. 275-281
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    非定常プローブ法により脱脂粉乳および全脂粉乳の熱物性値を数段階の水分, 温度, かさ密度条件下で測定した。その結果, 以下の知見を得た。
    (1) 試料の熱伝導率は, 温度, 水分およびかさ密度の関数として以下の式で表された。λ=a1M+b1T+c1ρ+d1
    (2) 試料の熱拡散率はかさ密度の一次式で整理できた。κ=a3ρ+b3
    (3) 試料の比熱は, 水分, 温度双方に関して一次式とした次の式で表された。cp=a4M+b4T+c4
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