2016年10月より病床機能報告制度が開始された。医療機関は自院の機能を高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つから選択することになったが、明確な基準はない。そこで、病棟間の患者構成の違いに着目しDPC制度にある機能評価係数IIの複雑性指数を使い「高度急性期」、「急性期」の分類への活用可能性を検討した。
2016年7月1日から2017年6月30日にA大学病院を退院した患者を対象に、16病棟の複雑性指数を算出した(ICU、NICU、HCU、PCUを除く一般病床)。算出には、CCPマトリックスをコード化したCCPM支払分類を使用した。医療費を使った算出法(COST法)と在院日数を使った算出法(LOS法)により病棟毎の複雑性指数及び相関係数を算出した。算出に必要な全国値はDPCデータ調査研究班の協力施設(約1500施設)の2016年度データを使用した。
分析の結果、COST法とLOS法は相関を認めなかった(r=0.50、p=0.51)。病院全体では、COST法で1.28、LOS法で1.07であった。外科系病棟はCOST法1.34-LOS法1.04であり、内科系病棟ではCOST法1.10-LOS法1.23であった。病棟毎にみると両算出法の結果はほぼ類似していたが、2病棟の結果が乖離していた(COST法1.69-LOS法1.74、COST法2.41-LOS法0.91)。また、COST法とLOS法の両方の結果が1.0未満の病棟は5病棟であった。
複雑性指数は患者の重症度を反映する指標であり、算出法が2種類存在する。双方の特徴を鑑み、両算出法が1.0未満を高度急性期/急性期の機能区分の参考値として活用できる可能性があると考える。
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