連続波およびパルス波レーザー光励起PDTの殺細胞効果を比較するため, BALB/cマウス由来リンパ種であるBCL1-B20細胞に光増感剤として2, 4-bis (1-decyloxyethyl)-Ga (III)-1, 3, 5, 8, -tetramethylporphyrin-6, 7-dipropionyl digspartic acid (ATX-70) を接触させ, レーザー照射後の細胞のDNA含量をフローサイトメーターにより測定した.
ATX-70を10μg/
mlで細胞に接触させた場合, コントロール, 連続波レーザー照射群 (連続波群) ではアポトーシス細胞が検出され, パルス波レーザー照射群 (パルス波群) ではほとんど検出されなかった. 接触濃度を1μg/
mlまで下げると, コントロール, 連続波群のアポトーシス誘導率は低下し, 逆にパルス波群ではアポトーシス細胞数が急激に増加した. また, ATX-70を1μg/
ml接触させ, PDTを行った細胞からDNAを抽出し, アクリルアミドゲルにより電気泳動を行った結果, パルス波群にはアポトーシスを示すヌクレオソーム単位でのDNA切断の増加が見られた.
これらの結果はPDTにおけるアポトーシスの誘発および中断は、接触させる光増感剤濃度に依存するというこれまでの報告と一致した. また, PDTの励起光源としてパルス波レーザーを用いれば, 同量の照射量およびパワー密度の連続波レーザーを用いるよりも, より少ない光増感剤接触量で高い殺細胞効果が得られることが判明した.
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