日本食品保蔵科学会誌
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23 巻, 6 号
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  • バナナ果実の切断による生理・化学的変化に関する研究 (第3報)
    阿部 一博, 棚瀬 匡彰, 平田 安弘, 吉村 公一, 高橋 徹
    1997 年23 巻6 号 p. 295-301
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究は, 緑熟バナナ果実から調製した切片の生理特性と品質変化に対する切断形状の影響を明らかにしたものである。
    切片の貯蔵 (20℃) に伴って, 果皮の黄化, 果肉のデンプン含量の減少, 糖含量の増加など無切断の果実の追熟に伴って生じる変化と同じ成熟現象がみられた。このような成熟に伴う変化は縦切り切片で最も顕著で, 輪切り切片では切断角度が大きくなるに従って成熟が速くなった。
    包装内のCO2とC2H4濃度の増加も縦切り切片において最も顕著で, 輪切り切片では切断角度が大きくなるに従って増加が速かった。縦切り切片のCO2排出量とC2H4生成量が4切片の中で最も速く増加し, 輪切り切片では切断角度が大きいほどこれらの増加が速かった。
    切片の切断形状が異なると生理的特性や品質変化に差異が生じることには, 切断に伴って増加するC2H4の生成速度の差が影響したものと思われる。
  • 東尾 久雄, 一法師 克成, 伊藤 秀和, 東 敬子
    1997 年23 巻6 号 p. 303-307
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    浅漬の賞味期限と密接な関係がある漬液白濁の起こり易さと原料野菜との関係を検討した。
    浅漬の漬液白濁の起こり易さは野菜の種類で異なった。キュウリの浅漬は他の野菜のものに比べて白濁が起こり難かったが, 接木による影響はなかった。漬液白濁が起こり易いハクサイにキュウリを同封したところ, いずれの量のキュウリ添加によっても, 漬液は白濁した。漬液中のカリウムイオン濃度は浅漬加工後の貯蔵中に増加したが, 野菜の種類で異なった。漬液中の全糖リンゴ酸含量は貯蔵中に一端増加した後減少したがその変化の程度は野菜の種類で異なった。アミノ酸含量もキャベツ・キュウリ・ナス浅漬で同様な変化が見られたが特にキャベツで大きく変化した。収穫及び水洗後のキュウリ・ナス・ダイコンに付着していた総生菌数グラム陰性菌, 真菌及び乳酸菌のいずれの菌数もキャベツに比べ少なかった。
  • 凍結乾燥食品の保存に関する研究 (第3報)
    大家 千恵子, 山本 一樹, 高野 克己, 鴨居 郁三
    1997 年23 巻6 号 p. 309-314
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    水蒸気加熱処理によって凍結乾燥豚肉中に抗酸化性物質を生成することができた。そこで今回はこの抗酸化性物質の構造と抗酸化の機構について調べ次の様な結果が得られた。
    1. 赤外線吸収スペクトル分析, 糖およびアミノ酸分析の結果本抗酸化性物質は低分子アミノカルボニル反応生成物で, グルコースとカルノシン (β-アラニルヒスチジン) から生成することが推察された。
    2. 抗酸化機構について検討し, 過酸化物生成速度をラインウェイバーバークの方法で求めたところ, BHAとα-トコフェロールは最大生成速度VmaxおよびKm値を低下させ不拮抗型の阻害様式を示したが抗酸化性物質AlaはVmaxを変化させず, Km値のみを増加させ, 過酸化物の生成に対し拮抗的な阻害様式を示した。
    3. 抗酸化性物質Alaラジカル捕捉性は認められず, リノール酸に比べても酸素との反応性が大きく, 活性酸素のクエンチャーの働きが認められた。
    4. モノヨード酢酸を用いてヒスチジン残基のイミダゾール基を修飾し, 抗酸化性物質の抗酸化活性に対する影響を検討した。抗酸化活性はモノヨード酢酸を添加することにより活性が大きく低下したため, ヒスチジン残基のイミダゾール基が抗酸化活性に大きく影響を与えることが明らかになった。
    5. 抗酸化性物質は金属であるFe2+, Cu2+の封鎖作用が認められた。
  • モーメン ミル ヌルル, 辰巳 保夫, 下川 敬之
    1997 年23 巻6 号 p. 315-322
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ショ糖ラウリル酸エステル (SLE), ショ糖パルミチン酸エステル (SPE), ショ糖ステアリン酸エステル (SSE) の3種類のショ糖脂肪酸エステル被覆がキャベンディッシュバナナの成熟に対する影響を検討した。バナナは0.5%のショ糖脂肪酸エステル水溶液で被覆処理して20℃に貯蔵した。成熟の開始は無処理区が最初で, その後ショ糖ステアリン酸エステル処理区, ショ糖ラウリル酸エステル処理区そしてショ糖パルミチン酸エステル処理区の順になった。クライマクテリック呼吸の発現やエチレン生成がショ糖脂肪酸エステル処理で遅れた。特にショ糖パルミチン酸エステル処理は成熟の遅延効果が大きく, 成熟段階7 (スター) に達するのに52日間を要した。全糖及び還元糖含量はショ糖ラウリル酸エステル処理区で高かった。走査型電子顕微鏡で観察するとショ糖脂肪酸エステル処理区のバナナ果皮の気孔の中に粒子が見られた。ショ糖脂肪酸エステルに由来する粒子が気孔に詰まることが外気とのガス交歓の障壁となってバナナの成熟を遅らせると考えた。
  • 永井 耕介, 小河 拓也, 福嶋 昭, 中川 勝也
    1997 年23 巻6 号 p. 323-328
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ブロッコリーの収穫後の呼吸量およびエチレン発生量を測定するとともに, O2透過量の異なるフィルムを用いて各種フィルムの鮮度保持効果を検討した。
    1. 呼吸量は保存温度が高いほど多く, 収穫7日後では収穫直後の1/2以下に減少した。エチレン発生量は10℃以下は比較的少なく, 15℃以上で激増していた。
    2. 花蕾の状況による呼吸量の差は小さいが花蕾が軟らかくなった段階で呼吸量は多かった。エチレン発生量は花蕾が少し軟らかくなった段階で増加し始め, 花蕾が軟らかい段階で急増した。
    3. 呼吸量は品種間に差がみら礼早生品種は中晩生品種に比べ, 呼吸量が多い傾向にあった。
    4. 0℃と5℃の温度条件下ではフィルムの包材による鮮度保持効果の差は小さく, ほぼ全ての包材で0℃では2週間, 5℃では1週間高鮮度状態が保てた。
    5. ほぼ全ての包材で10℃の温度条件下で4日間高鮮度状態を保て, 比較的O2透過量の少ない包材では10℃で7日間, 20℃で4日間外観鮮度の高い状態に保てた。しかしながら, O2透過量の少ない包材では異臭が感じられた。
    6. 10℃以下の低温流通が確保できれば, O2透過量4000ml/m2・day・atm (15℃) 程度のフィルムの鮮度保持効果が高いが流通途上で品温が20℃を越える可能1生の場合には02透過量10000ml/m2・day・atm以上のフィルムを使用する方が実用的であると考えられた。
  • 橋本 俊郎
    1997 年23 巻6 号 p. 329-333
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    10℃の貯蔵温度で白菜浅漬けの品質を10日以上保持することを目的として, 白濁の原因微生物に対するソルビン酸カリウムと酢酸ナトリウムの抗菌作用を調べた。
    (1) 白濁の主原因としてDebaryomyces hansenniを同定した。この酵母に対するソルビン酸カリウムの最小生育阻止濃度は0.06% (pH5.0) およびpH5.5 (0.14%) であり, 2%の酢酸ナトリウムを併用した場合に0.04% (pH5.0) および0.12% (pH5.5) に低下した。
    (2) pH5におけるグラム陰性菌の増殖は, 酢酸ナトリウム (0.2%) またはソルビン酸カリウム (0.1%) で抑制された。同様に乳酸菌は酢酸ナトリウム (2%) で抑制された。
    (3) ソルビン酸カリウム (0.1%) と酢酸ナトリウム (0.4%) を併用添加した製品 (pH5前後) は, 10℃で15日間の品質保持が達成できた。下漬け白菜の緩衝能を考慮した調味配合が重要であった。
  • 吉村 公一
    1997 年23 巻6 号 p. 335-338
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 生野 世方子
    1997 年23 巻6 号 p. 339-347
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 大和 袮寿
    1997 年23 巻6 号 p. 349-351
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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