ADLの低下や認知症を伴う後期高齢者は、正確な病歴聴取が難しいため、主観的情報を要する栄養スクリーニングが困難な場合が多い。Controlling Nutritional Status(CONUT)は、客観的な栄養リスクの判定に用いることができるが、血液データの欠損値が多く実用化が難しい。そのため、CONUT変法に着目し、入院期間、BMI、内臓脂肪指標(Visceral Adipose Tissue Index;VATI)、皮下脂肪指標(Subcutaneous Adipose Tissue Index;SATI)、観察期間730日時点の生存の有無との関係について調査した。本研究では、当院に2016年4月1日から2017年3月31日までに入院した75歳以上の後期高齢患者1,645例から、187例(男78人、女109人、平均年齢±SD=83.8±5.9歳)を抽出し3年間観察した。結果、CONUT変法は、CONUT(p=0.927)、Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI)(p=-0.718)の双方の栄養指標と高い相関を示し、入院期間(P=0.002)、BMI(P=0.011)、VATI(P<0.001)、SATI(P=0.002)とも相関した。 また、ロジスティック回帰分析の結果より、CONUT変法が有意な予後予測因子の1つとして選択された。これらの結果から、CONUT変法は栄養評価法として有効であり、予後予測因子としてもなり得る可能性が示唆された。