日本食品保蔵科学会誌
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29 巻, 2 号
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  • 石田 裕, 鈴野 弘子, 印南 敏, 前川 昭男, 田所 忠弘
    2003 年 29 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    サツマイモ葉の有効利用としての可能性を検討する目的で, これら緑葉乾燥粉末をクッキーに添加し, 品質と保存安定性について実験を行った。品質特性としては官能検査, 保存安定性としては色調, クロロフィル量, AV, POVの測定を行った。
    (1) 官能検査においては, サツマイモ葉乾燥粉末およびモロヘイヤ葉乾燥粉末添加クッキーは無添加クッキーに比べ, 緑色が濃く, 青臭く, 食べた際の青臭さも強いと評価されたが, 味, テクスチャーについては有意な差はなく, 嗜好的にも好まれていた。また, 破断特性値においてもクッキー問に差は認められなかった。
    (2) サツマイモ葉乾燥粉末およびモロヘイヤ葉乾燥粉末添加クッキーを8カ月まで保存したところ, 緑色の退色, クロロフィル量の減少, AV, POVの若干の上昇は認められたが, 品質の顕著な低下はみられなかった。
    (3) サツマイモ葉乾燥粉末は食用として利用でき, モロヘイヤ葉乾燥粉末の代替ともなり得るなど新規の食品素材としてその利用性に期待がもたれた。
  • 低アレルゲン米の理化学的性質と食味特性に関する研究(第2報)
    大家 千恵子, 梅國 智子, 原 たつえ, 高崎 房子, 中ノ瀬 千尋
    2003 年 29 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    米アレルギーの人のために開発された低アレルゲン米の製造工程による澱粉の変化を生米の良食味米品種A, 低食味米品種Bと比較して, 澱粉のアミロペクチンの鎖長分布と糊化特性を検討した。
    (1) アミロペクチンの鎖長分布より次のことが明らかになった。
    ・Fr.III/Fr.IIの値は低アレルゲン米が3.23, 品種A 3.22, 品種B 3.62であった。
    ・低アレルゲン米は平均鎖長60以上の長鎖が25.0mol%と割合が生米の品種A, Bと比較して多く, 短鎖では10以下の鎖長が25.0mo1%と品種Aに比べ多い傾向を示した。
    ・Fr.II とFr.IIIの和の数平均鎖長は低アレ・ルゲン米51.2となり品種Aの21.6より鎖長が長いことがわかった。
    (2) 低アレルゲン米の澱粉は膨潤力が低く, 溶解度は高い傾向を示した。
    (3) RVAによる低アレルゲン米の澱粉の粘度は最高, 最低, 最終粘度およびブレークダウンの値が他の生米の2種類に比べ低い粘度であった。
  • 石丸 恵, 茶珍 和雄, 上田 悦範
    2003 年 29 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    刀根早生'果実は脱渋後の肉質が緻密で柔らかく最も人気のある渋ガキ品種の一つである。'刀根早生'果実の主な脱渋方法は固形アルコールによる樹上脱渋とCO, 脱渋 (CTSD法) であり, 樹上脱渋とCO2脱渋後の軟化速度は異なっている。そこでその違いをCO2排出量とエチレン生成の変化ならびに果実の軟化に密接に関係するヘミセルロース構成糖の分解酵素の一つであるβ-D-galactosidase活性の変化から検討した。
    (1) CO2脱渋処理果実の呼吸量およびエチレン生成量は貯蔵後期に増加する傾向を示し, 樹上脱渋果実は無処理およびCO2脱渋処理果実より低く, 貯蔵期間中低いレベルを維持した。
    (2) 貯蔵期間中のβ-D-galactosidase活性は, 無処理果実およびCO2脱渋処理果実において収穫後2日から3日に活性が増大し, 収穫後7日にはその活性は収穫直後の約1.6~2倍になった。樹上脱渋果実は, 貯蔵期間中無処理およびCO2脱渋処理果実より低い活性であった。
    以上より, カキ'刀根早生'果実の収穫後の急速な軟化とβ-D-galactosidaseの活性は関係があると思われた。また, β-D-galactosidaseの活性とエチレン生成量は同様の傾向を示したことからエチレンによって誘導されたβ-D-galactosidaseがヘミセルロースを分解し, 最終的に指で押すと組織が崩壊しそうになる軟化現象を引き起こしていると思われた。
  • 弘中 和憲, 石橋 憲一, 南 望史, 小疇 浩
    2003 年 29 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    リコンディショニング中の農林1号およびトヨシロの塊茎内の糖 (グルコース, フリクトースおよびスクロース) およびデンプン含量分布を検討した。その結果, 両品種とも, 塊茎基部は頂芽部よりも3.8倍多い還元糖および1.1倍高いデンプン含量をリコンディショニング中, 有することが明らかとなった。
  • 山内 直樹, 川崎 伊佐子, 有田 香織
    2003 年 29 巻 2 号 p. 101-104
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ダイコン子葉のクロロフィル分解機構を明らかにするため, クロロフィル分解に及ぼす細胞内成分の影響について調べた。ダイコン子葉を暗所下, 25℃で貯蔵すると, クロロフィルaおよびb含量とも急激に減少した。しかしながら, 抽出されたクロロプラストのみを暗所下, 25℃でインキュベートしたところ, クロロフィルaの分解はわずかであった。子葉ホモジェネートで同様の処理を行ったところ, クロロフィルaの分解が顕著にみられた。インキュベートされた子葉ホモジェネート中には数種のクロロフィル誘導体が検出され, 特にピロフェオホルビドaの生成が認められた。
    以上の結果から, ダイコン子葉のクロロフィル分解には, クロロプラスト外の細胞内成分が大きく関与しているものと推察した。
  • 恩田 匠, 柳田 藤寿, 辻 政雄, 篠原 隆, 横塚 弘毅
    2003 年 29 巻 2 号 p. 105-109
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    味噌から分離したEnterococcus faecium MR006株は, 強い抗菌活性を示すバクテリオシンを産生した。E. faecium MR006をpH6.0または7.0に一定に制御して30℃で培養したときに, 最も高い抗菌活性が得られ, pHを制御しないときの2倍の値であった。MR006バクテリオシンを疎水クロマトグラフィーとゲルろ過により精製し, SDS-PAGEにおいて単一なレベルに純化した。MR006バクテリオシン・ペプチドの分子量は, 約5.5kDaであった。アミノ酸配列の解析から, MR006バクテリオシンはE. faecium T136の産生するバクテリオシン, エンテロシンBと同一であることがわかった。
  • 鈴木 敏郎, 多田 耕太郎
    2003 年 29 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    加圧処理を利用して, 大豆タンパクを添加した低塩濃度ハイブリッドソーセージの開発を目指し, 加圧量 (0-500MPa), 塩濃度 (0, 1.0, 2.5%), 大豆タンパク添加量 (10~40%) 等を変えて試験を行った。大豆タンパク添加量が増加すると保水率は加圧処理の有無に関係なく増加したが, ゲル強度およびワークダン値は大豆タンパク添加量が増加するに従い直線的に減少した。加圧効果は1%食塩添加の試料に200MPaの圧力処理を行うと顕著に現れ, 無加圧のものに比べて明らかにその値は高くなり, そのゲル強度とワークダン値は2.5%食塩添加の加圧区, 無加圧区とほぼ同じ値となった。また, NEMを添加すると, 1%食塩添加加圧区のゲル形成が著しく阻害されたことより, 大豆タンパク添加ハイブリッドソーセージのゲル形成に加圧処理により増加したSH基のS-S交換反応が重要な役割を演じていることが明らかになった。また, 200MPaで加圧処理を行った10%大豆タンパク添加ハイブリッドソーセージは, 通常の塩濃度 (2.5%) のポークソーセージと官能評価においても遜色のないものであり, 低塩濃度ハイブリッドソーセージの製造に200MPa程度の圧力処理が非常に有効な技術であることが明らかになった。
  • 大和 弥寿
    2003 年 29 巻 2 号 p. 117-119
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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