本研究では、栄養パスを用いた造血幹細胞移植(Hematopoietic Stem Cell Transplantation;HSCT)の生着における関連因子を調査し、栄養介入の意義を探索した。静岡県立静岡がんセンター血液・幹細胞移植科において2019年1月から9月までにHSCTを受け(移植日:Day0)栄養パスを適用した症例を対象とした。前処置前から経静脈栄養(Parenteral Nutrition;PN)終了までの経口摂取開始日を調査し、各栄養指標との関連を評価した。全7例(女性2例、男性5例)の年齢は57歳(中央値:32〜70)であり体格指数は22.1kg/m2 であった。介入期間45日間(28〜75)において、欠食開始日はDay11(2〜28)であったが、経口摂取開始日はDay15(12〜37)となっていた。経口摂取開始日と欠食開始日およびPN期間、PNの薬価(円)/日は相関していた(r=0.93:p<0.01、r=0.76:p<0.05、r=0.93:p<0.01)。経時的な栄養関連有害事象と経口摂取熱量に負相関が見られた(r=-0.64:p<0.01)。栄養パスを用いたHSCTの生着に対応できる栄養介入の初動には臨床的意義があると考えられる。