赤キャベツ漬物熟成中のアントシアニン (AN) 色素抽出量について, pH, 酸量, 食塩量, 吸光度, 褐変度, 色調, LC/MS分析およびHPLCを行い, 以下の結果から赤キャベツ漬物熟成法がAN色素製剤として利用できることが認められた。 (1) 赤キャベツ漬物熟成中で, 熟成5-9日目がpHの低下, 酸量の増加に伴い, 吸光度は若干増加傾向を示した。褐変度は大きな変化はなく, 色調は赤色を濃くするが, 熟成期間が長くなるとくすんだ赤色に変化した。 (2) 赤キャベツANの構造は, P1 : cyanidin [Cy] 3-
O- (2-
O-β-D-glucopyranosyl [Glc]) -β-D-Glc] -5-
O- (β-D-Glc)], P6 : [Cy-3-
O- (2-
O- (6-
O-
p-coumaryl [
pC] -β-D-Glc)) -5-
O- (β-D-Glc)], P7 : [Cy-3-
O- (2-
O- (2-
O-sinapyl [Si] -β-D-Glc)) -5-
O- (β-D-Glc)], P9 : [Cy-3-
O- (6-
O-
pC-2-
O- (2-
O-Si-β-D-Glc)) - (5-
O- (β-D-Glc)), P10 : [Cy-3-
O- (6-
O-ferulyl [Fr] -2-
O- (2-
O-Si-β-D-Glc)) -5-
O- (β-D-Glc)] and P11 : [Cy-3-
O- (6-
O-Si-2-
O- (2-
O-Si-β-D-Glc)) -5-
O- (β-D-Glc)] と推定した。 (3) 全AN色素の抽出量は赤キャベッ熟成日数5-9日目において最もよかった。赤キャベッANの中でアシル化していないP1の抽出量は0-21日目までほぼ同じであったが, アシル化ANであるP6およびP7は赤キャベツ漬物熟成の9日目まで抽出量が増加した。そしてこれら3つの色素が発酵赤キャベツの主要なANであった。
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