アメリカにおける災害時の栄養・食生活支援について調査し、日本でも参考になる点を考察した。アメリカでは、日本と比較してボランティア団体の役割が大きい。日本でも、ボランティア団体の位置付けを明確にすることが自治体職員の負担軽減につながると期待される。また、日本では避難所での食支援が一般的であるが、アメリカでは、食料の戸別配布やDisaster Supplemental Nutrition Assistance Program(D-SNAP)のような災害時の食料品の購入を金銭的に支援するシステムも存在する。このような食支援の導入は、感染症流行時の在宅避難や被災地の小売店の支援にも役立つと考えられる。アメリカでは、食生活指針に準拠した平常時の食支援プログラム用の食品を災害時にも活用できる仕組みがある。日本では災害時に特化した栄養の参照量を策定しているが、両者とも災害時の栄養基準の活用状況には課題が見られる。