日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第64回春季研究発表大会
選択された号の論文の269件中101~150を表示しています
  • 杉山 裕香, 井上 勝雄
    セッションID: D5-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    近年、マーケティング分野で経験価値が重要になってきている。
    これまで、その経験価値については、定性的な調査が中心で、定量的な調査手法がまだ確立されていない。
    そこで、経験価値は過去の記憶や経験の推論をもとにしているので、不確実な根拠から推論する段階尺度の評価用語を用いた。
    分析の方法として、女性用の通勤鞄に関する理性的な使用経験と感覚的な使用経験の評価用語を用いて、アンケート調査を実施した。
    調査結果をラフ集合を用いて分析し、その際にプラスとマイナスの決定クラスを用いた。
    分析の結果、ラフ集合を分析に用いることで、2種類の経験価値を定量的に明らかにした。
  • 井上 勝雄, 杉山 裕香
    セッションID: D5-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    今日,マーケティング分野では新しい価値として,経験価値が注目されている.その経験価値については,質的調査が中心で,定量的に測る分析手法がまだ確立されていない.そこで,試みとして,過去の自己の使用経験を,不確実な根拠から推論する評価用語を用いて,さらに,経験価値の持つ満足感を分析できるCS(顧客満足)分析を用いて,女性用鞄の事例を通じ,それが適用可能かを検討した.その結果,CS分析と数量化理論Ⅰ類を用いて,経験価値を分析することを試みたが,事例を通じて,その試みの目的はある程度達成できた.
  • 森下 晶代, 坂口 和敏
    セッションID: A6-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    近年、新規ビジネス領域のデジタルビジネスの進展に伴い、ユーザーの思考や行動の多様化による課題の複雑化が起こっているため、ビジネスの機会発見は、課題の定義が難しく、どのようにアイデアを出せばよいか難しい。また、良し悪しを判断する基準の定義があいまいになりがちで関係者の合意形成を得ることが難しい。本稿では機会発見、つまり新しい体験を伴う製品やサービスのテーマ創出に向けて、顧客体験を軸としたサービスデザインの手法を活用しながら、ビジネス機会の発見を導く方法を提案した。参加者自身が気づきを得、テーマを探るということに焦点をあて、デザイナーがプロセスを支援することで、参加者自身が機会に気づくことが可能となるようなプロセスを提案する。方法は、技術や世の中の潮流などを制約条件とした対象領域の仮説を作成しながらプロジェクトの企画をおこない、ワークショップ形式での合意形成および機会発見のためのアイディエーションを経て、導き出されたアイデアをジャーニーマップやビジョンマップなどの手法で可視化することで、機会発見をおこなった。
  • 和田 功
    セッションID: A6-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    感性工学は1990年代、日本学術会議にて提唱された「人間を中心にすえた工学」に端を発する。ヒトが使用するモノのデザインは、従来人間工学をもとに行われてきた。ヒトの仕事に係わる物理量を設計のパラメータとしてきたが、統合的にヒトを見るデザインにおいてこれは片手落ちと言える。「ヒトの心に沿う設計」が必要という方向性が、示唆され、感性工学が生み出された。
    本研究ではヒトが求める価値により企画設計を分解した上で感性工学上のデザイン論考を展開することを目的としている。
    「人間を中心にすえた工学」に始まる感性工学の製品設計領域について、先達の事例、実践による経験も鑑みた新たな視点で、その概念を構造化してゆく。
  • 福津市(福岡県)との共同研究におけるデザイン実践研究
    都甲 康至
    セッションID: A6-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    「日本再興戦略2016」を受けて、産学官連携による共同研究などの推進が国内の大学で加速している。共同研究に多くの学生が参加していることは言うまでもない。しかし、教員側はそれらの研究に学生の役割や権利保護、知的財産権などについてあいまいなまま参加を要請しているのではないかと危惧している。そこで本稿では福津市(福岡県)との共同研究を事例として、学生に不利益を与えない「学生参加の地域ブランド商品企画・デザインアプローチ」とは何かという観点から考察し、次のような知見を得た。(1)授業で共同研究を題材に取り扱う場合、学生に参加拒否権がないため細心の注意を払う必要がある。そのため意義や成果物が各自のポートフォリオ利用などの便益を丁寧に説明する必要がある。(2)キャラクター・デザインに学生を参加させる場合は、著作権法や利用許諾契約などの法的知識が教員に必須となる。またインターネット上に創作キャラクター・データを絶対に掲示してはならないという指導も重要となる。(3)既成関連商品の調査に学生を参加させる場合は、事前に調査方法や収集した情報の整理方法、分析方法、報告書の書き方などについて十分打ち合わせを行う必要がある。
  • 自動車助手席専用シートへの適用による有用性検証
    平尾 章成, 有田 実花子, 金 侖慧, 加藤 健郎, 松岡 由幸
    セッションID: A6-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    近年、人は起床時間の約60%を着座していると言われている。着座時間の増加により、椅子や自動車シートに関する快適性である「座り心地」への注目が高まってきている。そのため、座り心地に関する研究が多く行われているが、座り心地の研究知識は、様々な要素により複雑に構成されており、設計者が椅子やシートをデザインする際に的確に知識を活用することが困難とされている。そこで本研究では、様々な設計者が知識を活用できるよう、座り心地に関わる研究知識の体系化を行い、知識体系を用いた設計支援を行うことを目的として、座り心地研究知識の体系化を行った。体系化においては、多空間デザインモデルの枠組みを用いて、座り心地研究文献の要素を抽出し、要素間の関係を可視化して、研究知識を抽出可能な知識体系を構築した。構築した知識体系を用いて、自動車助手席シートを題材に、シート設計経験のない学生が機能デザインを行い、これをシート設計経験の長い設計者がAHPを用いて評価することで知識体系の有用性を検証した。結果、知識体系が機能デザインで有用であることが確認できると共に、経験の不足を補える可能性があることが示唆された。
  • 井関 大介, 安本 雄貴, 余部 昇太, 加藤 健郎, 松岡 由幸
    セッションID: A6-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    大規模・複雑化した人工物の製品は,膨大な構成要素を持つため,「自由な思考」と「理にかなった思考」の両立が困難である.それを解決するデザイン方法の1つとして,多空間デザインモデルに基づくMメソッドが提案されている.しかし,大規模・複雑化した人工物のデザインを行うためには,膨大なデザイン要素を整理し,それらを考慮したデザイン発想を行うことが必要であり紙媒体を用いたMメソッドでは困難であると予想される.一方,近年では人間の思考活動をコンピュータで支援することを目指す研究が活発となっており,紙媒体で行われてきた思考活動を,コンピュータを用いてデジタル化することにより,紙では困難であった大量の情報を扱うことや,作業データを携帯することなどが可能になると考えられる.そこで本研究では,前述したMメソッドをデジタル化したMメソッドシステムを提案し,Mメソッドを改善することを目的とする.
  • 土岐 謙次
    セッションID: A6-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    (ドラフト)これまで乾漆は非常に高度な技術を要する工芸的な造形手法であった。特に漆の表面を平滑で美しく磨き上げる技術は「呂色(ろいろ)」仕上げと呼ばれ、主に職人によって伝承され、技術の習得には長い年月を要する。また、型には石膏や粘土が使われることが多く、繰り返し複製を作ることが困難である。本論は現代では一般的な塩化ビニル素材を型に利用することで、この呂色仕上げに近い品質の漆表面を、比較的簡単な方法で量産できる技術に関する研究である。塩化ビニルの表面が漆に転写されることで、誰でも簡単に高品質な乾漆を作ることが出来るようになった。
  • 適応場の情報伝達速度と融合化について
    宮田 悟志, 登坂 宣好
    セッションID: B6-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    デザイン解の生成を,メタ・レベルの設計ルールの適用により遂行する方法は公理的デザイン等と呼ばれ注目されている.これらはシミュレーションによる性能評価も容易であり,今後,形態形成法の一翼を担ってゆくと思われる.ところでこれらの方法により生成された形態は,デザイン評価において必要な過程:(1)アルゴリズムによる形状の生成 →(2)形状への物理特性付与によるシミュレーションモデルの定義 →(3)シミュレーション実行による応答性の評価 →(4)シミュレーション結果の解釈による形状へのフィードバックと更新,これらのうち (2),(3),(4) をアルゴリズムの外部で行う必要がある.(1)のみでは生成形態の合理性は目論見レベルの存在であり,デザイン解の実体としては保障されない.著者らは前報において,形態生成の過程(1)に過程(2)~(4)を包含させるハイブリッドアルゴリズムを提案した.これは,公理的方法に対して適応的方法を融合させることで,より効果的なデザイン解の生成を目的とするものである.本報では,その後の研究で明らかになった融合システムの課題とその解決への取り組みを報告する.
  • 顧客中心のエクスペリエンス設計方法に関する制約条件の考察
    坂口 和敏, 白坂 成功
    セッションID: B6-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではデジタルビジネスにおけるエクスペリエンス設計の特徴を考察すると共に、具体的な設計における制約条件を明らかにする。デジタルビジネスにおいて、エクスペリエンス設計は要求開発としての機能を担うと考えられ、ビジネスの制約や、技術的制約とも密接に関わることになる。そのため、プロトタイプやUXムービーなどによるユーザーフィードバックから顧客ニーズを可視化することが不可欠である。場合によってはフィードバックから得られたエクスペリエンスをビジネスや技術の要求とすることもある。また、デジタル基盤によるプラットフォームを前提とするとこれまでの線的なジャーニーから面的なジャーニーとしてタッチポイントをデザインしていく必要がある。
  • 向井 翔太, 榮 佑馬, 佐藤 浩一郎, 加藤 健郎, 松岡 由幸
    セッションID: B6-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    19世紀中の産業革命を経て,モノづくりの領域はデザイン領域と工学設計領域に分業化された.その後の科学技術の発展により,両領域は,さまざまな社会問題を抱えており,同問題は経時的に深刻化している.このことから,既存の方法によるデザイン・設計では,同問題に対応することが困難となっている.そのため,既存の方法における課題に基づき,上述した問題に対応するための新たな方法を確立し,デザイン・設計の実務に反映する必要がある.本研究は,実務の基礎となる研究分野に着目し,両領域の研究の特徴と研究課題を明らかにし,同課題を解決するための方法について考察を行うことを目的とした.そこで,多空間デザインモデルに含まれる思考空間を視点に,両領域の研究論文の比較分析を行った.その結果,両領域の研究の特徴と研究課題が明らかとなった.さらに,同課題を解決する方法として,デザイン領域では意匠性の評価を予測するためのシミュレーション技術,工学設計領域では機能性評価のための官能検査の必要性が示唆された.また,両領域が用いるべき方法をもう一方の領域がすでに使用していることから,デザイン統合の可能性が示唆された.
  • 伊豆 裕一, 加藤 健郎, 佐藤 浩一郎, 松岡 由幸
    セッションID: B6-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    多くのデザイナーは,デザインにおいてデザインスケッチを活用する.一方,デザイナーに求められる造形力の育成において,目の前に置かれた対象物を観察し表現する観察描画によるデッサンが重視される.本研究は,デッサンとスケッチの描画スキルと描画プロセスの関係の考察を目的とする.そのために,デザインを学ぶ10名の大学生のデッサンとスケッチの制作プロセスを比較した.その結果,デッサンスキル高の被験者はデッサンにおいて短時間で立体感を表現し,スケッチスキル高の被験者はスケッチにおいて短時間で立体感を表現することが確認された.以上より,デッサンスキルとスケッチスキルには,的確な線や陰影の表現と言った手の動かし方に関わるスキルの違いに加え,それぞれの目的に合わせた立体認識の方法やスキルが影響することが示唆された.
  • ドローイングの伝達連鎖ネットワークによる文化的浮動の観測と進化実験
    松井 実, 竹内 崇馬, 小野 健太, 渡邉 誠
    セッションID: B6-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    集団遺伝学における遺伝的浮動と同等の,個体が文化的形質をランダムに模倣するモデルが実世界の様々な形質データを説明することを文化進化学の諸研究は明らかにしてきた.しかし文化的形質が実際にどのように変異し,選択されるかについての実証研究はほとんどなされていない.本研究ではデザインの進化実験で生じた頻度のデータが,ランダムコピーモデルのシミュレーションによる帰無モデルに極めてよく一致することを示す.実験では,デザイナーがよくデザインされていると感じるものを模倣し,よくないと思うものを排除してもらった.同時に新奇のデザインをいくつか考案してもらい,集団に投入した.これを何度も繰り返し,伝達連鎖ネットワークを形成した.その頻度を解析すると,従来デザインの質を向上すると考えられていた様々な処理が有用でないこともわかった.この結果は特定の環境下においてデザインの創造プロセスとその市場での選択はその価値に関係なく行なわれていることを示唆する.
  • ポストナチュラル時代の食問題を考える
    本田 敬
    セッションID: B6-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    「クリティカルデザイン」は、議論の活性化、今後の可能性の示唆により 、問題を考察することを目的としている。今回テーマに設定した「食の問題」については、デザインが直接的に解決できる部分は、それほど多くはないこと、また、危機意識の薄い飽食の日本(私達)が、今後自ら批評的な視点を持って問題に向き合っていかなければないこと。これらの点から、クリティカルデザインで「食の問題」を検証するのに適すると考えた。食品が、何かしら人工的に手を加えられるようになった、ポストナチュラルの時代に関連する3点の作品で構成され、広くとらえ所の無い食の問題を、これらの作品を元に、一つのフレーム(視界)を持って考察する試みである。
    研究作品は、このシナリオに対応した道具(プロトタイプ)を制作し、それを使用している状況写真と共に提示した。それらは、10年先の未来から証拠品[evidence]として持ち帰ってきた(と想定した)物で、その時代に何が社会で起きているのかを、より詳しく認識するのに有効である。デザインの送り手、受け手、双方にむけて、少し立ち止まり考える契機となるよう、デザインの持つ社会性を、新しい表現の可能性とともに提示する。
  • 小鯖 智之, 畑 政貴, 松岡 由幸
    セッションID: C6-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    大量生産・大量消費型の現代社会において,環境問題や資源エネルギー問題が深刻になっている.また,消費者の需要が,物質的な豊かさから精神的な豊かさへ推移していることも指摘されている.これらの現状に対するデザイン方法論として,タイムアクシスデザインに基づく価値成長デザインが提唱されている.先行研究においては,人工物の性質とユーザの認知の両側面から価値成長が分析された.しかし,物理側面と心理側面の関係から生じる価値成長の構造は未だ明らかではない.そこで本研究では,この構造を対象の物理要素から心理要素が生じる過程と捉え,価値成長のメカニズムを考察した.はじめに,価値成長における心理的要因を抽出し,物理的要因との関係を明らかにした.次に,価値成長事例において物理要素から心理要素が生じる過程を分析し,その特徴と4つの類型を得た.さらに,分析に基づいて価値成長過程をモデリングし,各類型の価値成長に寄与する要素を抽出した.以上により,価値成長の要因とモデルを示すとともに,タイムアクシスデザインに向けた研究課題を導出した.
  • 様々な照明条件及びユーザーの特徴を想定したオフィス環境ならではの定量的評価指標の提案
    片山 茂樹
    セッションID: C6-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    富士ゼロックスでは、ユーザーが機器に触れることなく自分専用の画面までたどり着ける快適なユーザビリティを実現するために顔認識機能を搭載した複合機の開発を行っている。しかしながら、複合機にカメラを搭載するのは世界初の試みであり、カメラを用いた顔認識機能のデザイン及び評価の手法が当時は確立されていなかった。そこで、目標とするユーザビリティが達成できているか否かを判断する評価指標を独自に設けることを目的として本研究を行った。
     研究方法は、第一に「光の向き」「光の強さ」「髪型」「メガネ」など顔認識機能の精度に影響を与える要因を仮説立てした。第二に、仮説を検証するために照明条件のパターン化と再現環境の構築、代表的なユーザーの特定を行った。第三に、この「照明条件」と「特定被験者」を二軸としたマトリクス評価を実施した。結果、どの被験者のどの照明条件に課題があるのかがひと目で分かるようになった。また、マトリクス内の〇×をポイント化することで顔認識機能の精度評価指標を「照明環境の網羅率」と定義し、これまで存在しなかったオフィス環境ならではの顔認識機能の定量的評価指標を明確にすることができた。
  • 宮原 俊介, 室瀬 智弥, 室瀬 祐, 島田 英里子, 三井 和男
    セッションID: C6-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,デジタルファブリケーションと新規性の高いデザイン手法として利用されているアルゴリズミックデザインと我が国の歴史と地域特性に立脚した伝統工芸である漆芸技術を融合した作品の制作を試み,その制作過程をまとめたものである。今後,発展が予想される情報技術の分野において,仮想現実化された環境で作品を制作するアルゴリズミックデザインが,伝統的な制作手法によって培われてきた漆芸作品の制作プロセスに導入される事によって,漆芸家の作品制作に与える影響について調査を行った。
  • 川端 久美子, 中田 悠理, 木谷 庸二
    セッションID: C6-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    ソーシャル・ネットワーク・サービス(以下、SNS)の利用者は年々増加している人気のサービスである。しかし、SNSは過剰に使用すると、SNS依存やSNS疲れなどの精神的病に掛かる危険性をはらんでおり、その要因のひとつとして、「いいね」やコメント等の投稿に対するリアクションが指摘されている。本研究では、SNSに於ける「いいね」に着目し、「いいね」がユーザーに与える心理的影響を観察し、SNS特有の楽しさを維持しながら、SNS依存やSNS疲れを誘発しない「いいね」のデザイン方法を明らかにする。
  • 東北芸術工科大学と株式会社東海理化の産学共創プロジェクトの歩み
    酒井 聡, 堀尾 航, 鈴木 康友, 石丸 晋也, 久世 祥三, 長崎 智宏
    セッションID: C6-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    東北芸術工科大学と株式会社東海理化電機製作所は、2005年から2016年まで計5回の産学共創プロジェクトを行ってきた。

    特に直近の2014年から2016年までの3年間は連続して実施した。自動車の内外装備を中心とした課題テーマ設定とカリキュラム作り、到達目標の設定について試行を重ね、新しい協働の在り方を模索した。本稿では、その内容について報告する。
  • 中野 颯, 岡本 岡誠, 福田 大年
    セッションID: D6-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,未来の暮らしをデザインするプロジェクトにおいて,共創型の参加型デザイン手法を取り入れ,デザインのプロセスを多面的に記述し,共創型参加型デザインの有効性や課題について考察した.Elizabeth B.-N. Sanders は,Co-Designing のプロセスの中で「say」「do」「make」の 3 つの考え方でデザインを行うことの有用性を唱えた.私の提案する手法はこの考え方を基にし,デザイナとデザインの対象となる当事者による「事実の共有」と「コトの共創」を特色とする.デザインプロジェクトは,市内で暮らす生活者をデザインパートナーとした.共創型のデザイン活動を通して,デザイナとデザインパートナーの共創の過程でどのような相互作用が生まれたか,どのような発見や創造が起きたかを分析した.そして,参加型デザイン手法の意義や効果,方法について考察した.
  • 北 雄介, 坂口 智洋, 久富 望
    セッションID: D6-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    デザインプロセスは、いくつかに分割し、それを分類することで理解されることが多い。しかし現実のデザインプロセスは、多様な活動や思考が入り混じりながら展開する、複雑なものではあるまいか。本稿ではデザインプロセスの複雑さを担保しながら、かつ構造的に記述する文法を開発し、複数のワークショップのプロセスに適用する。記述文法は、ひとまとまりの活動を単位として時系列での活動の配置を工程表のように表現する構造と、アイディアや制作物などの要素の変遷をネットワークのように表現する構造という、二つの構造から成る。また実際の記述はPreziというオンラインプレゼンテーションツールを用いて行なう。この方法で8つのワークショッププロセス記述を得、考察を行なった。まず活動単位の構造と要素遷移の構造は互いに交錯し、アイディアの進化が必ずしも活動順序通りに線形に進まないことがわかる。またワークショップの時間経過に従ってアドホックな議論が展開されるようになり、構造が不明瞭になる傾向を見出すこともできた。本稿で提案する文法は、さまざまなデザインプロセスを記述・分析するために一定の有効性をもつと筆者らは考えている。
  • 世代分析による将来の都市利用者価値のサービス創造研究(1)
    秋山 福生, 中西 菜穂子, 弓場 大夢, 松井 咲樹, 湯浅 美里, 曽我 佑, 土肥 真梨子, 峯元 長, 小野 健太
    セッションID: D6-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    これから消費の中心となる現在の20代にあたる世代は、幼い頃から高度な情報技術に触れてきたことから、それ以前の世代とは大きく異なった価値観を持った世代であると言われている。そこで本研究では、この世代に向けたサービスを考案するため、特徴的な行動のビジュアライゼーションを行った。予備調査から、若者世代が特有の価値観を持っていることが想定された、「プライバシー」、「コミュニティ」、「プロパティ」の3つの領域について、実際の行動データを収集し、ビジュアライゼーションの結果から、特徴的な行動パターンを抽出した。
  • 世代分析による将来の都市利用者価値のサービス創造研究(2)
    松井 咲樹, 秋山 福生, 中西 菜穂子, 弓場 大夢, 湯浅 美里, 曽我 佑, 土肥 真梨子, 峯元 長, 小野 健太
    セッションID: D6-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、現代の若者の9つの価値観モデルを作成し、そのモデルに基づいたサービス創出を行った。
    事前調査で若者世代とその上の世代で「プライバシー」、「コミュニティ」、「プロパティ」の3つのカテゴリーに着目して若者の行動事例を集め、マッピングやビジュアライズを用いてその行動の裏にある価値観を分析した。
    そうして得られた「とりまティブ」という若者の価値観を表す新たな概念は、受動的かつ無欲に見えながらも戦略的な現代の若者の一面を表している。
  • 木内 正人, 高橋 寛行, 大嶋 一矢, 佐藤 加代子
    セッションID: A7-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    デジタル・イメージング技術の進歩によって、商業印刷分野は一変した。ゆえに、偽造防止印刷物も時代の趨勢に応じた進歩が求められる。そこで、我々は進歩著しいデジタル・イメージング技術に着目し、デジタル印刷機の基本機能のみで印刷物の偽造防止技術の目的を果たすという、新時代のセキュリティ・デザインのコンセプトを見出した。この新時代セキュリティ・デザイン・コンセプトを「SIV」(Security Image Variable)と提唱するものである。
  • 米沢 みどり
    セッションID: A7-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    IT企業のB to B開発業務において、今後クライアントも気がつかないような潜在ニーズを顕在化する新しいサービスを提供していくためには、従来のソフトウエア開発プロセスであるV字モデルのさらに上位概念としてサービスデザインプロセスの体系を整備する必要がある。本研究では、今までのサービスデザインに関わる提案実績をベースに大きく現状把握、あるべき姿を描く、ベクトルの共有、提案内容の深掘り、提案という5つのプロセスとして整理した。また、あるべき姿を描いてベクトルを共有するプロセスでは顧客との共創ワークショップを実施するが、その際用いる手法によって、大きく新規事業提案と、既存事業の中での新サービス提案の2つに分類されることがわかった。
  • 小畑 慧, 堀口 真央, 古屋 繁, 武藤 由華
    セッションID: A7-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    今日の公共施設では、過去の利用者実績による評価だけでなく、サービスの顧客満足度の向上が求められている。本研究では、公共運動施設の顧客満足度を把握するために、利用者の違いを分類し、顧客満足モデルを比較することで、分類した利用者ごとの顧客満足の違いを明らかにする。さらに、施設の改善と利用者サービスの向上をするための評価指標となる、顧客満足モデルの構成要素を抽出し、要素間の関係を明らかにするものである。公共運動施設における顧客満足モデルを作成するため、アンケート調査を行いった。解答結果を基に主成分分析を用いて利用者を特徴別に分類し、構造方程式モデリングを用いて顧客満足モデルを作成した。
  • 地域中小企業のデザインマネジメント支援手法に関する研究(1)
    及川 雅稔
    セッションID: A7-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    今日,地域の中小企業等においても、自社の強みを活かし多様化・高度化する顧客ニーズや社会ニーズに応える魅力ある製品開発等を実現するためには、デザインの戦略的な活用が極めて重要なテーマとなっている。地域のデザイン支援機関では,デザイン活用意欲のある中小企業が,効果的なデザインマネジメントを実践できるよう様々な取組を展開しているが,いまだにデザインの考え方や手法を十分活用できていない。本研究では,こうした状況に応えるため,既にデザイン導入・活用段階にある地域中小企業等に向けて,デザイン活用レベルを自己診断するツールを提案し,その有効性を確認する取組を計画している。今回は,第一弾としてデザインマネジメント活動の全体像を捉えるためのフレームを探ったので,その概要について報告する。
  • バイクシェアリングに関する基礎研究
    宮﨑 御夫, 大石 遊, 小畑 慧, 古屋 繁
    セッションID: A7-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    都心部における移動性を保持して混雑緩和を目的としたバイクシェアリングシステムが海外で導入され、2012年に開催されたロンドン五輪では交通渋滞の懸念があり、第三の交通機関とすることを目的に導入され、交通施設ではカバーできない、徒歩やタクシーの代わりになるような新たな移動選択を提供しました。しかし、このサービスはどういった環境でより利用され、ユーザはどういった行動をしているのか明らかになっていません。そこで、サービスを利用している方々にアンケート調査を行ったデータを多変量解析しました。その結果、利用頻度に関してはポート(自電車置き場)周りの環境が影響しており、需要が高い、低い環境を6つのタイプに分けることで明らかにしました。さらに、通勤通学で自転車を利用している人はなるべく短距離移動への料金が安い移動手段を好み、また電車の乗り換え数が多く、電車の料金が高いと自転車が好まれることを明らかにしました。
  • 具体・抽象を行き来したデザインプロセスに関する分析
    淺田 史音, 野城 智也
    セッションID: A7-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    2017年に東京大学生産技術研究所およびRCAにより、工学技術研究へのデザインの在り方を考え、実践するdesign labが設立され、同年1-3月には、トライアルプロジェクトが行われた。トライアルプロジェクトでは、いくつかの研究室をテーマとして、未来的なプロダクトやサービスを発想し、作品として展示を行うことで、工学技術研究にデザインが介入する可能性を模索し、提案した。今回のプロジェクトでは、主に研究室を選ぶTreasure Hunting 、アイデアを発想するIdeation、実装を行うPrototypingという三つの期間を設定していたが、実際にはIdeationの期間の最後に制作するアイデアを決定した後、実際の作品制作に入るまでに、作品プランを立てるために具体化および調整を行う期間が存在した。この際、ひとつのプロジェクトでは、アイデアを何度も抽象化、具体化することで、コンセプトを成熟させた。本研究では、この期間におけるデザインプロセスの具体性の変化に注目し、このプロジェクトのデザインプロセスの特異性を示す。
  • 吉田 傑, 細谷 多聞
    セッションID: B7-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は、人と造形物の触れ合いや関係性の構築を目的に制作した段ボール製造形物の紹介と、それらを実際に展示して、観察した結果をまとめたものである。本研究では、人の「触れたいと思う気持ちや、実際に触れるなどの行為を引き出す」という目的を定めた。はじめに、日常生活で触れる機会が少ない動物である「虎」、「羊」、「ガラパゴスゾウガメ」をモチーフに、人が触れることを前提とした造形物の制作を行った。造形物には、破損した際に修復が容易な素材を使用する必要があったので、手に入りやすく、加工が容易な素材である段ボールを使用した。造形物ごとの、手を触れた時の質感の違いを表現するために、段ボールの特徴的な波目を活用した表現に加えて、切る、破るといった加工を行った。それぞれの造形物の展示観察から、すべての造形物で手を触れる様子を確認できた。実物大で制作したことと、段ボールという身近な素材を用いたことが、造形物に対する親しみや好奇心を引き出し、触れることを誘発した要因であると考える。
  • 田代 雄大, 青木 幹太, 李 湧権, 榊 泰輔, 南 幸気
    セッションID: B7-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本学では、医工経芸連携によるリハビリ・介護の現場にロボットを実装する研究拠点としてヒューマンロボティクス研究センター(Human Robotics Research Center:HRRC)が開設され、2015年度より原三信病院香椎原病院の協力のもと入浴介助用パワードスーツの研究・開発に取り組んでいる。本研究は、入浴介助で頻繁に出現する起立介助・移乗介助を行う介助者の身体負担の軽減のための装着型補助具の開発が目的であり、2016年度に実施した研究内容とその成果について報告する。2015年度より開始しこれまでに、プロトタイプ1、2を製作した。2016年度は、医学面からのアドバイスを踏まえてプロトタイプ3を製作し、起立介助・移乗介助の検証実験を実施した。尚、今回はプロトタイプ3の効果を調べるために既存の入浴介助ベルトとの使用比較から介助負担の軽減の可能性を検証した。検証実験の結果、プロトタイプ3の主観的評価は介助者の負担が軽減されると推定される。今後は、超小型油圧アクチュエータを身体アシストに応用した「入浴介護用パワードスーツ」と身体アシストが無い「介助用装着型補助具」の可能性について検討を進める。
  • 3Dプリントペンと揺らぎLEDを用いた行灯製作
    山越 双葉, 安齋 利典
    セッションID: B7-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    国内外を問わず、時代を超えてあかりをつくる文化が存在している。本研究ではあかりづくりの効果とその利用方法について検証を行った。まず、調査より現代におけるあかりづくりの意義を「新しい技術を用いた“達成感と意欲の創出”、およびそれによる幅広いターゲットの支援」とした。次に青少年科学館や障がい者施設等でワークショップを行い、180人の被験者を得た。この実験では3Dプリントペンと揺らぎLEDを用いた行灯製作を様々な要素を比較しながら行った。その結果、精神面への効果と適切な利用方法が示唆された。そしてあかりづくりは初心者のより深いDIYへの導入として効果的であることがわかった。
  • 堀田 蕗敏, 安齋 利典
    セッションID: B7-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は、「魅力的な昔風のデザイン」を「クラシックデザイン」として捉え、定義することでデザインの普遍的な魅力を抽出することである。目的を達成するために調査・分析を行い、クラシックデザインを視覚化し、メソッドを作成した。次に、そのメソッドを使って実際にデザインを行った。そのことでメソッドの有用性を確かめるとともに、クラシックデザインが現代においても実現できることを示した。クラシックデザインが確立されれば、デザインを行う上でのひとつの指標となり、デザイン行為自体の幅を広げることにもつながるはずである。
  • 小澤 直明, 八馬 智
    セッションID: B7-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年、「カープ女子」や「プロレス女子」といった、「○○女子」というネーミングが増えてきている。このような性別を含む特定の「キャラ」を示す表現は、次々と生み出され、次々と消えている。
     それらは、流行現象を後から定義づけた言葉もあれば、マーケティング的な狙いから生み出された言葉もあるだろう。
     もしかすると、他人を「キャラ」の枠に当てはめることで、その人や社会の動きをわかったつもりになろうとしているのではないか。
     そこで、「経済成長の推移」や「女性の社会進出」などを手がかりに戦後の社会環境の変遷を概観しながら、「○○女子」という表現の成立過程を捉え直す試みを行った。
     接尾辞の変化には、女性の社会進出の変遷が影響していると思われ、現在の「○○女子」は女性のライフスタイルが多様化していることの象徴であった。
     社会は男女の差が少なくなっていく方向にシフトしており、その断片が「○○女子」に反映されていると考えられるが、実際はまだ男性中心の社会であり、男性と女性の機会の差は、均等ではないと考えられる。
  • The design of ceramics tools for support herbal brew in the house.
    スタッス ポンパン
    セッションID: B7-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    Most of Thai Medicine is herbal decoction. The problem is in the present we have various design and material of cooking pot, some make a toxic with the herbal and hard to define a standard measuring. A purpose of the research is a special tool for support the patient who must brew their herbal medicine at home. The design is include pot, steamer, container measuring cup and manual. The clay body is cordierite. The type of glaze is semi-matt. Firing at 1250°C in an oxidizing atmosphere.
  • シェアード・スペースのためのデザイン提案
    尾﨑 拓磨, 山本 早里, 伊藤 誠, 川本 雅之
    セッションID: C7-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は日本版シェアード・スペースを実現するために、自動車の速度を抑制する手法を検討した。路面デザイン16パターンを作成し、ドライビングシミュレータを用いて被験者実験を行った。実験の結果、斜線の交差パターンが最も抑制効果が高く、逆に進行方向に平行なストライプは加速傾向が高かった。また、全体に若者や高齢者は高速の傾向があり、中高年が最も低かった。
  • 山内 貴博
    セッションID: C7-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、景観に関する考察を行った。自分に関わりのあった都市(場所)の雰囲気の違いを比較研究することで、場の固有性とはどこからきているのかを論理づけようとした。様々な調査・分析の結果、論の中心となる「強いエレメントと弱いエレメント」といった考えを導き出した。都市空間を「読む」ことによって導かれたこれらの概念によって記憶に残る街の要素、また街の雰囲気をつくりだしているものが何なのかを考察している。また景観を生む方法として、調査対象地域に現存する町家を対象に景観デザインを立案した。
  • 菊竹 雪
    セッションID: C7-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    我が国において, 循環型社会に向けた廃棄物の発生抑制(リデュース), 再使用(リユース), 再資源化(リサイクル)の順番で「3R」を一層推進していくことが求められている。3Rに関する高い意識を具体的な行動につなげ, 資源効率循環型ライフスタイルへの変革を促すためには, 3Rをめぐる行動の根拠となる情報を地域全体で共有し,行動の意義と効果が十分に理解されるよう継続的な普及啓発を行っていくことが期待されている。
    海外では、ミラノ市(イタリア)やクライストチャーチ市(ニュージーランド)などで, ごみ収集・運搬・清掃業務にかかわるすべての「モノ」をメディアとして使い, 3R推進に向けた行動の根拠となる情報を発信するデザインプロジェクトが実施されている。また, フィラデルフィア市(米国)では, 環境学習およびアート教育なかで, 子どもたちがごみ収集車や公共のごみ箱をデザインし、プログラムを通して地域にごみ行政に関する情報を発信する試みが行われている。こういった海外の好例を通して, ごみ行政のためのメディアの開発とコミュニケーションデザインの可能性について考察する。
  • その1 越前市今立,長崎市南山手・浦上,的山大島における調査
    池田 岳史, 川合 康央, 益岡 了
    セッションID: C7-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,空間的,観光的価値の向上を目指し,かいわいを構成する要素としてのサウンドスケープについて,その抽出と分析を行っていくことを目的とする。本稿では今後,サウンドスケープの抽出と分析を行うために予備調査を行った15ヶ所の内,福井県越前市の旧今立町岩本かいわい,長崎県長崎市南山手・浦上かいわい,平戸市的山大島の神浦かいわいについて報告する。これらの調査の結果,自然に関連する音のように,多くの調査地で採音可能な音がある一方で,越前市の紙漉きの音,長崎南山手の遠くから聞こえる造船所の音,日本の音100選にも選ばれている山王神社では周囲に比べての静寂,楠の木の葉擦れ,的山大島の重要伝統的建造物群保存地区でも静寂など,そのかいわい特有のサウンドスケープを抽出することができた。今後は,これらの音の分析を進めるとともに,分類方法についても検討を進めることとする。
  • 鈴木 晴子, 永見 豊, 鈴木 淳一, 滝沢 正仁
    セッションID: C7-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    高速道路での逆走が問題になっている。現在、看板や路面標識などの視覚的対策がされているが、どの対策がどれほどの効果をもたらすかは明らかにされていない。そこで、どの対策や組み合わせが効果があるのか検証する。場所はパーキングエリアの入り口を想定した。路面舗装、指摘する看板の数、指摘する看板の色、路面標識を組み合わせて検証した。CGでサンプルを作ってドライブシミュレータで実験をした。その結果、空間を占める赤色の面積を大きくするほうが効果が高まることが分かった。
  • 川合 康央, 池田 岳史, 益岡 了
    セッションID: C7-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,地域の歴史的文化を伝えるための街並み景観シミュレーションシステムを開発するものである.対象地区として,旧東海道における藤澤宿(現在の神奈川県藤沢市)を選定し,開発環境としてゲームエンジンであるUnreal Engineを採用した.建築物や都市施設などの空間構成要素のモデルデータを3DCG制作環境で作成するとともに,会話可能なキャラクターも再現することとした.宿場町を自由に行動可能なようなインタラクションとして,直感的な動作可能なようゲームパッドによる操作を実装した.本システムは,藤沢市ふじさわ宿交流館において,2016年5月より常設展示され,これまでに3回のシステム更新を行っている.本研究は,江戸時代後期の旧東海道「藤澤宿」を市民に分かりやすく伝え,地域の歴史文化に興味関心を持たせることで,地域の文化継承を支援するシステムを開発することであり,およそ当初の目的を達成したと考えられる.今後,他の宿場町でも自由に再現可能なプラットフォーム化を計画している.
  • 『木材工芸』・『帝国工芸』・『近代家具装飾資料』・『東京高等工芸学校一覧』の比較研究
    新井 竜治
    セッションID: D7-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    大正期・昭和戦前期日本の重要なデザイナー養成学校の一つであった東京高等工芸学校の3年制の木材工芸科では、建築・室内装飾・家具に関する理論と実修を均等に学び、「室内の綜合展示」を実現する独自の作品制作を行った。一方、2年制の木材工芸別科では、家具の設計・製図を主に学び、自ら企画立案した家具作品を自らが製作する実修を行った。そして、2年次生の最優秀生徒は、自らの作品制作の傍ら、一般的な1年次生とのチームワークも主導するという、アクティブラーニング形式の実修に取り組んだ。また木材工芸別科教員の築島棟吉・榎本安五郎の『和洋家具構造図解』はその教科書であった。
  • 葛 斯佳, 杉下 哲
    セッションID: D7-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、若年層独居者を対象にして、個人の特性と住まう空間との関係を抽出して原理にまとめることを試み、人と空間の関わりのデザインの在り方を紐解くことを目指す。対照的な二つの「若年層独居者向け」個人空間デザインを制作して、研究テーマにおける「空間を作る方法」を試みた。
  • 岩崎 敏之
    セッションID: D7-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    筆者は、建築構造デザインを学ぶ学生に対して普遍的な工学原理を教える方法に関する考察を行い、建築構造学の体系の全体像を捉え直して、建築構造学をどのような形で教育していくべきかという点について考え、その教育方法を見出していくための視点を先に提示している。その考察において、建築を実体あるものとするための「構造デザインを考える上で必要なことがら」に向き合うためには、力学的なことがらと実際の構造物の両者をつなぐための知見が必要であることを確認している。本稿では、未だ確立できていないと見受けられる建築構造デザインを学ぶにふさわしい教育課程の構築にあたり意識すべきことを示し、建築の構造デザインを学ぶ学生に対して普遍的な工学原理を教えるための授業運営方法の実施例を紹介する。
  • 金沢市での町家建築の事例から
    由田 徹, 永井 由佳里
    セッションID: D7-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    持続可能な社会の実現において,古い木造建築の活用が着目されている. 本研究は,建築設計やデザインの実務を基盤とする研究者の一人が自ら実践したデザイン事例について,内部視点で捉え内省分析を実施した.古民家再生の建築デザインにおけるデザインの課題やデザイン観を報告する.
  • 原 忠信
    セッションID: A8-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    オレゴン州ポートランドで2012年に生まれたDesaster Reliaf Trials(以下DRT)は災害を想定した自転車レースであり、オレゴン州内のベンド、ユージーンの他、シアトル、サンフランシスコやメンフィスなど他州の都市に展開している。DRTは震災で発生したデブリにより自動車交通が寸断された状況で、自転車で物資を運ぶサプライランを想定したレースである。筆者は筑波大学創造的復興プロジェクトにおいて、コミュニティのレジリエンス向上を目的に、手作りの竈をカーゴバイクで移動させて米を炊く「竈プロジェクト」の活動を行ってきた。DRTと同様の目的のため、活動に活かすべく調査を行った。その結果、防災訓練という意味深い活動を楽しく実施することで、参加者が日常的にそれを意識することができる状況を生んでいる状況が見受けられた。
  • 長和町立和田中学校を中心に
    禹 在勇, 遠藤 忠, 池田 諸苗, 山浦 和彦, 中村 英三
    セッションID: A8-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、「郷土愛」を育むデザイン教育の試みとして、和田中学校の生徒たちとの連携で「郷土愛」を考え、生徒たちが地域に対する魅力を自分らの手で「触る・聞く・見る」という行為を繰り返しながら、その地域資源であるのタカラを掘り起こすことを目的としたものである。
    その結果、1)発表会には多くの地域住民の方が訪れる。2)生徒たちの発表を聞き、生徒たちに真剣に質問する。3)それに対し、生徒達も真剣に答える。4)地域の皆さんは、そんな活動を通して生徒たちの取り組みや力を評価する。5)テスト点や進学率といった数字や結果でなく、生徒達から直に感じ取る学力を評価してくれる。6)生徒達の、地域や地域の人たちに対する熱い思いや愛しみを感じ取ってくれるのである。そして、生徒のみならず、そんな生徒たちを指導している職員に対する信頼感も高まり、学校全体に対する信頼感の高さにつながる。
    以上の結果より、生徒たちは、これらを熱心に探求し、最終的にすばらしいデザイン「形」にしてくれた。
  • 世利 幸代
    セッションID: A8-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本稿の目的は、明治時代から大正末期における唐津の観光振興と印刷メディアに関する歴史的考察を試みることにある。唐津は、大正末期に福岡市と結ぶ北九州鉄道が開通すると行楽地として発展した。旅客増加を見込んだ北九州鉄道は、九州を横断する既存の回遊経路とは異なる北部九州の遊覧ルートを提示し、その中心として唐津のイメージを打ち出した。その構想が、印刷折本「唐津名所御案内」に記載された吉田初三郎作の鳥瞰図「北九州鉄道沿線名所遊覧圖繪」に描かれている。
  • 梅田スノーマンフェスティバルで開催したワークショップ「帰ってきた!デコるスノーマン」についての報告
    植松 陽一
    セッションID: A8-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    このプロジェクトは、ワークショップで作品を完成させることだけでなく、それを発信することにも焦点を当てた新しい試みとして2012年より実施している。受動的なワークショップから、作品を発表する能動的なワークショップとして、参加者もイベントの一員となるように設定した。このワークショップは2015年は開催を休止したが、新たな条件で2年ぶりに開催した。新たな条件で実施した発信型ワークショップの実践と継続を報告する。
  • 2015年度「デザインブラッシュアップ講座」受講企業の成果と波及効果
    楠本 幸裕, 青木 幹太, 石川 弘之, 西村 博之, 佐藤 佳代
    セッションID: A8-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    デザイン関連の産業や大学等の研究機関が集まる全国有数の集積地である福岡県では、デザイン支援に関する様々な取り組みを行っている。福岡県商工部中小企業振興課は平成9年より「福岡県産業デザイン協議会」を運営し、産業デザインに関連する県内中小企業の企画・開発力を強化、競争力のある企業への育成に取り組んでいる。また同商工部の福岡県工業技術センターインテリア研究所は、県内中小企業に対し“研究開発”、“評価”、“産学官連携”の3つの手法で支援をしている。その中で“産学官連携”として行っている支援が本研究で紹介する「デザインブラッシュアップ講座」である。同講座は福岡県工業技術センタークラブデザイン部会の会員企業を対象とした支援で、九州産業大学芸術学部の青木研究室と連携し2011年度に開始した。受講企業が抱える商品やパッケージのデザイン、カタログ、企業ブランド等、デザインに関する幅広い課題に対して、産学官の3者でその解決策を見出すことを目的としている。本発表では2015年度に受講した5社の成果と、そこから生まれた波及効果について報告する。
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