カポック粕の飼料中含量と給与期間が豚の脂肪の性状に及ぼす影響を4ヵ月齢の子豚16頭を用いて調査した。飼料にはすべて大豆油7%を加え, 軟脂豚を発生させた。カポック粕の飼料中含量を4水準 (0, 2, 3, 4%) とし, 給与期間を2水準 (4, 7週間) とした4×2要因配置の乱塊法によって試験を実施した。使用したカポック粕は圧搾油粕で, 粗脂肪含量は8.8%, シクロプロペノイド脂肪酸 (CPFA) 含量は1.34%であった。脂肪のヨウ素価, 屈折率には処理による差はほとんどなかった。カポック粕の効果は脂肪蓄積部位によって差がみられた。背脂肪外層ではカポック粕給与による有意な影響はみられず, 背脂肪内層および腎臓周囲脂肪については融点, C18:0/C18:1比の値にカポック粕給与による有意な増加がみられた。また, カポック粕は2%レベルでは4週間の給与ではあまり効果がなく, 7週間の給与を必要とした。しかし, 3%あるいは4%レベルでは4週間の給与でも7週間と同じ効果があり, 3%でも4%でもその効果は変わらなかった。以上のことから軟脂豚防止のために使用するCPFAは, 低いレベルでは給与期間を長くとる必要があるが, ある程度の高いレベルであればそれ以上添加しても効果の向上は期待できず, 短期間の給与でもよいことがわかった。
抄録全体を表示