日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
25 巻, 1 号
日本クリニカルパス学会誌 第25巻 第1号 (Mar.24.2023)
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
実践報告
  • 江田 裕美香, 丸岡 博信, 根本 哲紀, 加藤 真央, 根岸 亜由美, 岡芹 恵美, 萩原 鈴絵, 渡辺 悦子, 齋藤 春美, 増田 由美 ...
    原稿種別: 実践報告
    2023 年 25 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2023/03/24
    公開日: 2025/03/18
    ジャーナル フリー

     当院では年4回のクリニカルパス(以下、パス)大会を開催し、年度初回のパス大会では主に若手職員向けにパスの基本について周知している。従来のパスの概要や用語の説明では、初めてパスを学ぶ職員や治療過程をイメージしにくい事務職員などにとって難しい内容であった。今回、職種や経験年数を問わずパスの基礎知識を伝える教材として、MRC婚活(Maebashi Red Cross 結婚活動)パーティーパス(以下、婚活パス)を作成した。

     婚活パスは職種にかかわらずアウトカムやタスクがイメージしやすい題材、サービスを受ける側・提供する側という視点で構成されている題材という点を重視し、映像コンテンツのお見合いパーティーを参考に作成した。患者を参加者、医療従事者をパーティーの企画者とし、最終アウトカムをカップル成立とした。

     パス大会では婚活パスを活用し、パスの基本用語の説明、エビデンスをもとにパスが作成されていることを 示した。パス大会の前後で用語やパスの構成 、多職種の関わりについて周知度の変化を比較するアンケートを実施したところ、パス大会後の周知度はすべての設問で有意に向上がみられた。アウトカムがイメージしやすく対人という題材をもとにすることで、実臨床に沿ってアウトカムの抽出・設定や基本について周知できると考える。婚活パスはパスの基礎を周知するための教材になり得ることが示唆された。

  • 羽田 寿美恵, 井上 真子, 宮平 美代子
    原稿種別: 実践報告
    2023 年 25 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2023/03/24
    公開日: 2025/03/18
    ジャーナル フリー

     当センター看護部における平成30年度、超過勤務となった業務内訳の第1位は看護記録であった。クリニ カルパス(以下、パス)の活動を推進することは、「看護記録」業務以外に「指示に関すること」や「薬剤・点滴処理」など超過勤務事由となっている業務も削減され、標準診療計画であるパス使用が高れば、臨床現場における業務が減ることにつながる。

     パスの効果的な運用を目指し、医局会訪問やパス教育の充実とともに入院前支援システムの構築と入院前支援介入条件をパス適応とする業務改変を導入した。さらに、看護記録の効率化を目的にパス適用患者の看護計画やSOAP記録など、重複記録の改善に取り組んだ。無理・無駄をなくし、看護記録の質を担保した看護記録の基準・手順作成と、その周知を図るとともに、看護記録業務時間の調査結果を看護職員に示すことでパス活動推進の動機付けとした。

     その調査結果ではパス適応患者における看護記録所要時間は半減し、特殊な記録(退院支援や意思決定支援)を除き、経験年数による差がないことが示された。看護部として勤務時間超過の最大要因である看護記録が、パス活動推進により看護師の力量に関係なく看護記録業務の負担削減につながったので報告する。

  • 佐々木 涼子, 西尾 孝一, 赤羽 弘泰, 小泉 孝範, 齋門 良紀, 狩野 修治
    原稿種別: 実践報告
    2023 年 25 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 2023/03/24
    公開日: 2025/03/18
    ジャーナル フリー

     クリニカルパス(以下、パス)は定期的に見直すことが必要とされているが、バリアンスの収集・集計・分析が課題となることが多い。当院の大腿骨近位部骨折パスは、高齢者(65歳以上)または高齢者以外かによって分類されていたが、大腿骨近位部骨折は高齢者に多い骨折であり、術後歩行能力に影響を与える要因として、受傷前の歩行能力や日常生活動作(Activities of Daily Living:以下、ADL)能力が挙げられる。当院ではアウトカム評価において未達成となることが多く、パスを適用しているにもかかわらず業務が非効率的なものとなっていた。その原因を探るため、在院日数やバリアンス等について調査した結果、当院のパスは年齢による分類であることにより受傷前から歩行能力やADL能力が低下している症例でアウトカムが達成されにくいこと、またパスが作成されて以降長期間経過しており、パスが現在の病院の機能に合っていないことなどが問題点として挙げられた。このようなパスの問題点に対応すべく、多職種での協議を経てパスの改訂と適切なアウトカムを設定し、改訂後のパスの妥当性を検討した。その結果、在院日数が有意に短縮するとともに、アウトカム達成率は増加傾向となり、バリアンス発生率は減少傾向となった。適切にパスを運用するためには、定期的な現状把握によるパスの改訂が必要であり、それを可能とする体制の構築が不可欠であることが示唆された。

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