無麻酔,無拘束のイヌより,安定した長時間心電図を記録するための手法を検討した。
最初に長時間心電計をイヌに装着し,電極の脱落を防止するジャケットの改良,作成を行った。市販のジャケットは装着後,体の動きによりずれるので,それを防止するため前肢の袖を作成することで解決した。
次に長時間心電図記録用の誘導法を比較検討した。
誘導法は,A―B誘導,M―X誘導および補助誘導の三種を使用した。
比較検討は,各誘導法でビーグル犬より24時間にわたり心電図を記録し解析を行った。
その結果,A―B誘導は,イヌの動きによって基線の動揺が24時間に315回と最も多くかつ,波形ではR波が減高しS波の増大が見られ,解析の障害になった。補助誘導は,呼吸インピーダンスの変化により,基線が動揺し解析時の障害となり不適であった。M-X誘導は,前記2誘導に比べ,イヌが動いても基線動揺が非常に少なく,24時間の動揺回数は26回で,A―B誘導の10%以下であった。
ビーグル犬で無麻酔,無拘束下で,M―X誘導を使用し,改良ジャケットを装着することで良好な長時間心電図を記録する方法を確立することができた。
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