光線力学的治療(photodynamic therapy: PDT)は中心型早期肺癌に対する標準的な治療法の一つであり,その治療成績向上のためには,腫瘍の範囲を正確に診断し,適切にレーザー照射を行うことが重要であるが,一部の内視鏡システムは,光感受性物質であるタラポルフィンナトリウム注射後の腫瘍進展範囲の評価に不向きである点や,レーザー光により色情報が担保できず,適切なレーザー照射に苦慮するなどの課題があった.今回は,同時式内視鏡システムELUXEO 7000®(富士フイルム株式会社)を用いてPDTの治療成績向上に向けた工夫を検討した.
光線力学的治療(Photodynamic therapy: PDT)は悪性中枢気道狭窄の治療における有効性と安全性が示されているが,タラポルフィンPDTの治療条件は明確でない.そこで,悪性中枢気道狭窄症に対してタラポルフィンPDTを行った症例を検討した.17病変に50~150 J/cm2の照射量でPDTが行われた.50 J/cm2以外の全例で気道狭窄の改善が認められた.タラポルフィンを用いた100 J/cm2の照射量によるPDTは,中枢気道の悪性狭窄に対して実現可能な方法である.
呼吸器領域における光線力学治療(photodynamic therapy: PDT)では狭隘な空間にて適切な光照射が求められる.光照射条件の解析には組織内光伝搬計算機シミュレーションに基づくin silico評価が有効となる.本稿では,末梢型肺癌を対象にして,モンテカルロ法に基づく組織内光伝搬の計算機シミュレーション方法,PDT光照射プローブの性能評価,術前治療評価に向けた臨床画像データに基づく光照射条件評価について,著者らの研究を中心に紹介する.
末梢肺へ経気管支的に光線力学的治療(photodynamic therapy: PDT)を行った際の肺実質への影響を調査するため,ハイブリッド犬の正常肺に対してPDTを行い肺組織への影響を病理学的に検討した.二頭のハイブリッド犬に対し経気管支鏡的に側射型プラスチックレーザープローブを左右後葉の末梢気管支へ挿入しPDTを施行した.タラポルフィンナトリウム投与後,左右後葉支へ50 J/cm2および100 J/cm2のレーザー照射を行い,7日後に肺を摘出し病理学的にPDTの影響を検討した.PDT施行部に一致して肺胞出血や肉芽の形成,線維芽細胞の増殖やマクロファージの浸潤などが認められた.周囲の気管支軟骨や肺胞上皮,臓側胸膜へは影響を認めなかった.PDTの効果範囲は約15 mmだった.末梢肺へのPDTは既存構造への影響は少なく安全に施行可能と考えられた.
令和4年診療報酬改定に対する日本レーザー医学会社会保険委員会の取り組みとその結果について述べる.また,現在薬機法で承認されているレーザー機器及び保険収載されているレーザー治療を表としてまとめ,その詳細について述べる.