日常の食事の中で食物繊維を多く摂取することを目的にもち麦粉とえん麦粉の利用法を検討するために各々の澱粉のアミロペクチンの鎖長分布と糊化特性をコシヒカリ澱粉と比較した。
(1) アミロペクチンの鎖長分布より次のことが明らかになった。
・Fr.III/Fr.IIの値はもち麦澱粉は3.93, えん麦澱粉は2.82, コシヒカリ澱粉は3.22であった。
・平均鎖長60以上の長鎖がもち麦澱粉は13.3mol%, えん麦澱粉は6.7mol%となり, コシヒカリ澱粉は8.8mol%でその割合と比較するともち麦澱粉は多く, えん麦澱粉は少ない傾向であった。短鎖では10-20の鎖長がもち麦澱粉とコシヒカリ澱粉が多く, えん麦澱粉は10以下の鎖長の分布が多かった。
・Fr. IIとFr. IIIの和の数平均鎖長は, もち麦澱粉32.9, えん麦澱粉31.7となり, コシヒカリ澱粉の21.6より数平均鎖長は長かった。
(2) もち麦澱粉は膨潤力と溶解度がともに高い傾向を示した。えん麦澱粉は膨潤力は他の2種に比べて低いが, 溶解度は高かった。
(3) RVAによるもち麦澱粉は最高粘度, ブレークダウンの値が高かった。えん麦澱粉は最高粘度, ブレークダウンは他の2種類と比べると低かったが, 最終粘度は最高粘度よりも高かった。
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