動物の循環器
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23 巻, 23 号
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  • 中田 義禮, 錦辺 優, 宮沢 英男, 近藤 秀男, 成瀬 信次, 木川 孝, 鈴木 順, 佐村 恵治, 臼居 敏仁, 菅野 茂
    1990 年 23 巻 23 号 p. 1-8
    発行日: 1990年
    公開日: 2010/03/05
    ジャーナル フリー
    無麻酔下におけるイヌの血圧測定にあたり,ヒト用に開発された非観血型測定器を用いて,その有用性を検討した。実験にはビーグル犬10頭(雄18カ月齢,体重8.6~13.1kg)を用いた。非観血的血圧測定にあたってはオシロメトリック法による全自動血圧計(DINAMAP 1846 SXP, CRITIKON社)を使用した。また,間接法と直接法との相関性を調べる実験では,予めポエチレンチューブを慢性的に大腿動脈から埋めこんでおいた腎性高血圧犬を測定の対象とした。得られた結果は以下に示すとおりであった。
    1)4種類の幅の異なるカフを使用して得られた血圧値の成績から,測定に最も適したカフとして幅4.6×13.1cmのものが選択された。
    2)直接法との間では,前肢における測定値が最も高い相関性を示した。
    3)繰り返し測定による血圧値の再現性では,1回目,2回目より,3回目が低い値を示す傾向が認められた。
    4)測定時の体位については右側横臥位が懸垂位および直立位に比べて低値を示す傾向にあり,これにはカフと心臓との位置関係が大きく影響していた。
    5)隔離された動物飼育室で飼われているイヌでは明らかな血圧の日内変動が認められなかった。
  • 中田 義禮, 宮沢 英男, 近藤 秀男, 鈴木 順, 臼居 敏仁, 菅野 茂
    1990 年 23 巻 23 号 p. 9-22
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    ビーグル犬にペントバルビタール・ナトリウムを静脈内投与した時,麻酔開始前から覚醒後に至る間に体温,呼吸数,心拍数,血圧,心電図および血液性状に現れる変化を知るための実験を行った。
    ビーグル犬5頭(年齢:11ヵ月齢,体重:8.0~11.2kg)を用いて,ペントバルビタール・ナトリウム25mg/kgを静脈内投与した。ペントバルビタール・ナトリウム投与後,約2時間にわたり麻酔状態が得られたが,その後,徐々に覚醒し,投与後6時間から8時間までにほぼ投与前の状態まで回復した。麻酔中は,体温,呼吸数および血圧は,急激な減少または下降を示し,投与8時間後において回復した。循環血液中の赤血球数,白血球数および血小板数も同様に減少した。一方,心拍数は投与直後から30分間一時的な増加を示し,心電図では投与直後から4時間にわたりST segmentの著明な上昇が認められた。また,動物飼育施設に搬入した時点で心室性期外収縮を散発していた個体についても,上記とおおむね同様の変化が認められたが,ペントバルビタール・ナトリウム投与後不整脈が頻発することはなかった。
    以上の結果より,ペントバルビタール・ナトリウム麻酔時には心臓への酸素供給不足が生じているものと考えられるので,呼吸の管理や体温下降防止に気を付けるとともに心電図でモニターすることが望ましいと考えられた。
    この成績の概要は,第51回獣医循環器研究会で報告した。
  • 村上 隆之, 萩尾 光美, 中井 雅晶
    1990 年 23 巻 23 号 p. 23-28
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    胎生末期の胎子を含むウシにおけるFOの解剖学的閉鎖について検索した。
    胎子の心臓では,FOは右心房の左後部と左心房の右前部を連絡する太く短い管で,一次中隔と二次中隔によって覆われていた。
    出生後,一次中隔の前部は肥厚,収縮し,その後FOの前端で二次中隔と融合した。その融合は後方へ進行した。FOの閉鎖後,一次中隔の後部は卵円窩として残存し,心房中隔の後部を形成していた。
    ホルスタイン種ではFOの最も早い閉鎖は7日齢で見られ,3ケ月齢以上のものの大多数のFOは閉鎖していた。黒毛和種では最も早い閉鎖は19日齢で認められたが,閉鎖の時期には個体差があった。
  • I.長時間心電図の誘導法及び装着法の検討
    日下部 憲道, 神園 健, 福田 久夫, 清水 憲次, 舟橋 紀男, 仲澤 政雄, 鹿野 りえ, 内野 富弥
    1990 年 23 巻 23 号 p. 29-37
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    無麻酔,無拘束のイヌより,安定した長時間心電図を記録するための手法を検討した。
    最初に長時間心電計をイヌに装着し,電極の脱落を防止するジャケットの改良,作成を行った。市販のジャケットは装着後,体の動きによりずれるので,それを防止するため前肢の袖を作成することで解決した。
    次に長時間心電図記録用の誘導法を比較検討した。
    誘導法は,A―B誘導,M―X誘導および補助誘導の三種を使用した。
    比較検討は,各誘導法でビーグル犬より24時間にわたり心電図を記録し解析を行った。
    その結果,A―B誘導は,イヌの動きによって基線の動揺が24時間に315回と最も多くかつ,波形ではR波が減高しS波の増大が見られ,解析の障害になった。補助誘導は,呼吸インピーダンスの変化により,基線が動揺し解析時の障害となり不適であった。M-X誘導は,前記2誘導に比べ,イヌが動いても基線動揺が非常に少なく,24時間の動揺回数は26回で,A―B誘導の10%以下であった。
    ビーグル犬で無麻酔,無拘束下で,M―X誘導を使用し,改良ジャケットを装着することで良好な長時間心電図を記録する方法を確立することができた。
  • II.心拍数,ST部分および不整脈の日内変動についての検討
    清水 憲次, 舟橋 紀男, 仲澤 政雄, 日下部 憲道, 神園 健, 福田 久夫, 鹿野 りえ, 内野 富弥, 小山 秀一, 本好 茂一
    1990 年 23 巻 23 号 p. 38-43
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    健康なビーグル10例について,24時間心電図を記録し,心拍数,ST部分および不整脈出現の日内変動を検討した結果,下記の結果を得た。
    1.心拍数は,23時~9時の低心拍帯と,10時から22時までの高心拍帯に区分され,深夜から早朝にかけて減少し,日中増加する傾向が認められた。
    2.STレベルは,深夜から早朝にかけて下降,日中から夕刻にかけて上昇する傾向が見られ,心拍数とわずかに相違が認められた。STスロープは,個体によるパラツキが大きく,24時間の変動に一定の傾向は見られなかった。
    3.不整脈は,洞性不整,洞性頻脈,洞性徐脈,洞停止,期外収縮ならびにA-VII度ブロックが認められた。洞性頻脈は日中から夕刻に,洞性不整,洞停止,期外収縮およびA-VII度ブロックは深夜から早朝にかけての発現が目立った。
  • 上原 勇作
    1990 年 23 巻 23 号 p. 44-52
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    突然の呼吸困難と後躯麻痺を主訴として来院した猫2例に対して超音波検査を実施したところ,1例は左心房,他の1例は左心室内に血栓エコーが見られた。2例とも外科手術時あるいは剖検にて鞍状血栓が確認された。
  • 佐藤 隆, 鷲巣 誠, 織間 博光, 梅田 昌樹, 小山 秀一, 内野 富弥, 本好 茂一
    1990 年 23 巻 23 号 p. 53-56
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    腹水,呼吸困難及びギャロップ・リズムが認められた7歳齢の雑種雄猫を,病理組織学検査に供した。左心房及び左室心内膜は弾性線維及び膠原線維の増生により肥厚していたが,心筋細胞に炎症性変化は認められなかった。以上より本症例は猫では稀な成人型の心内膜線維弾性症と診断された。
  • 奥村 敦, 若尾 義人, 石川 義広, 上地 正実, 中山 智宏, 渡辺 俊文, 武藤 眞, 鈴木 立雄, 高橋 貢, 石川 亮吉, 綱代 ...
    1990 年 23 巻 23 号 p. 57-66
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    A Two-month-old female Shih Tzu (Case 1) and a three-month-old-female Maltese (Case 2) with systolic ejection murmurs were referred to Azabu University Animal Hospital. Physical examinaiion, ECG, PCG, X-ray echocardiography and angiocardiography were carried out for clinical diagnosis. Case 1 dog was diagnosed as the severe valvular and light infundibular pulmonary stenosis (PS). However, the dog survived fro 42 months with digitalis and resting in cage. Case 2 dog was not diagnosed while in life, but the dog was confirmed to be in the Tetralogy of Fallot (TOF) by postmortem examination. While observation of the prosess, the right heart failure was progressing in each case. Case 1 dog died 42 months after the first medical examination, caused by the pulmonary edema for the heart failure, and Case 2 dog died 24 months after, a traffic accident.
    At autopsy, in case 1, the right atrial and ventriclular enlargement caused by the severe pulmonary stenosis with adhesive leaflet was found. In case 2, there was a severe enlargement of the right atrium and ventricle. Parietal band was shifted to the outflow tract and pulmonary stenosis was formed by this abnormal muscle. VSD was also located near a membranous part under the conus (6×5 mm). Therefore case 2 dog was diagnosed as the Tetralogy of Fallot morphologically.
  • 野中 泰樹
    1990 年 23 巻 23 号 p. 67-75
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
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