豚子宮内膜炎の発生状況を把握し, 排膿状況及び原因菌の検索, 治療 (洗滌) 方法について試験を実施した。
1. 発生状況
過去1年間の調査対象頭数は1183頭であり, 淘汰頭数は483頭 (40.8%) であった。その中で子宮内膜炎による淘汰は25頭 (5.2%) であった。
2. 排膿状況及び原因菌の検索
1) 排膿状況は種付後の場合は早いもので11日, 遅いもので26日後で, 平均18.5日であり次期発情の前期に, 離乳後の場合は発情再帰時に排膿がみられた。
2) 膿の色は外陰部, 腟, 子宮口とも黄白色クリーム状で, その量は種付後に発症したものが離乳後に発症したものより多くみられた。
3) 腟のpH値は低いもので7.0, 高いもので7.5, 平均7.24であった。
4) 原因菌は9例中緑膿菌1例, ブドウ球菌2例, 大腸菌4例, 未同定4例であった。
3. 治療 (洗滌) 方法の検討
1) 注入器の場合, 供試豚5頭中4頭が治癒し, 治療回数は平均2.0回であった。洗滌管の場合, 供試豚5頭が全頭治癒し, 治療回数は平均1.8回であったが, 10号豚の5回を除けば1回で治療した。
2) 膿の排出状況は注入器の場合は膿を完全に除去できなかったが洗滌管の場合は洗滌薬の注入排出が円滑に行なわれ, 排水液中に膿が消失するまで洗滌ができた。
4. 生殖器のレ線像と解剖
1) レ線像で生殖器は骨盤入口附近から腹腔に向け急角度で下降している。
2) 外陰部よりゴム管の侵入の長さは1号豚 (2産後) が41.5cm, 2号豚 (6産後) が48.5cmであり, 両豚をと殺後生殖器で生体の長さを測定すると, 両豚ともゴム管の先端は子宮体腔に達した。ゴム管の下降部の長さ (1号豚11cm, 2号豚19.5cm) を差引くと骨盤入口の生殖器の部位は子宮頸管の中央部附近に位置した。
3) 洗滌管は金属造りで弓状 (おおむね45度の角度) に曲げることが必要である。
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