近年、よく噛めない子どもが増加し、その対策としての咀嚼教育が望まれている。全国の小・中学校では食育年間指導計画があり、6月の「歯と口の健康週間」を中心に咀嚼教育が行われている。しかし、咀嚼に問題を抱える子どもには継続的によく噛むことの良さに関する咀嚼教育と咀嚼練習が必要である。そこで、年間を通して咀嚼教育ができるよう食育年間指導計画を見直し、咀嚼練習は主食とおかずに“よく噛む食材”がバランス良く組み入れられた和食給食を中心に活用して行った。対象は小学校の2〜6年生(486人)とし、2019年6月から2020年2月まで実施した。教育前後に焼き魚、ピザ、ハンバーガー、ラーメンのセット料理についての咀嚼の必要性と健康度、食嗜好について自記式質問紙にて調査を行った。その結果、焼き魚を一番嚙まないと食べられない料理(p<0.001)、健康になれそうな料理(p<0.05)と認識し、一番食べたいと思う児童が増加した(p<0.05)。年間を通した咀嚼教育と和食給食を中心に活用した咀嚼練習により、和食をイメージする焼き魚に対し、和食料理の咀嚼と健康度の理解が深まり、嗜好の変化があった。