日本における高齢者患者は, 諸外国に比べ, 入院期間が長いという特徴がみられ, 退院をすすめられても「退院をしたくない」と訴える高齢者が居る.
退院に導く援助を明らかにすることを目的として, 退院をスムーズに行う患者と退院をしたくないと訴える患者, 311名を比較して, 「退院をしたくない」患者の日常生活援助の特徴を抽出し, 以下の結果が得られた.
「退院したくない」対象者は, 疾病・機能快復の自覚がなく, 快復感が不安定であった.その対象者の援助希望項目は, 移動時の援助, 栄養・食生活への援助, 清潔への援助, 排泄への援助であり, それらについて, 介助者による介護・支援が必要であった.
退院予定先は, 自宅とした者が少なく自宅以外の退院先を選択し, 介護施設などへの入居を入院しつつ待っていた.「退院をしたくない」対象者は日常生活の援助を常に必要としていて, 日常生活の自立が少なく, 日常生活困難に対する介助を退院後も必要としていた.
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