日本食品保蔵科学会誌
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31 巻, 4 号
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  • バレイショの加工特性に関する研究 (第6報)
    佐藤 広顕, 山崎 雅夫, 高野 克己
    2005 年 31 巻 4 号 p. 151-154
    発行日: 2005/07/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    比重差によって異なるバレイショの性状を, 植物細胞の骨格を成す細胞壁成分からアプローチすることを目的に, 比重の異なるバレイショからそれぞれ各細胞壁多糖を分画し, その収量と熱挙動を調べ熱処理後のテクスチャーとの相関について検討した。その結果, 低比重バレイショのほうが高比重バレイショに比べて細胞壁多糖およびセルロース画分量とも高い値を示した。熱分析ではヘミセルロース画分は, 約55~60℃および約75~95℃, セルロース画分は約80~100℃にそれぞれ吸熱ピークが認められた。バレイショ100gあたりの吸熱量に換算すると, 構成比率の少ないヘミセルロース画分では高比重バレイショのほうが約1.6倍の吸熱量を示したが, 細胞壁の主成分であるセルロース画分では逆に低比重バレイショが高比重バレイショの約5.4倍の高い吸熱量を示した。
    以上, 比重差によりバレイショの加工特性が異なる要因の一つとして, 細胞の骨格を成す細胞壁多糖量およびその組成, ならびに熱的挙動が大きく影響することを明らかにした。
  • バレイショの加工特性に関する研究 (第7報)
    佐藤 広顕, 山崎 雅夫, 高野 克己
    2005 年 31 巻 4 号 p. 155-160
    発行日: 2005/07/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    日本で生産されるバレイショの主要な2品種において, 生鮮時ならびに蒸熱処理後におけるテクスチャーの相違を検討した。
    (1) 生鮮時では, 両品種共に比重の増加に従い, 硬さ, 凝集性およびガム性の各テクスチャー値は増大する傾向を示した。両品種共にそれぞれ比重と各テクスチャー値間には一次回帰式が得られた。同一比重ではメークインが硬く, 粘弾性の大きなテクスチャーを示した。
    (2) 蒸熱処理後では, 両品種共に比重の増加に従い, いずれのテクスチャー値も低下する傾向を示し, 両品種共にそれぞれ比重と各テクスチャー値間には一次回帰式が得られた。同一比重ではメークインが結着力が強く, 粘弾性に富んだ崩れにくいテクスチャーを示した。なお, メークインも高比重試料では, 男爵薯に近似した崩れやすいテクスチャーを示すことが明らかとなった。
    (3) 生鮮試料の熱分析の結果, 両品種共に低比重が, 細胞壁成分由来の70-100℃の吸熱ピークで大きな吸熱量を示し, 両品種共低比重試料のほうが蒸熱による性状変化には多くの熱量が必要であることが示唆された。さらにこの傾向は, 結着力の大きな粘質系のメークインが顕著であり, 粘質系の試料が蒸熱時の物性変化に多くの熱量が必要であること推察された。
  • 村上 智子, 林 一也, 津久井 亜紀夫
    2005 年 31 巻 4 号 p. 161-166
    発行日: 2005/07/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    赤キャベツ漬物熟成中のアントシアニン (AN) 色素抽出量について, pH, 酸量, 食塩量, 吸光度, 褐変度, 色調, LC/MS分析およびHPLCを行い, 以下の結果から赤キャベツ漬物熟成法がAN色素製剤として利用できることが認められた。 (1) 赤キャベツ漬物熟成中で, 熟成5-9日目がpHの低下, 酸量の増加に伴い, 吸光度は若干増加傾向を示した。褐変度は大きな変化はなく, 色調は赤色を濃くするが, 熟成期間が長くなるとくすんだ赤色に変化した。 (2) 赤キャベツANの構造は, P1 : cyanidin [Cy] 3-O- (2-O-β-D-glucopyranosyl [Glc]) -β-D-Glc] -5-O- (β-D-Glc)], P6 : [Cy-3-O- (2-O- (6-O-p-coumaryl [pC] -β-D-Glc)) -5-O- (β-D-Glc)], P7 : [Cy-3-O- (2-O- (2-O-sinapyl [Si] -β-D-Glc)) -5-O- (β-D-Glc)], P9 : [Cy-3-O- (6-O-pC-2-O- (2-O-Si-β-D-Glc)) - (5-O- (β-D-Glc)), P10 : [Cy-3-O- (6-O-ferulyl [Fr] -2-O- (2-O-Si-β-D-Glc)) -5-O- (β-D-Glc)] and P11 : [Cy-3-O- (6-O-Si-2-O- (2-O-Si-β-D-Glc)) -5-O- (β-D-Glc)] と推定した。 (3) 全AN色素の抽出量は赤キャベッ熟成日数5-9日目において最もよかった。赤キャベッANの中でアシル化していないP1の抽出量は0-21日目までほぼ同じであったが, アシル化ANであるP6およびP7は赤キャベツ漬物熟成の9日目まで抽出量が増加した。そしてこれら3つの色素が発酵赤キャベツの主要なANであった。
  • 一色 麻耶, 寺井 弘文, 鈴木 康生
    2005 年 31 巻 4 号 p. 167-171
    発行日: 2005/07/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    スダチ (Citrus sudachi hort. ex Shirai) 果実の貯蔵期間の延長を目的として, 1-メチルシクロプロペン (1-MCP) 処理がスダチ果実の品質に及ぼす影響について調べた。0, 0.01, 0.1, 0.5, 1.0μll-1の1-MCPを用い, スダチ果実を20℃で6, 12, 24時間処理した後, 20℃暗所下に貯蔵した。すべての処理区のなかで, 0.1μll-124時間の1-MCP処理がスダチ果実の緑色をもっともよく保持した。このとき, 1-MCP処理による果実の重量減少および内部品質への影響はなく, 果皮の褐変も認められなかった。より高濃度の0.5, 1.0μll-1の1-MCP処理は果実の緑色保持効果が弱く, 果皮の褐変や果実重量の大幅な減少など負の効果が認められた。以上の結果から, 適切な濃度と時間の1-MCP処理は, スダチ果実の緑色を保持するうえで有効な収穫後処理法であることが示唆された。
  • 鈴木 修武
    2005 年 31 巻 4 号 p. 173-176
    発行日: 2005/07/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究は大豆レシチンを用いた用途別植物油を開発するために, 厚焼き卵の離型に関する諸試験を行った。
    (1) 厚焼き卵の離型は, コーン油では離型せず, 離型油が必要で, 使用量は全卵液に対して2%が適当であった。
    (2) 全卵液の温度は, 10-30℃の範囲内では離型に影響なく良好であった。製造時に用いるアルミ容器の温度は100℃では若干悪く110℃以上では良好であった。
    (3) 全卵液のpHは低くなると剥離が悪くなった。
    (4) 離型油中の大豆レシチン使用量は3%が最適であった。
    (5) 澱粉は馬鈴薯澱粉よりワキシーコーンスターチがよく, 添加量は風味も含め全卵液に対して2%が適当であった。
    (6) 本離型油はたこ焼きの離型も良好であった。
  • 鈴木 修武
    2005 年 31 巻 4 号 p. 177-182
    発行日: 2005/07/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究は大豆レシチンを用いた用途別植物油 (中華むしめん用離型油 : 麺ほぐし油) の離型について解明した。
    中華むしめんを販売するときに麺どうしが付着し, 団子状になり, 焼きそばを製造するときにほぐしが必要である。このほぐしを容易にする離型油を開発した。
    (1) 大豆レシチンを含んだ離型油で試みたが, 白濁現象があった。その原因は乳化剤の量が多くなると, 製造直後の表面水分と乳化剤が乳化し白濁するためであった。白濁を防止する乳化剤使用量は, 油に対して0.5%が最適な量で, 麺に対する油の使用量は2%量が最適な量であった。
    (2) 麺ほぐし油は, 保存試験で一般生菌数の消長に影響していないことがわかった。
    (3) 麺ほぐし油は麺の表面に均一に塗布されるために水分蒸発による重量変化が油無添加, コーン油よりも少なかった。
    (4) 使用油の油種を変えると酸化安定性が増すことがわかった。
  • 鈴木 修武
    2005 年 31 巻 4 号 p. 183-187
    発行日: 2005/07/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究は, 炊飯油を開発するために, 開発した炊飯油の炊飯前後の分散と米飯のテクスチャーの経時変化についてコーン油と比較した。
    (1) 大豆レシチン等を配合した炊飯油は, コーン油よりも鍋に均一に分散した。
    (2) 大規模生産でも, コーン油よりも炊飯油は, 鍋と同様に釜に均一に分散した。
    (3) 炊飯油を添加した米飯のテクスチャーの経時変化は, 無添加よりも少なく, 水分蒸発も少なかった。
  • 谷口 (山田) 亜樹子
    2005 年 31 巻 4 号 p. 189-197
    発行日: 2005/07/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 大和 弥寿
    2005 年 31 巻 4 号 p. 199-201
    発行日: 2005/07/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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