ツルレイシ果実の発育中ならびに貯蔵中の成熟(追熟)について,呼吸,エチレン,硬度,ペクチン質,ペクチン分解酵素の活性などについて調べ,その成熟生理の特徴や肉質の変化などを検討した。
(1) 果実の硬度は発育に伴い低下し,果実が熟すると急速に低下した。包装貯蔵中における果実硬度は貯蔵温度の高い方が速く低下した。
(2) 呼吸量は未熟段階では変化が小さく,成熟段階では上昇し,クライマクテリックライズを示した。貯蔵中の包装内の二酸化炭素の濃度は温度が高いほど上昇が早かった。
(3) 発育中の各段階の果実はエチレン生成量が少なく,特に,収穫適期の熟度Cではエチレン生成量は非常に少なく,成熟段階では上昇した。貯蔵中の包装内のエチレン濃度は温度が高いほど上昇の時期は早く,1℃ではエチレンはほとんど検出できなかった。
(4) 水溶性ペクチンは果実の発育に伴い増加し,果実が熟すると著しく増加した。逆に,塩酸可溶性ペクチンは果実の発育に伴い減少した。包装貯蔵中の水溶性ペクチンは貯蔵温度の高い方が増加し,塩酸可溶性ペクチンは貯蔵温度の高い方が減少した。
(5) 果実の発育と成熟に伴うペクチン分解酵素のうち,ペクチンエステラーゼ(PE)活性は変化が小さかった。ポリガラクツロナーゼ(PG)活性は未熟の段階では低かったが果実が成熟すると速く上昇した。貯蔵中のPE活性はいずれの温度においてもほぼ一定で,PG活性は温度の高い方が増加した。
抄録全体を表示